安倍麻美

ARTIST PICK UP

安倍麻美

デビュー前から話題騒然!2003年アイドル界の超新星の正体は、不安定で、危うい、
繊細な18歳の女の子だった。そんな彼女の"今"と"素顔"がこの『理由』の中には詰め込まれている。
ブームにしてはいけない。等身大のアーティスト「安倍麻美」をつかんでほしい。

(初出『Groovin'』2003年3月25日号)

安倍麻美-A.jpg 僕は、「安倍麻美」を応援したい。いや、応援せずにはいられないのだ。
 安倍麻美(ネット上では"あっち"と呼ばれていた)を取り巻く状況は非常に危うい。彼女は誰もが知っての通り、「モーニング娘。安倍なつみ」の妹である。具体的な例をあげるまでもなく、最近のいわゆる"七光り組"はデビューの際、本人が意識するにしろ、そうでないにしろ、とても大きなハンディキャップを背負わされる。話題としてメディアには派手に取り上げられるのだが、皮肉なことに、それがタレント・イメージの"上滑り現象"を起こしてしまうからである。ゆえにあえて、「…の子供」とか「…の妹」を隠すようなことがあったりもするのである。安倍麻美の場合、インターネットが先行して、なしくずし的に知名度が広まってしまったこともあるが、デビューの折り込みには堂々と「なっちの妹」とうたわれていた。これは、過去の"七光り組"と同様のレールを、とりあえず敷かれてしまったという意味では、デビューにおいて微妙な環境ともいえる。
 危ういのはそれだけではない。ヴィジュアル・イメージ、キャラクター、そして今回の楽曲、どれを取ってもデリケートな、1歩間違うと、すべてが崩れてしまいそうな雰囲気を持っている。これは今の揺るぎない「モーニング娘。」にはない要素だ。しかし、この感じはどこか懐かしい。そう、かつて隆盛を極めた80年代アイドルの、あのガラス細工のように崩れやすく、それだからこそ貴重な存在とされていた、あの状態に似ているのである。
 安倍麻美は写真でみると、普遍的に支持される「地方都市で見つけたカワイイ娘」的要素を兼ね備えている。また、デビュー・シングル「理由」は、作曲が筒美京平という大ベテランによるものであり、思わず小泉今日子や浅香唯などを連想させるような"80年代王道アイドル・テイスト"をノスタルジックにトレースした仕上がりになっている(ただしアレンジはドラムンベース調だが)。筒美本人が自身の80年代の仕事を意図してなぞったのかどうかは分からないが、いずれにしても80年代的な、非常に壊れやすいアイドルの空気感をかもしだしている。作詞の326もさすがにその辺をうまく汲み取って、17、8歳のころ誰もが持っていた「なぜ?」を表現している。楽曲の要素のどれもこれもすべて、デリケートで危ういのである。
 もう、ここまで言えばいいだろう。だからこそ、応援せねばならないのである。アイドルは降ってくるものではなく、ファンの理解と努力によって成立するものだ、というのは僕の持論だが、ここしばらく、それを忘れていたらしい。自分の中ではもしかすると、つんくや小室哲哉にその部分を負担させ過ぎたのかもしれない。
 あえて僕は声を大にして言いたい!「俺が守ってやるぞ」と。もし彼女が「理由」の歌詞のように、夢と現実の狭間でさまよっているのなら、「俺がそっと微笑みかけてあげるよ」と。「消費を急がせるマスコミにも負けるな」とも。きっと、そんな僕のような人間の、無償の愛によって、安倍麻美は初めて成立するような気がする(かなり独りよがりか…?)。

Text by 松本真一(大船笠間店)

『理由』
安倍麻美-J 初回盤.jpg安倍麻美-J 通常盤.jpg




Maxi Single
ユニバーサル J
3月26日発売
[DVD付き初回限定盤]UMCK-9034 ¥1,333(税抜)
[通常盤]UMCK-5091 ¥952(税抜)

満を持してのデビュー・シングルとなる今作は、作詞:326(ナカムラミツル)、作曲:筒美京平によるもので、どこか懐かしくも感じるアップテンポのナンバーに仕上がってます。初回限定盤のみ約15分の短編映画「水の記憶」のDVD付き。通常盤には初回仕様のみトレーディングカード付き。すみやオリジナル特典はステッカー。初回限定盤&通常盤の初回仕様にのみ、イベント参加券封入。

※ジャケット写真は左が初回限定盤、右が通常盤です。

【安倍麻美 公式モバイルサイト あさみんだべ〜】http://www.asamiluna.com/

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