EMYLI

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EMYLI

今年6月にデビューした15歳のR&Bシンガー、EMYLIが早くも1stアルバムをリリース!
日本人離れしたリズム感、10代とは思えない表現力…。
彼女の才能はグローバル・スタンダードだ!

(初出『Groovin'』2003年9月25日号)

EMYLI-A.jpg 涼しげな切れ長の目元に黒髪のロング・ヘア。典型的な日本美人の容姿を持つEMYLIだが、その感性はおよそ日本人離れしている。フェイバリット・アーティストとしてダニー・ハサウェイやアリシア・キーズの名を挙げる15歳が一体何人いるだろう?しかも、3歳にしてマライア・キャリーやホイットニー・ヒューストンの歌い方を真似していたというから、空恐ろしい限りだ。その早熟なまでの才能開花は、周りの環境に拠るところも大きい。音楽好きの両親、日常的にR&Bが流れている家庭。両親に連れられ幼少の頃から触れてきたビッグ・アーティスト達のステージ。そして、在学中であるアメリカン・スクールではフレキシブルな国際性が培われた。今年6月、シングル「Rain」でシンガーとしての第一歩を踏み出した彼女は、「グラミー賞を獲りたい」とサラリと言ってのける。それがごく自然のことのように聞こえてしまうところに、彼女の器の大きさを認めざるをえない。ひょっとして本当に世界で勝負できるかもしれない…そんな風に思わせる15歳はそうザラにはいない。
 破格の歌唱力と並外れたリズム感でシーンを騒然とさせたデビュー・シングル「Rain」から3ヶ月、早くも1stアルバムが完成した。伸びやかなフェイクが圧巻のオープニング・ナンバー「You&I」に始まり、2ndシングルにもなった、マライア・キャリーに勝るとも劣らないハイトーン・ヴォーカルで迫る名バラード「Someday」、エモーショナルなピアノのイントロで始まる記念すべきデビュー曲「Rain〜Album Version〜」、70'sディスコを彷彿させるダンサブルな「恋の季節」、ゴスペル調のコーラスがスケール感を醸しだす英語詞の「Whenever You Call My Name」、ジャズ・アレンジがオリジナルとは異なった輝きを放つ「Rain〜English Version〜」(ボーナス・トラック)等、クオリティーの高いR&Bナンバーが並ぶ会心作だ。アルバムの第一印象としては、その類稀なテクニックに裏打ちされた表現力にまず驚かされる。完璧なバイリンガルである彼女が歌う英語のフレーズは当然リアルに響いてくるし、幅広い声域とファルセット・ヴォイスから紡ぎ出されるグルーヴ感は、とてもティーンエイジャー・シンガーのそれとは思えない。と同時に、その成熟したヴォーカル・スタイルの反面、本人の手による歌詞の世界観は"15歳の今"でしか綴ることのできない感性に満ち溢れたものであるということも印象深い。"Baby crazyなくらい/恋してみたいYou&I/ときめきが暴れてる体中を"(「You&I」)、"メールに書いた/キミの名前が/せつなく心に響く"(「Someday」)等々、思春期の微妙であやうい感情がストレートに伝わってくる。プロ・シンガーとしてのプライドと背中合わせになっている歳相応の少女の佇まい…そんな二面性が、このアルバムのもうひとつの魅力なのかもしれない。
 EMYLIがこれからどう成長していくのか、そして、このJ-POPシーンをどう変えていってくれるのか、本当に楽しみだ。彼女への期待は高まる一方である。

Text by 池 佐和子

『Flower of Life』
EMYLI-J.jpg




CD
BMGファンハウス
BVCS-24009
発売中
¥2,800(税抜)

今年6月にデビューした15歳のR&Bシンガー、EMYLIの1stアルバム。日本人離れしたグルーヴ感、テクニックに裏打ちされた表現力がとにかく圧巻。完璧なバイリンガルなだけに英語のフレーズもリアルに響く。デビュー・シングル「Rain」、2ndシングル「Someday」を含む全13曲収録。

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