リサ・マリー・プレスリー

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リサ・マリー・プレスリー

「タブロイド紙や他人が噂する私ではなく、本当の私がわかってもらえるはず」
一流の制作スタッフ陣を従え、エルヴィス・プレスリーの愛娘が遂にデビュー!
"クィーン・オブ・ロックンロール"の歴史がここに始まる!

(初出『Groovin'』2003年3月25日号)

リサ・マリー・プレスリー-A.jpg 「これが私であり、このレコードが私そのものであり、全ての曲が私自身を表現したもの。タブロイド紙や他人が噂する私ではなく、本当の私がわかってもらえるはず」…リサ・マリー・プレスリーがアルバム・デビューする。あの偉大なる"キング・オブ・ロックンロール"エルヴィス・プレスリーの娘、そして数々の恋愛騒動で世間を騒がせてきた女性。彼女のデビューのニュースを聴いたときは、正直言って驚いた。今まで彼女に対して持っていたイメージは、ご多分に漏れず"プレスリーの娘でマイケル・ジャクソンの元妻"、つまり"タブロイド紙が噂するリサ・マリー・プレスリー"そのものであり、メディアで彼女を見る機会といえば一連のスキャンダルに関しての映像か、モデルとしての彼女であった。だがしかし。そんな肩書きや上澄みだけのイメージが、デビュー・アルバムによって完全払拭される。やっと本当のリサに出会えるわけなのだ。そう、アルバム・タイトルもズバリ『リサ・マリー・プレスリー』。
 レコード契約を結んで以来、約5年に渡り、作曲やレコーディングのトレーニングを重ねてきたリサ。そんな彼女が満を持して放つデビュー・アルバム。その堂々たる貫禄はどうだろう!まずは何より力強いヴォーカルに耳を奪われる。大地にしっかりと根を張っているかのような意志のある歌声だ。ストレートなロック・サウンドをより個性的でパワフルなものにしているのは、その声の魅力に他ならない。そして、全曲彼女による詞も、このアルバムに命を吹き込んでいる大切な要因だ。リード・トラックとなる「Lights Out」では、故郷メンフィス、そして家族についてこう歌っている。〜誰かがメンフィスの灯を消した/そこは私の家族が土に眠る場所/最後にそこへ行った時に私は気付いたの/メンフィスの彼らの隣にぽっかり空いた場所があることを/そう、あの忌まわしい裏庭の芝生にね〜華やかな生い立ちであるが故に、暗い側面を持つ自らのバック・グラウンド。生涯消えることのない複雑な心の葛藤を赤裸々に綴っている。また、「To Whom It May Concern」では、児童権利を訴える運動の代表としても活動している彼女らしく、児童に投与される薬物に対する懸念を強く表明。「So Lovely」では、自身の子供達への無償の愛を情感豊かに表現している。まさに、今の彼女を形成しているいくつもの"感情のピース"を丁寧にはめ込んで完成したのがこのアルバムと言えるのではないだろうか。もちろん、脇を固める制作スタッフも、現在のミュージック・シーンを背負って立つクリエイター達の名がズラリと並ぶ。仕掛け人は、アラニス・モリセットを世に送り出し、ザ・コアーズやクリスティーナ・アギレラ等のアルバム制作に深く携わってきたグレン・バラード。主なプロデュースを手掛けるのは、トリー・エイモスのプロデューサーとしても知られるエリック・ロッセ。リード・トラック「Lights Out」をプロデュースしたのは、フィオナ・アップルやメイシー・グレイのプロデューサーであり、現キャピトル・レコードの社長のアンディ・スレイター。そして、最初の夫でもあり、最も親しい友人でもあるソングライター兼ミュージシャンのダニー・キーオも、この輝かしいアルバムを全面的にバックアップしている。
 憂いを含んだ眼差し(特に横顔!)が父・エルヴィスにそっくりなリサ。だが、イメージだけが一人歩きすることはもうない。彼女が作り出す"クィーン・オブ・ロックンロール"の歴史はもう始まっている。

Text by 池 佐和子

『リサ・マリー・プレスリー』
リサ・マリー・プレスリー-J.jpg




CD
東芝EMI
TOCP-66158
3月29日発売
¥1,905(税抜)

エルヴィス・プレスリーの愛娘、リサ・マリー・プレスリーのデビュー・アルバム。アラニス・モリセットを世に送り出したグレン・バラードや、トリー・エイモスのプロデューサーとして知られるエリック・ロッセら、強力な布陣。ストレートなロック・サウンドと力強いヴォーカルが非常に印象的。

【リサ・マリー・プレスリー 公式サイト(海外)】http://www.lisapresley.com/

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