オノ・アヤコ

ARTIST PICK UP

オノ・アヤコ

新生オノ・アヤコが放つ、
アジアへ向けた第1弾発信アイテム『Jericho』。
それは異国情緒溢れるサウンドで大陸的なスケールを描く、壮大なバラードだ!

(初出『Groovin'』2003年5月25日号)

オノ・アヤコ-A.jpg 届いたばかりのサンプル盤をトレーに入れてPLAYボタンを押すと、胡弓の音が響くアジアン・テイストなサウンドが流れてきた。あれ、これってオノ・アヤコ?もう一度アーティスト名を見直す。"オノ・アヤコ 3rd Maxi Single 『Jericho』"。その瞬間、あの伸びやかなヴォーカルが流れてきて、確かに彼女の声だと確認する。どうやら彼女は随分と劇的な変化を遂げてしまったようだ。
 2002年8月に発表したデビュー・シングル「TWO OF US」で、アッパーなダンス・ビートに独特の妖しさを入れ混んだ"サイバーエスニック"というコンセプトを提示し、シーンに鮮やかな存在感を記憶させたオノ・アヤコ。続くセカンド・シングル「青い鳥が逃げた」では、4つ打ちのトランス感あふれるダンス・ナンバーに、聴きやすい歌謡曲テイストを同居させるという"rhythmic"なるコンセプトによって制作され、繊細かつ安定感のある歌声と共に"オノ・アヤコ・スタイル"を完全に確立したと言える。その2枚におけるコンセプトの提示者は、SMAPの「SHAKE」「ダイナマイト」「らいおんハート」などのヒット・メイカーとして有名なコモリタミノル。彼が作り出す鮮やかでポップなダンス・ミュージックは、彼女の資質を存分に引き出すことに成功した。
 そして5月21日に発表されたばかりの3rdマキシ「Jericho」は、今までのイメージを一新させるような大陸的な大らかさをイメージさせるバラードだ。何よりも驚いたのは異国情緒溢れるサウンドで、胡弓とアコースティック・ギターが絡むオリエンタルなイントロから、胸を締め付けるような切ない情感が爆発するサビまで、一貫してワールド・ミュージック的とも言うべき音作りがなされていること。それに合わせ歌声もまた、今までの溌溂とした力強いヴォーカルから包み込むような優しい歌い方へと一変していて、彼女のヴォーカリストとしての表現の幅広さも改めて実感できる。
 作曲を担当したのは彼女のヴォイス・トレーニングの先生でもある福岡在住のメロディ・メーカー、一木弘行。一木氏は彼女に音を作っていくことの楽しさを教えた言わば恩師でもある。彼女にとってこの曲は4年以上も前に出会い、音楽に対する純粋な気持ちを思い出させてくれる大切な曲なのだそうだ。そんな"心の曲"に詞をつけたのは、あの阿久悠。70年代を中心にヒットを連発した言わずと知れた歌謡界の重鎮だ。ちなみにタイトルの「Jericho」というのは、アジアの西の端に位置し、よく"アジアの果て"と表現されるイスラエルにある街の名前のようだ。このエピソードと、切ない曲調、エスニックなサウンドといった要素から個人的に思い出されたのは、久保田早紀の1979年のヒット「異邦人」(古い例ですいません)だが、「Jericho」は正にあの名曲の持つスケール感や普遍的なメロディ・ラインに負けずとも劣らない作品と言える。
 この曲をきっかけとして本格的にアジアを見据えた活動を開始するというオノ・アヤコ。今後の展開にますます目が離せない。

Text by 高瀬康一(編集部)

『Jericho』
オノ・アヤコ-J.jpg




Maxi Single
バップ
VPCC-82171
¥1,000(税抜)
発売中

3rdマキシ「Jericho」は今までのイメージを一新させるような大陸的な大らかさを喚起させるバラードで、アジアへ向けた第1弾発信アイテムとなる。日本テレビ系「FUN」FUN'S RECOMMENDS#029、TBS系TV「Pooh!」5月度エンディング・テーマ。

【小野綾子 Official Website】http://www.vap.co.jp/ayako/

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