3.6MILK

ARTIST PICK UP

3.6MILK

ハッピーなメロディと突き抜けるようなスピード感…それが「サブロク」のサウンド・エネルギー。
ブランニュー・ミニ・アルバム『CAN'T STOP ME NOW』には、
そんな彼らの"はっちゃけエネルギー"が満タンに装備されている。この勢いは誰にも止められない!

(初出『Groovin'』2003年2月25日号)

 一過性のものではないのでブームという表現はふさわしくないかもしれないが、ここ数年、人々の健康指向は確実に高まりつつある。かくいう私も、その手のテレビ番組をチェックしまくり、ココアだ、ビール酵母だと日々情報収集に余念がないという、立派な健康おたくである。特に食べ物に関してはうるさく、あれこれ試してみたのだが、結局のところ出来るだけ自然に近いもの、つまりオーガニックなものにはハズレがないようだ。だからというわけではないが、最近は音楽もオーガニックなものを好んで摂取するようになっている。といっても、絶対にエレキはダメだとか、打ち込みはNGだとかいうわけではない。あくまで感覚的なもので、聴いた時に純粋に体中の細胞が喜ぶようなナチュラルなハッピー感が大事なのである。
 さて、そういった意味で私が今、自信を持っておすすめするのが、この3.6MILK(サンテンロクミルク)。バンド仲間やファンからはサブロクの愛称で親しまれ、エネルギッシュなライヴは「とにかく楽しい!」と評判のスリーピース編成のバンドである。昨年7月にはフル・アルバム『Rock! Rock! Rock Rock Rock!』を発表。キッズから絶賛され波に乗る彼らが、ミニ・アルバム『CAN'T STOP ME NOW』をリリースした。止めないでと言われる前に、もはや誰にも止められない勢いがバンドにあるのも事実だが、今作はその勢いをギュッとパッケージングしたような作品になっている。
 特にタイトル・チューンでもある「CAN'T STOP ME NOW」は今作のキーポイントとなる楽曲で、キャッチーなメロディがはらむ疾走感といい、ブライアン・メイを彷彿とさせるギター・ソロといい、そのポップな突き抜け感はちょっとすごいことになっている。ちなみにコーラスには堂島孝平や大森はじめ(東京スカパラダイスオーケストラ)が参加し、ちょっとしたパーティー・チューン的なノリも加えられている。また、今作のラストにはこの曲のアコースティック・ヴァージョンが収録されているので、そのメロディ・ラインの良さをじっくりと確認してみるのもいいだろう。
 そして、スカコア、スカパンクといった旬のジャンルに位置づけされることが多い彼らだが、そこに決して埋もれることなく独自の光を放っていられるのは、バンドのメンタリティによるところが大きいのではないだろうか?特に今作ではメロディック・パンク的な要素が前面に出ているせいもあって、メロディが持つスピード感や演奏の弾けっぷりは今までよりも強力なものになっているが、それがいかにもパンク的な捨て鉢な感じではなく、非常にポジティヴでハッピー。彼らのライヴがそうであるように、とにかく陽のエネルギーが充満しているのである。これはメンバー自身に陽の素養がないと絶対に出せないものだと思うのだ。さらに、まるで西海岸の空気のようにカラッとしたサウンドは、彼らが敬愛してやまないLONG BEACH DUB ALL STARSからの影響も大きいだろうが、3.6MILKが目指すカリフォリニア・スタイルに着実に近づいているという喜ばしい証拠でもあるだろう。
 溢れ出るエナジーをハッピーでパンキッシュなサウンドでコーティングした今作。余計な添加物はゼロ、100%ナチュラルメイド、しかも即効性のある栄養剤として、成長期の若者(あくまで精神的)にぜひともおすすめしたい。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『CAN'T STOP ME NOW』
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CD
Sony Records
MASTERSIX FOUNDATION
SRCL-5545
発売中
¥1,748(税抜)

弾けきったライヴが「とにかく楽しい!」と評判の彼ら。今作はメロディック・パンク的要素を前面に押し出したミニ・アルバム。ジャケットのイラストは彼らが敬愛するLONG BEACH DUB ALL STARSのOpieによるもの。今夏にはフル・アルバムがリリースされるかも?

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