SING LIKE TALKING

ARTIST PICK UP

SING LIKE TALKING

SING LIKE TALKINGがデビュー15周年に向けて放つ待望の新作は、
なんと初の "AAA(トリプル・エー)"SIDE SINGLE!
クオリティの方も当然、"AAA"の保証付き。

(初出『Groovin'』2003年4月25日号)

SING LIKE TALKING-A.jpg 世間的にはまだまだ若輩者の私だが、徐々に大人の生活の楽しみ方というのがわかり始めたのでは?と思うことがある。その理由は、いわゆる安物買いの銭失いが減ったこと。例えば洋服がいい例で、若い頃はその年だけ着られれば十分、とにかく流行最優先!だった。ぱっと見に目を引くデザインであれば素材や縫製なんて二の次なものだから、当然耐久性も悪く、すぐに着られなくなってしまう。だけど最近の私は、まずは品質重視で、自分のライフ・スタイルに本当に必要なもの、長くじっくりと愛していける自信のあるものをセレクトするようにしている。恋愛を含めた人間関係にも同じ事が言えるのかもしれないが、そんなふうに物や人と向き合えるのが、大人なのでは?と思うのだ。そして、私がここ数年強くSING LIKE TALKINGの音楽に惹かれるのは、単純に彼らのサウンド指向に因るのではなく、彼ら自身がそういう向き合い方が出来る数少ないアーティストだからなのだろう。
 2003年第1弾シングルとしてリリースされる今作は、なんと全4曲のうち3曲がタイアップ付き、"AAA(トリプル・エー)"SIDEという驚きの仕様となった。加えて現在レコーディング中で、秋に発売が予定されているオリジナル・アルバムの予告編ともいうべき内容になっている、いろんな意味で話題満載の、注目度の高い1枚である。
 特に1曲目に収録され、今作のリード・トラックとなる「Borderland」は、フィーチャリング・ヴォーカルとして、以前からメンバーと交流のある矢野真紀を迎えて制作された意欲作。彼女は個人的に好きなシンガーだったので、このコラボレートは純粋に楽しみでもあったし、SING LIKE TALKINGのサウンドにあの声がどういった形で絡んでくるのか興味津々だった。果たして、これが予想以上にいい感じなのである。佐藤竹善の少年性が含まれた涼やかな歌声に、ちょっとあくの強い矢野真紀の歌声がコーラスとして被る。そこに生まれる音空間の広がりといったらまるで高い高い青空を思わせる。広く全てを包む佐藤の声と、その中で雲のように自由にたなびいていく矢野の声は、安定感と浮遊感が同居するメロディ・ラインとも相まって、とても美しい風景を見せてくれる。幸せなコラボレーションのお手本と言えるような仕上がりだ。
 また、サウンドにも随所に匠の業が光っている。ギターのカッティングの音色ひとつとっても、じっくりと練り上げられたものであることが伝わってくる。そうした細部へのこだわりが、最終的に質が高く、シンプルで飽きの来ない、それでいてセンスの良い、とまるで老舗ブランドの靴やバッグのような文句になってしまったが、そんなサウンドを作り上げるのだと思う。この曲だけでなく、バラード・ナンバーとなった「The Love We Make」にしても、ミズノ「スーパースター」2003年度CMソングとしてすでにオンエア中の「In The Rhythm」にしても、3人のマイスターがスタジオという工房で少しの妥協も許さず完成させた珠玉の逸品であることは間違いない。
 ヌメ皮が太陽に当たることで飴色に変わっていくように、この作品も私の心の中でますます良い色に変化し、日々の生活に馴染んでいくのだろう。例えば十年後、ここに収められた楽曲は私の中でどんな色になっているだろうか?聴いた瞬間から、早くも将来を想像してしまう。そんな大人の楽しみ方が出来る作品だと思う。

Text by 鮎川夕子

『Borderland/The Love We Make/In The Rhythm』
SING LIKE TALKING-J.jpg



Maxi Single
ユニバーサル J
UPCH-5173
発売中
¥1,200(税抜)

「Borderland」はTBS系「ジャスト」エンディング・テーマ、「The Love We Make」はJDL「JDLIBEX」CMソング、「In The Rhythm」はミズノ「スーパースター」2003年度CMソングという、"AAA(トリプル・エー)"面シングル。

【SING LIKE TALKING 公式サイト】http://www.singliketalking.jp/

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