ARTIST PICK UP
orange pekoe
クールでありハッピー、カラフルでありモダンなオレペコ・サウンド満載!
ニュー・アルバム『Modern Lights』は
どこから聴いてもorange pekoeの魅力が詰まった、とっておきの1枚。
(初出『Groovin'』2003年6月25日号)
orange pekoeの曲を聴くと、いつも身体中に南国の香りが満ちてくるような気がする。照りつける太陽に蒸された土の匂いや、原色に咲き誇る花の甘い香り、夜風に乗って漂ってくる涼しげな潮の香などが、orange pekoeの音楽の中には充満している。と同時に、彼らのサウンドにはクールで都会的なテイストも存在している。太陽の陽射しさんさんと降り注ぐハッピーなサウンドと夜の闇に現れては消えるちょっと危険な香りのするクールなサウンド、一見正反対と思われるこの2つの要素が絶妙に組み合わさり出来上がった「orange pekoe」という心地よい音楽。この音楽が多くの人の心をつかんで離さないのは、昨年発売された彼らのファースト・アルバム『Organic Plastic Music』の大ヒットと、その後シングルを発売するごとに新たなファンを増やしつつある現状を見れば、何よりも明らかだろう。
そんなorange pekoeのセカンド・アルバム『Modern Lights』は「生楽器+プログラミング」という手法により完成された前作よりも、いっそう生楽器の色が強く打ち出された印象を受ける。インディーズ時代より定評のあるナガシマトモコの生命力溢れる歌声と、藤本一馬の洗練されたギター・テクは今作でも相変わらず健在で、「オレペコ・サウンド」とでも言えようか、サンバやアフリカン・ビートといった躍動感溢れるサウンドから、JAZZ、R&B、フューチャー・ジャズからのアプローチまで、他の何者でもない「これぞorange pekoeの音だ!」と思わせるサウンドが、どの曲から聴き始めても充分に感じとれるアルバムなのである。
ビッグ・バンド・サウンドが話題となった先行シングル「極楽鳥〜Bird of Paradise〜」は、ホーン・セクションを従えて一発録りしたという躍動感溢れる曲。14人ものバック・ミュージシャンの出す生楽器の音の厚みに引けを取らない、ナガシマトモコのヴォーカルは見事の一言。ヴィブラフォンの軽やかな音色が耳に心地よい「スウィート・ムービー」、篠笛や琴という和楽器+プログラミングによってクールで都会的なサウンドを作り出した「蓮」や、イントロのスキャットからベース、ピアノへと移行する音の作り方はいかにもオレペコ・サウンドといった感じの「メトロ」。又、アルバム中、唯一ヴォーカル+ギターというシンプルなサウンドでありながら、お互いの持ち味をうまく生かし合っている「Birthday Song」、サンバのリズムに乗せて「何よりも歌うことが大好き」だというナガシマトモコの弾むような歌声が楽しい「ひとつになれば」や、オフィシャルHPで先行発表された"平和を願う"歌「NIJI(Rainbow)」の日本語ヴァージョン「虹」、シングル・カットされた「Beautiful Thing」「Honeysuckle」など、耳に心地よい、聴くだけでハッピーな気分になれそうな曲まで、このアルバムでは充分に楽しむことができる。
全13曲、途中にインストゥルメンタルを挟み込むなどヴァラエティに富んだ構成でありながら、アルバム全体のバランスは損なわれることが無く、62分の収録時間があっという間に過ぎてしまう程、充実した内容の『Modern Lights』。ひとたび聴き始めたら最後、クールでありハッピー、カラフルでありモダンなオレペコ・サウンドの虜になってしまうこと間違いなしの、クセになりそうなアルバムなのである。
Text by 大野裕子(函南店)
『Modern Lights』
CD
BMGファンハウス
BVCS-21033
7月2日発売
¥2,913(税抜)
約1年ぶりのニュー・アルバムは「生楽器+プログラミング」という手法の前作のスタイルから、より生楽器を前面に打ち出した新たなサウンド・スタイルに注目。先行シングル「極楽鳥〜Bird of Paradise〜」他 、「Beautiful Thing」「Honeysuckle」も収録。初回のみ三面デジパック仕様(アートブック封入)&全国ツアー・チケット先行予約情報封入。
【orange pekoe 公式サイト】http://www.orange-pekoe.com/