BON-BON BLANCO

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BON-BON BLANCO

ラテン・サウンドに乗って颯爽と私たちの前に現れた5人の女の子。
ハイテンションなパフォーマンスにキュートな笑顔で、日本中に一大旋風を巻き起こすか!?
BON-BON BLANCOが遂に1stアルバムをリリース。彼女たちの情熱ビートは鳴りやまない!

(初出『Groovin'』2003年3月25日号)

 日に日に風があたたかく感じられるこの季節、私は決まって太陽の匂いが恋しくなる。正確には芽吹き始めた木々や、気温の上昇によって立ち上ってくる土の匂いなのだろうが、柔らかく鼻腔をくすぐる、あの何とも言えない匂い…それを体中で満喫したくて、無性に外出したくなる。そしてそんな時には、何か新しいことでも始めてみようかしら?なんて考えることも多い。まるで体の奥から活動のためのエネルギーが一気に湧き出てきたような状態なのだ。植物と同じように、結実の時期へ向かって準備せよ!と本能が命令しているのかもしれない。そんなふうに、日々増加していく太陽エネルギーは確実に生命エネルギーへと変換されていることを実感するのが春なのである。この季節を入学や就職といったスタートの時期に選んだ日本人は本当に偉い。
 そんな季節にぜひともおすすめしたいのが、BON-BON BLANCOのファースト・アルバム。昨年7月にシングル『愛 WANT YOU!!』でデビューしてから着実にファンを獲得し、2月に発売された4thシングル『涙のハリケーン』でファン層を一気に拡大した観のある彼女達だが、女の子のアイドル・グループ数あれど、その個性は明らかに群を抜いている。なんてったって、ティンバレス、コンガ、ボンゴ、マラカスといったラテン楽器を演奏し、なおかつ歌って踊れるというアイドルなのである。ラテン楽器を操る人々に、麦わら帽子にヒゲ面の陽気なオヤジ、といった勝手なイメージを抱いていた私も悪いのだが、こんなに可愛らしい女の子達がとびきりキュートな笑顔で力強いビートを繰り出す様を目の当たりにした時はちょっと衝撃だった。そんな彼女達だから、もちろん楽曲も一筋縄ではいかない。パーカッションを多用したラテン・サウンドを軸に置きながら(それだけでも充分ユニークなのだが)、体馴染みの良いユーロ調のダンサブルなビートを取り入れたりもする。しかもこの実験的なサウンドに乗るメロディは、思わず歌い出したくなるほどキャッチーときた。いわばアバンギャルドとスタンダードを兼ね備えた、まったくニュー・タイプの楽曲なのである。
 今作には現在までにリリースされた4枚のシングルが収録されているが、新たに制作された楽曲が加わることによって、非常にヴァラエティに富んだ内容になっている。BON-BON BLANCOのイメージとは全く違った表情をみせる、R&Bテイストを取り入れたトラックの中で艶やかに歌い上げるバラードあり、茶目っ気たっぷりのコーラスがユーモラスかつキュートなポップ・ナンバーあり、情熱的な煽り系ダンス・ナンバーありと実に多彩。全体を通して聴くと、ラテンという大きなキーワードはあるにせよ、彼女達の場合、そのサウンド形式にこだわるのではなく、ラテン・ミュージックの中にある情熱や明るさ、さらにはそこから感じ取れる太陽の匂いや生命の力といった、至って感覚的な部分をスマートに継承していることがわかるだろう。
 そして忘れてならないのが、激しいまでもの熱を含んだ力強さと、柔和なポップ感が混在するANNAの歌声。彼女のヴォーカルは、歌詞の中に描かれた少女のちょっとばかり無軌道にも見える行動や、本音をぶっちゃけた言葉の中に見え隠れする、いわゆる"純な乙女心"ってやつを見事に浮かび上がらせている。卓越したヴォーカル力に驚嘆するだけではなく、そのあたりもぜひチェックしていただきたい。
 つい先日、パフォーマンス後の彼女たちに会う機会があった。デビュー以来の再会だったのだが、ステージを終えた安心感と充実感でいっぱいの素顔の5人からは、あの太陽の匂いがしたような気がしてならなかった。機は熟したようだ。たわわな実がなるのはもうすぐだろう。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『BEAT GOES ON』
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CD
コロムビアミュージックエンタテインメント
COCP-32087
3月26日発売
¥2,913(税抜)

デビュー作「愛 WANT YOU!!」から2月にリリースされた「涙のハリケーン」(TBS系「ゲットハッカーズ」エンディングテーマ曲)までの4枚のシングルを収録した1stアルバム。初回限定盤には「BON-BON BLANCO×BETTY'S BLUE」スタイリングブックレット(24P)封入。先着特典はポスター。

【BON-BON BLANCO 公式サイト】http://columbia.jp/~bbb/

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