宮地真緒

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宮地真緒

話題の実力派女優、宮地真緒が音楽活動を開始!
9/24にリリースしたデビュー・マキシ・シングルでは、あの山口百恵の往年の名曲をカヴァー。
これは聴き逃せない!

(初出『Groovin'』2003年9月25日号)

宮地真緒-A.jpg 今年の夏のドラマで個人的な一押しは何と言っても「ウォーターボーイズ」(フジテレビ系火曜21時〜)だった。信頼できる数少ない日本映画界のクリエイター、矢口史靖監督のメガホンで製作された映画版も大好きだったが、その2年後という設定で語られるドラマ版も映画の魅力を実に上手く引き継いでいた。シンクロナイズド・スイミング同好会の男子高校生達が文化祭での公演実現を目指し熱く過ごすひと夏の様子が描かれていたわけだが、スポコン特有の暑苦しさは全く無く、バカバカしい笑いとちょっとした感動が爽やかに心に残る良質な青春エンターテイメントに仕上がっていた。そして主人公の山田孝之にほのかな恋心を寄せる幼なじみを好演しているのが、本稿で紹介する宮地真緒だ。
 僕はこのドラマで初めて彼女のことを知ったが、3年前のデビュー以来着実に人気、実力を付けている本格派女優であり、昨年NHKの連続テレビ小説「まんてん」のヒロイン(1916人の中から選出された!)を演じたあたりから認知度が急激に高まったようだ。確かに演技は上手く、その「ウォーターボーイズ」で見せる(同じく演技派である)山田孝之との絡みにしても、アイドル主演同士のドラマにありがちな観ているこっちが恥ずかしくなるようなシーンには絶対にならないのが頼もしい。兵庫県淡路島出身の19歳というから、都会生活にまだスレていない瑞々しさも人気の秘密だろうか。
 前置きが長くなったが、その宮地真緒が9/24にデビュー・マキシ・シングルをリリースした。その曲とは山口百恵の往年の名曲2曲「秋桜」と「夢先案内人」というから、歌謡曲ファンは黙っちゃいられない。
 「秋桜」は山口百恵の1977年発表のシングルで、当時デビュー4年目を迎えた彼女が初めて大人びた曲に挑戦したという記憶がある。作詞/作曲を担当したさだまさしお得意の、娘の結婚を翌日に控えた母娘の微妙な心象風景を描いた、まるで小津映画のようなシーンが印象的なナンバーだ。そんな歴史に残る名曲を、宮地真緒はアコースティックな王道アレンジに乗せて堂々と歌いこなしている。落ち着いたアルト・ヴォイスがなんとなくオリジナルのヴォーカルに似ているのが嬉しいが、あと5、6年成長した後の方がリアルな表現力が出せたような気もする。c/wの「夢先案内人」(同じく77年発表)は個人的には山口百恵の全シングルの中でも「乙女座宮」と並ぶフェイバリット作品だ。お馴染みの阿木耀子/宇崎竜童コンビの作品で、後の松田聖子の「秘密の花園」にも通じる楽園ムードのドリーミーなナンバーだ。本作のヴァージョンは、まるで70年代の細野晴臣作品をカヴァーしているような趣のサイバー・エキゾチックなアレンジが逸品で、オリジナルには無いアジアン・テイストをプラスして今っぽさを醸し出すことに成功しているのは、編曲を担当した武部聡の手腕であろう。
 なぜ山口百恵?という疑問が残る読者もいると思うが、宮地真緒は昨年2nd写真集「アオイトキ」が発売された時に、タイトルも含めて"山口百恵の再来"と話題になったそうだ。ピュアな感性と、その奥に潜む大物の予感はなるほど山口百恵のデビュー当時を彷彿とさせる。中高生に人気のアイドルは量産されても老若男女に愛される国民的なスターがいなくなって久しいが、果たして宮地真緒はどこまで行き着けるか。これから実に楽しみだ。

Text by 高瀬康一(編集部)

『秋桜』
宮地真緒-J 初回盤.jpg宮地真緒-J 通常盤.jpg



Maxi Single
ユニバーサル J
[初回生産限定盤]DVD付き UPCH-9121 ¥1,500(税抜)
[通常盤]UPCH-5212 ¥1,200(税抜)
発売中

実力派女優、宮地真緒が9/24にリリースしたばかりのデビュー・マキシ。山口百恵の数ある名曲の中でも抜群の人気を誇る「秋桜」と「夢先案内人」のカップリングだ。特に「秋桜」の、「縁側」「小春日和」「日溜り」といった言葉の持つ情緒は忘れかけた何かを思い出させてくれる。

※ジャケット写真は、左が初回生産限定盤、右が通常盤です。

【宮地真緒 Official Homepage】http://www.horiagency.co.jp/hori/mao_miyaji/

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