the road to Dreamsville

　さて今回は、待望のヴァレリー・カーターから。今回リリースされる『ミッドナイト・オーヴァー・ハニー・リヴァー』は実に5年ぶりとなるアルバムで、ライヴ音源2曲+スタジオ録音2曲で構成される2枚組。これは日本だけの特別仕様だ。しかもそのスタジオ録音2曲には、ジャクソン・ブラウン（Cho）やボニー・レイット（G）が参加。またライヴ・パートの方は、DISC 1の12曲は2002年10月メンフィスとイリノイ州スプリングフィールドでの録音から、そしてDISC 2の9曲は今年1月フロリダ／タンパでのステージからと、最新の音源。しかもDISC 2の方にはリトル・フィートのフレッド・タケットとビル・ペイン、ポール・バレルがゲスト参加という豪華な内容。彼女のヴォーカリストとしての圧倒的な存在感を、是非このライヴ・アルバムでご堪能下さい。
　そしてもう1枚。これはタイトルからもお分かりの通り、ランディ・マイズナーがポコやイーグルスに参加する以前の66〜68年に在籍していたフォーク・ロック・バンド、ザ・プアー時代の音源を中心にセレクトしたもの。彼らの全4枚のシングルに加え、O.S.T.『爆走！ヘルズ・エンジェルス』（この映画は最近キングからDVD化）収録のレア曲や、その前身となったソウル・サヴァイヴァーズ（64〜66年）のシングルなどもプラス。ザ・プアーのメンバー、ランディ・ネイラーはボールルームのジム・ベルやカット・ベッチャーとも交流を持ち、またランディ・マイズナーとパット・シャナハンはミレニウムのセッションに参加するなど、L.A.のソフト・ロック・シーンとも関わりのある彼ら。ステュー・フィリップス（Dino, Desi & Billyによる超美曲「Thru Spray Colored Glasses」も彼の作品でした）作品である「Study In Motion No.1」はファン必聴です。

（初出『Groovin'』2003年5月25日号）
Text by 土橋一夫（編集部）