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革新的アルバム『泥棒』の発売、初主演映画「水の女」の公開、
そして約3年振りのライヴ・ツアーの成功…本格的にソロ活動を再開したUA。
久々のソロ・ツアー「空の小屋」の模様を収録したライヴ盤をリリース!

(初出『Groovin'』2003年4月25日号)

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 UAはライヴのヒトだ。私の生UA体験は1回のみ。それも、何組かのアーティストが集ったチャリティー・コンサートでのことだ。声を大にする。だからこそハッキリと言えるのだ、「UAはライヴのヒトだ!!」と。…というのも、そのチャリティー・コンサートには、人気&経験ともに出演者中ナンバーワンであろう爆音の某ガレージ・ロック・バンドや、超キャッチーな曲と愉快なMCを武器に客をのせまくる某パンク・バンドなどなど、ライヴにはチトうるさい面々が揃っていたのだが、UAには"まったく敵わない"といった印象であった。その日の彼女のステージは、一言で言えばダブ。目を引くアクションがあるわけでもない、ごくシンプルな編成のUAのステージに敵うアーティストなど1人もいなかった。フェスティバル的なコンサートでは、お客さんは目当てのアーティスト以外には割とシビアで、スローな曲なんてやった日にゃトイレ・タイムになっちゃったりする事もあるが(現にそのコンサートでも、ちょっとかったるいステージになった途端に喫煙所に人が殺到)、UAは違った。明らかに彼女目当てじゃない人の動きを完全に封じ込めていた。もちろんコブシを振り上げるワケでも歓声を上げるワケでもなかったが、うねる波に飲み込まれたように会場全体がUAの世界になっていった。淡々と刻まれるUAのグルーヴの前に、観客も、そして前後に繰り広げられた派手なステージも、へへーっとひれ伏したのだ。
 さて、そんなUAのライヴ・アルバムである。コレが悪いハズないじゃないですか!昨年11月23日の石川厚生年金会館を皮切りにスタートした全国15ヶ所18公演のライヴ・ツアー「空の小屋」は、光と映像を巧みに取り入れた舞台美術が非常に斬新で、ツアー・タイトル通りの演劇的な不思議空間が話題を呼んだ。そのツアーの最終公演となった渋谷公会堂での模様を収録したのが今回のライヴ盤だ。ソロ名義としては約3年振りとなったアルバム『泥棒』を中心に、2nd『アメトラ』、3rd『turbo』からの楽曲をバランスよく配している。最新作『泥棒』は、二胡やチェロ、ウッド・ベースといった生音に徹底的にこだわり、ポエトリー・リーディングまで披露した作品で、そこには一種の寓話を読むような独特な世界(ジャケも独特でしたね)が広がっていたが、このライヴもその延長線上にある。フェード・インするように始まるオープニング・ナンバーの「記憶喪失」、そして2曲目の「泥棒」での歌ともセリフともつかない言葉は、何とも形容しがたい怪しいエロスだ。アンコールの最終曲「閃光」まで、ドレープのようなしなやかさで歌い、呟き、表現し、ひとつの世界を作り出している。そして、その世界の創造を可能にしたのが、言わずもがなバンドの素晴しさ。デビュー時から活動をともにしている朝本浩文(キーボード)、ASA-CHANG(パーカッション)、鈴木正人(ベース)らが紡ぎ出すアンサンブルは、ため息が出る程本当に美しい。最後にもう一言だけ。「このライヴ会場にいた人が心底うらやましい」。

Text by 池 佐和子

『空の小屋』
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ビクターエンタテインメント
[初回盤]CD(2枚組)+DVD VIZL-79
[通常盤]CD(2枚組) VICL-6113〜4 ¥3,200(税抜)
発売中

約3年振りのライヴ・ツアー「空の小屋」の最終公演となった渋谷公会堂での模様を収録したライヴ盤。最新作『泥棒』を中心に、2nd『アメトラ』、3rd『turbo』からの楽曲をバランスよく収録。「閃光」「数えたりない夜の足音」「スカートの砂」「ミルクティー」他、2枚組全18曲。初回盤のみオマケDVD付き。

『空の小屋』
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DVD
ビクターエンタテインメント
VIBL-127
発売中
¥4,800(税抜)

ライヴCDと同時発売の今作は、ツアー「空の小屋」の最終公演となる渋谷公会堂でのライヴを収録した映像作品。UAのパフォーマンス、舞台演出、舞台映像が一体となって出来上がったSHOWは各方面から絶賛された。奇蹟のステージがここに甦る。

【UA 公式サイト】http://www.uauaua.jp/

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