SINBA

ARTIST PICK UP

SINBA

アーティスト飽和状態の音楽シーンに登場した16歳の歌姫SINBA。
この歌声を、世界観を、存在を、奇跡と呼ばずして何と呼ぶ!
ネクスト・レベルへの扉が今、開けられた!

(初出『Groovin'』2003年4月25日号)

SINBA-A.jpg "オンリーワン"という言葉を最近よく耳にする。それはなぜか?私なりに考えてみた。競争社会が価格破壊を生み出したり、ブロードバンド時代となったりで、あらゆるモノと情報が溢れ飽和状態になり、すべてが画一化してしまった人々の中で、自分なりの価値観を見出して自ら輝くことが今必要とされているからではないかと思う。わかりやすく相撲に例えれば、相手と同じ土俵に立って勝負するのではなく、自分の土俵を作ってしまえば、そこでは誰もが横綱で毎日が優勝パレードだよってことだと思う。ただし、自分ひとりで土俵を作ることは相当な重労働で、努力が必要でもある。
 音楽の世界においても、私たちはアーティストの飽和状態に面しているのでないだろうか?出尽くした感はないだろうか?だからといって、奇をてらった曲は新鮮さゆえに一時はヒットするが、すぐに消え、"一発屋"と呼ばれることも少なくない。私はそんな音楽シーンの救世主の影をSINBAから感じとった。というのも、彼女の歌声には奇跡を起こすパワーが秘められていて、彼女の存在自体、奇跡が生み出したものと認めざるをえないほどの素晴らしい才能の持ち主であるからだ。
 この原稿を書くにあたり私の元に届いた資料には、彼女に関するプロフィールはなかった。故に音の資料を頼りに書かなければいけないのだが…実はそれで充分だった。この16歳の少女の声には無数のイメージが集約されている、聴く人の数だけ解釈の仕方はあるのだと考えたからだ。よって、思いつくままに彼女について書こうと思う。思いつくままに詩と絵を描くことが大好きな彼女同様に。
 その声は母親のような優しさと温もり、包容力を持つ。しっかりとした芯と、太い存在感のある声質。伸びやかで表現力豊かな歌いまわし。ハスキーな高音から感じとれる繊細さ、純粋さ。彼女の存在自体まるで海のようだ。穏やかで、時に波のように力強い。どこまでも広く、深く、青い。すべての生命のルーツである深海をもイメージさせる。神秘と奇跡が生んだ声なのだろうか。
 今作『FANTASY』は、そんな彼女の新たな世界に触れることのできる作品に仕上がっている。バラードだった2ndから一転して、今作はアップ・テンポなナンバーで、打ち込みとギター、サビの部分での巧みな展開など、今までの彼女の曲にない印象を受けた。すでに自身のスタイルを完成させながらも、そこからまた進化するであろうという期待感に胸が膨らんでしまう作品である。
 今作の詩の一節にこういう箇所がある。〜星の降る夜に 終わらない夢を見よう 新しい未来の行方を 解り合うことなんてないけれど どこまでもずっと二人で 走り出す光の虹渡ろう〜文頭でオンリーワンいう言葉をよく耳にするという話をしたが、紛れもなく彼女は音楽シーンにおいてのそれだろう。そして現在のアーティスト飽和状態に奇跡を起こし、日本の音楽シーンをネクスト・レベルへ導くのは、彼女のような新しい才能ではないだろうか?今作の詩はそう確信させるものでもある。夢をSINBAに託し、彼女ともに奇跡を起こそうではないか!

Text by 齋藤雅哉(鎌倉深沢店)

『FANTASY』
SINBA-J.jpg



Maxi Single
ワーナーミュージック・ジャパン
HDCA-70016
発売中
¥1,000(税抜)

前作のバラードから一転して、今作はアップ・テンポなナンバー。彼女の奥行きの深さを感じ、これからを期待させる作品に仕上がっている。16歳の少女とは思えない不思議な魅力はまさに奇跡。

【SINBA 公式サイト】http://wmg.jp/artist/sinba/

inserted by FC2 system