編集長のおすすめ!

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 今月もお薦めしたい作品が色々とありますので、いつものレコ評形式でお届けします。特に新譜関係は色々と注目すべき作品がリリースされておりまして、その中でも特にお薦めしたいのはCymbalsのニュー・アルバム『Love You』。前作『sine』もアッと驚くサウンド・アプローチで印象深いアルバムでしたが、今作はまたそれとはうって変わって、彼らの音楽の奥行きの深さを感じさせてくれた作品となりました。特にアレンジの手法は今までのバンド・スタイルにこだわらず、ある曲では大人数のブラスを導入し、またある曲では沖井礼二+土岐麻子(&サポート)、また他の曲では矢野博康+土岐麻子+& NONA REEVESの奥田健介、というような、曲ごとのミュージシャンの使い分けがさらに進み、その結果として今までのCymbals像をいい意味でうち破った作品となりました。これは是非お聴き頂きたい大プッシュの作品です。その他にも、山岡恭子やノアルイズ・マーロン・タイツなど個性的な作品が多数リリースされておりますし、洋楽もミルトン・ナシメントのベスト盤をはじめ相変わらず良い作品が目白押し。ここで気になった作品は、是非店頭にてご自分の目で耳でチェックしてみて下さい!

Text by 土橋一夫(編集部)
(初出『Groovin'』2003年5月25日号)

Cymbals
『Love You』
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CD
ビクターエンタテインメント
VICL-61132
発売中
¥2,900

このタイトルからしてまたタダものではないアルバムを作ったなと思って聴いたら、予想を遥かに超える素晴らしい内容!ポップさとロック精神の融合、そしてアイディアの引き出しの多さと音楽への深い愛情、どれをとっても脱帽もの。特にブラスを大量動員したビッグ・バンド風のM-2やキャロル・キングのCityも驚くM-3、それにM-6、M-10など、音の幅広さも魅力的。沖井君、やられました!

ノアルイズ・マーロン・タイツ
『SITTING ON BOTTOM OF THE WORLD』
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CD
nowgomix Records
NGCA-1011
発売中
¥2,190

最近は、色々なところでその名前を見かける彼らが、遂に2ndアルバムをリリース。現在アコースティック・スウィングが静かなブームだが、古き良きアメリカの原風景を思い起こさせる人間味溢れるサウンドは、ある意味今一番新鮮。鈴木惣一朗氏をはじめとするメンバー個々が最近行ってきた他流試合の経験も、彼らを成長させた。大滝さんのラジオでお馴染みの「Dr. Kaplan's Office」など、こだわりの選曲にも注目。

山岡恭子
『SugarLaVox』
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CD
Tuppence Records/
Egg-man disc
TPNC-1001
発売中
¥2,190

かつて山岡京子として作品をリリースしていた彼女が、昨年突如の再結成で話題となった葡萄畑のメンバーの協力を得て、新たなアルバムをリリース。葡萄畑の青木和義プロデュースにより完成した本作は、葡萄畑的なロックな部分と、彼女の持つ"地に足のついた静の部分"とが融合し、独特の輝きと色彩感を放つ。ヨシンバやCYCLESのメンバーもコーラスで参加したM-3「漂泊の日々」は、感動の1曲。

ゲントウキ
『素敵な、あの人』
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Maxi Single
Dreamusic
MUCT-5002
6月18日発売
¥857

今年2月に「鈍色の季節」でデビューしたゲントウキが、早くも2ndシングルをリリース。しかも久々に聴いた王道ポップス。これが実に良い。そして潔い。シャッフル調のリズムとツボを心得たアレンジだけでもグッとくるが、それに加えて美しいコーラスと歌詞がハッキリ浮かび上がるVoの伸びやかさ。C/Wの「夏の思い出」の爽やかさも印象的だ。早くアルバムが聴きたくなった。

バタアシ☆キング
『バタアシ☆キング』
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CD
サードワールドレコード
TW-00003
発売中
¥2,400

徳島をベースに活動してきたバタアシ☆キングの、1stアルバム。フィッシュマンズやPolarisにも通じる浮遊感あるサウンド、そして特徴ある高音が魅力的なVo田中トモアキの声が印象的。フィッシュマンズやコーネリアスで育った世代が創り出す甘酸っぱくポップな楽曲は、J-POPSシーンが新たなステージに入ったことを感じさせる。元フィッシュマンズのHakase-SunによるRemixも収録した充実作。

ミルトン・ナシメント
『ミュージック・フォー・サンデイ・ラヴァーズ』
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CD
東芝EMI
TOCP-67159
発売中
¥2,427

最近はカフェ・ミュージックなるムーヴメントの広がりと共に、ボサ・ノヴァやサンバ、ブラジル音楽へも注目も集まっているが、そんな中ミルトン・ナシメントの待望のベスト盤がリリースされた。本作は彼が69〜78年の間にEMI-ODEONからリリースした8枚のアルバムからセレクトされた初のベストで、代表曲など美味しいところは全て網羅。これからの季節にピッタリの音を満載した、最高の選曲によるお薦めの1枚だ。

キム・フォックス
『リターン・トゥ・プラネット・アース』
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CD
philter records
PRPH-2060
発売中
¥2,400

ノーマン・フォックスの娘であり、96年にDreamworksからデビューしたキム・フォックスが待望の2ndアルバムを発表。本作はプロデュースをライナス・オブ・ハリウッドが、またジョン・ブライアンやロジャー・マニング(ex:Jellyfish/Beck Band)、マーゴ・ガーヤン、そしてワンダーミンツ等のサポートでも活躍のプロビン・グレゴリーが参加。ポップでちょっと捻りの効いた、会心作!

フィル・コーデル
『I WILL RETURN』
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CD
EM Records
EM1019CD
発売中
¥2,800

このフィル・コーデルという人物について知る人は、恐らくほとんどいないだろう。しかしこのCDを聴けば、彼がどのような志向を持ち、UKのポップ・シーンで活動してきたのかが手に取るように分かるはずだ。本作は彼のソロ作から変名作品まで、69〜86年の期間に発表されたものを網羅した初の本格的作品集。基本は1人多重録音だが、様々なアイディアを持ち実践された作品満載の宝箱のような1枚。

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