RIP SLYME

SPECIAL SELECTION

RIP SLYME

TIME TO GO!さぁ、ネクスト・ステージへ!
ミリオン・ヒットとなった『TOKYO CLASSIC』に続く、約1年ぶりの3rdアルバムが完成。
彼らは<次なる段階>で私達にどんな景色を見せてくれるのだろうか?

(初出『Groovin'』2003年7月25日号)

RIP SLYME-A.jpg 「ひとりで勝手にアルバム・タイトルはどうしようかなと漠然と考えてたんです。…"時間" "タイム"みたいなのがいいなぁって思ってて。で、そういえば「TIME TO GO」って曲があったじゃんって。"立ち上がって、さぁ行きましょう!"みたいな言葉でいいなって。それでアルバム・タイトルにしたんです」(RYO-Z)
 待ちに待ったRIPのニュー・アルバムである!タイトルは『TIME TO GO』。思えばHIP HOPをポップ・ミュージックとして見事に機能させ、作品をリリースする度にドンドン大きくなっていった彼らだが、3rdアルバムとなる本作が持つ意味には"仕切り直して再出発"的な部分があるのかもしれない。確かに、全体的にトラックはシンプルなものへと移行した感触もあるし、各MCの輪郭がより際立った仕上がりだ。これまでのRIPには珍しかったとも言える、いわゆるHIP HOPのベイシックな手法&表現も見え隠れしていて、それが逆に新鮮でもある。「"ここがターニングポイント" "次のステージへ!"みたいな気分は今すごくありますね。なんか先を見据えてやっていかなきゃっていうところが、すごーくあります、今は」(PES)…なるほど、"TIME TO GO"とはつまり、彼らの現在の心境そのものなのだ。
 HIP HOPアルバムとしては初のミリオン・ヒットとなった『TOKYO CLASSIC』に続く、約1年ぶりの3rdアルバムである本作は、先行シングル「JOINT」を始め、昨年末にリリースされたシングル「BLUE BE-BOP」とそのc/w曲「WHY」を含む、濃密な1枚。特に、昨年のツアーで初披露された「HOTTER THAN JULY」(今年3月に発売された映像作品集「Shortcuts!」にもPES初監督のPV映像曲として収録。本作収録にあたりリテイク)は、"シングルでやりたい"という話も出た程メンバーお気に入りの1曲で、イントロダクションに続くオープニング・ナンバーとして相応しいアッパー・チューンだ。他に、ILMARIとKICK THE BEATBOX(4月に行われたILMARIのソロ・ライヴにも出演)がヒューマン・ビートボックスでリズムを担当した「WHAT'S UP?〜HOW'RE YOU DOIN?」、ビートナッツの「No Escapin' This」を意識して制作されたというディープ・グルーヴィーな「ベイシック・ライン」、サーフ・ギターのようなベース音がドラッギーな「チェッカー・フラッグ」、生ピアノのループがジャジーな雰囲気を醸しだす「SHALL WE?」、PES曰く"久石譲っぽい"コード進行が印象的な「虹。」等、クオリティの高い作品が並ぶ。また、"作ったその瞬間を密封パックする"という意味合いのタイトルを持つ「ミニッツ・メイド」では、歌詞カードにトラックを作った日やリリックを書いた日時を明記するなど、彼ららしい趣向で楽しませてくれる。そして、RIP初の4つ打ち(!)であるアウトロへと繋がる1曲であり、タイトル・チューンでもある「TIME TO GO」は、ホンの少し哀愁を帯びたメロウなナンバー。当初"卒業"がモチーフだったそうで、この曲を通して伝わってくる<新しい場所へ向かえ><もう振り返るな>というメッセージには、色〜んなコト(もちろん自分自身のコトも)が重ね合わさり、何だか胸が熱くなってしまう。
 TIME TO GO!…さぁ、ネクスト・ステージで彼らは私達にどんな景色を見せてくれるのだろうか?

Text by 池 佐和子

『TIME TO GO』
RIP SLYME-J.jpg




CD
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCL-10012
¥2,800(税抜)
発売中

HIP HOPアルバムとしては初のミリオン・ヒットとなった『TOKYO CLASSIC』に続く、約1年ぶりの3rdアルバム。先行シングル「JOINT」を始め、「BLUE BE-BOP」とそのc/w曲「WHY」の他、昨年のツアーで初披露された「HOTTER THAN JULY」を含む、全16曲。

【RIP SLYME OFFICIAL HP】http://www.ripslyme.com/

inserted by FC2 system