山崎まさよし

ARTIST PICK UP

山崎まさよし

「自分の中でスタンダードナンバーになればいいかなと思いまして…」。
"1人"というコンセプトと共に原点に帰ってきた山崎まさよしが、全ての悩める未完成人間に贈る名曲「未完成」。

(初出『Groovin'』2003年5月25日号)

山崎まさよし-A.jpg 早い。それにしても早い。前作『全部、君だった。』からまだ2ヶ月だというのに、もうニュー・シングルをリリースとは。この早さは一体? 
 「今の世の中って、"早い"とか"新しい"ことが良しとされて、"遅い"とか"古い"ことが良くないとされがちだけど、必ずしもそうじゃないんだよね。」と、ある人が言っていた。確かにそうだと思う。でも、世の中は何かに急かされるように動いているのも事実。でも、そんな中にあっても、ちゃんと自分の時間を生きている人もいたりする。そういう人の中に、山崎まさよしもいると思う。これまでの彼の活動を見ても、時間に追われることなく、独自の流れの中に生きている感があった。"アーティスト"と呼ぶより"職人"と呼ぶほうが、らしい気もする。95年のデビューから一貫して、どちらかというとゆっくりめのペースで良質の作品を作り出してきたイメージがある。そういう意味では"名人"とも呼べるかもしれない。それがここへ来てこの早さ。なんでも、今年の彼の活動コンセプトは「1人」らしいのだが、それ以外にも、何か改めて思うところがあるのだろうか?
 新作のタイトルは「未完成」。耳が痛い。けれど、この言葉に似たものと日々格闘しているのは、私だけではないだろう。なんて思って聴いていたら、今度は流れてくるフレーズに大きく頷いてしまった。「冗談のように過ぎる毎日を 笑い飛ばしてみたり こだわってみたり ただ先も見えず歩いているから 君の声だけでも聞きたいんです。」
 歌謡テイストのメロディーに乗って流れてくる言葉は、どれもこれも自分と重なる。どんな事でも受け止めながら前に進んでいければいいけれど、なかなか自分の中で折り合いをつけられない。そんな自分にこの曲は「自分のペースでええんちゃう?」と言ってくれているようにも思える。曲のテンポも、歩く速さ、それもゆっくりと周りの風景を感じながら歩くくらいの速さだ。彼にしては初めての8ビート・ナンバーでもある今作だが、「山崎まさよし×16人」という、1人「ゴスペルクワイヤー(ゴスペルコーラス隊)」のコンビネーション&全楽器(ドラム、ベース、オルガン、エレキ・ギター、アコースティック・ギター)の融合は絶妙!本当だ!確実に今年のコンセプト(=「1人」)を全うしてる!
 「自分の中でスタンダードナンバーになればいいかなと思いまして…。(by 山崎)」1人でギターを弾きながら歌い始めた彼が、あらゆる人との音作りを経て、また原点に帰ってきた。だからこそ生まれたであろう今作は、彼の中だけでなくあらゆる人にとってもスタンダードな1曲になるはずだ。なぜなら、きっと多くの人が自分を「未完成」だと思いながら日々を送っているはずだから。

Text by 二宮万里(編集部)

『未完成』
山崎まさよし-J.jpg




Maxi Single
ユニバーサル J
[初回盤] DVD付 UPCH-9056 ¥1,500(税抜)
[通常盤]UPCH-5178 ¥1,200(税抜)
発売中

今年のコンセプト"1人"を全うし続ける山崎まさよしの2003年第2弾は、初の8ビート・シングル。全ての悩める未完成人間へ贈る珠玉のナンバー。C/Wは全ての悩める恋人達に贈る1曲。初回盤には今作DVDの緊急企画会議の模様(セミドキュメント)を収録したスペシャルDVD[オフライン]付(受注生産限定)。

【山崎まさよし OFFICIAL WEB SITE】http://www.office-augusta.com/yama/

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