つじあやの

ARTIST PICK UP

つじあやの

つじあやのmeetsトーレ・ヨハンソン!
初の海外録音で完成されたニュー・シングル「桜の木の下で」は、
出会いと別れの季節を彩る美しいバラードだ。

(初出『Groovin'』2003年3月25日号)

 正直ここまで大きな存在になるとは思っていなかった。赤い眼鏡に三つ編み、そしてウクレレというデビュー当時の彼女を見た限りでは。その容姿とウクレレという楽器のイメージが強すぎて、本格的なシンガー・ソングライターとしての才能を見極められなかったのかも知れない。しかし、つじあやのはあれよあれよという間にシーンの階段を上っていった。スタジオジブリの映画「猫の恩返し」の主題歌に大抜擢された「風になる」のヒットを始めとして、はっぴいえんどやスピッツのトリビュート盤に参加するなど、今や最も個性的で重要なアーティストの1人だ。彼女がここまで大きな存在となった理由としてはやはり、誰もが口ずさめる普遍的なポップ・ソングを書けるというメロディ・メイカーとしての才能がある。そのことを見逃してはならないと思う。
 彼女の次のステップは海外レコーディングである。昨年の秋にスウェーデンはタンバリン・スタジオまでレコーディングに出かけている。そう、プロデュースはなんとトーレ・ヨハンソン!カーディガンズの大ヒットで一躍注目のプロデューサーとなったあの彼である。スウェーデンのマルメにあるこのタンバリン・スタジオは、カジヒデキ、原田知世、Bonny Pinkをはじめとする日本人アーティストとも馴染みの深い、スウェーディッシュ・ポップの聖地である。しかしつじあやのの音楽性と合うのだろうか!?
 その問題のニュー・シングル「桜の木の下で」を恐る恐る聴いてみると、まずスタンダード・ナンバーのような重厚なストリングスに驚く。ヴィブラフォンやホーンまで入っていてこのバラードをドラマティックに盛り上げている。しかしウクレレは出てこないものの、歌詞を含め全体の印象はまさににつじあやのワールド。トーレ・ヨハンソンは彼女の世界を壊さないようにプロデュースをしたようだ。それにしてもなんて美しく優しいメロディなのだろう。桜が咲く季節の、切なくも穏やかな空気感が見事に表現されている。出会いと別れの季節を彩る今春最高のBGMになるだろう。

Text by 高瀬康一(編集部)

『桜の木の下で』
つじあやの-J.jpg




Maxi Single
ビクターエンタテインメント
VICL-35476
発売中
¥1,100(税抜)

「桜の木の下で」はTBS系「世界・ふしぎ発見!」のEDテーマとしてオンエア中。「君がいればいい」(ウクレレ弾き語り曲)、「桜の木の下で」(Lumbini remix)、「桜の木の下で」(Instrumental)の全4曲収録。 初回限定盤のみ桜仕様。すみや特典は"桜の木の下で"恋も育むSEEDカード。

【つじあやの official Website】http://www.tsujiayano.com/

inserted by FC2 system