風待レコード

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 新たな才能が次々と現れ注目を集め続けるインディーズ・シーンですが、その中にあってひと味違ったコンセプトと意識を持って新しい"風"を巻き起こすレーベル…「風待レコード」が誕生したことは皆さんご存じですよね?『Groovin'』ではこの「風待レコード」の活動に注目し、これからも継続して情報をお送りしていきたいと思っております。さて『Groovin'』8月号(#47)にて掲載した松本隆氏インタヴュー、いかがでしたでしょうか?松本隆氏の考えるこれからの音楽のあり方、そして本物の良い音楽をリスナーに確実に伝えていくには、これからはどうすべきか?といった事がダイレクトに伝わる内容だったと思います。そしてこの松本隆氏の熱き思いに応える期待のアーティストたち…キャプテンストライダム、そしてneuma(ねうま)の作品が、いよいよ全国リリースとなりました。そこで今回は、改めてこれら「風待レコード」のアーティストについてご紹介していきたいと思います。

(初出『Groovin'』2003年9月25日号)
Text by 土橋一夫(編集部)

キャプテンストライダム

キャプテンストライダム-A.jpg 「風待レコード」先頭を切って、第0弾としてリリースされたのは、栃木・宇都宮で結成された3ピース・バンド、キャプテンストライダムのマキシ『マウンテン・ア・ゴーゴー』。彼らの最大の特徴は、3ピースでありながら高い演奏力とそこから生み出される独特のグルーヴ感だ。そして歌詞に込められたユニークな言葉使いも、唯一無二の世界を生み出すのに大きな役割を果たしている。こういったスタイルのバンドは現在のシーンに数多く存在するが、彼らのような独特のドライヴ感に言語感覚を備えたバンドは希有な存在だ。
 ちなみに『Groovin'』でのインタヴューで、松本氏は彼らをこう評している。「まず音がブッ飛んでいてね、最初は(「風待レコード」の)候補から外してたんですよ。何しろブッ飛び過ぎてたから、番外にしてた。でも第1次敗者復活で、優勝しちゃったんだ。これはやっぱりいいっていうことで。グルーヴがすごくいいんだよね。僕はミュージシャン上がりだから、ノリが分かるんだよね。滅多にないノリで、いいなって思ってね。今プロでやってるバンドと比較しても、割と勝てるかなって。まあまあのテクニックもグルーヴもあるし、メロディと詞もなかなかいいし、歌も巧いしって論理的に考えていくと、ほとんど非の打ち所がなかった。」
 『マウンテン・ア・ゴーゴー』が既に各地で大きな話題となっている彼ら。ボーダーレスなポップ感覚も実に魅力的で、これからは地元である宇都宮以外でのライヴ活動もも精力的に行っていく予定とのこと。今後の活躍に期待が集まるところだ。

『マウンテン・ア・ゴーゴー』
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Maxi Single(完全限定生産盤)
風待レコード
KRUK-1000
発売中
¥500(税抜)

neuma

neuma-A.jpg Voの柴理恵を中心に、リーダーの菅沼雄太(ds)、湯川寅彦(g)、佐藤芳明(Accordion)、守屋拓之(Contrabass)の5人編成であるneuma(ねうま)は、その独特な楽器編成と包み込むような温かみ溢れる柴理恵の歌声により、独自の世界を形成するバンド。各々のメンバーが、CHEMISTRYやEGO-Wrappin'、Tsuki No Waなど、様々なサイド・ワークに参加していることからでも分かるように、その高い演奏力とセンスに裏打ちされたサウンドは、既に高く評価されている。またライヴでの演奏能力の高さも、大きな魅力だ。発売中の1stアルバム『窓』は、透明感ある言葉とメロディを実感できる好内容。
 ちなみに『Groovin'』でのインタヴューで、松本氏は…「まず演奏が巧い。特にヴォーカルは。CDでも歌は全て一発録りだし、今の切り貼りで成り立ってるヴォーカリストとは一線を画してるね。あれだけ確実な音楽を作っていれば、放っておいても固定ファンは付くだろうし。まずは好きな人が買ってくれればいいかな。あと本人達の精神の成り立ち方があまりにも今風な人たちなので…(笑)。音楽的なものじゃなくて、生き方が100%クールだよね。まあ、それが今風。ちょっと何考えているか分からないという…でも実は何も考えていなかったり(笑)。 本当の正統派のミュージシャンかも知れない。 (中略)柴理恵の場合は、いわゆるポップスとかは全然聴いていないんですよ。元々声楽をやってたので。彼女はかなり懐が深いよ。 でも柴理恵は、普通に歌えるしね。声を張ったら凄いし、「くじらキング」や「Zauberei」っていう歌では声を張ってるけど、凄い声量だと思う。そういう意味では、まだまだ使っているものは少ない、でも奥行きはかなりある」と語っている。本物志向のアーティストと、本物の音楽を求めるリスナー。この両者の関係が相思相愛になって音楽に向き合う時、そこからはきっと心に残る「感動」や本当の意味での「安らぎ」や「心地よさ」が得られるはずだ。

『窓』
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CD
風待レコード
KRUK-1001
発売中
¥2,500(税抜)

ノラオンナ

ノラオンナ-A.jpg 「すごく単純で明快な詞と曲を書ける人で、それはすごく大切なことで。「やさしいひと」とか最近作った「流れ星」なんかもそうで、ああいうメロディを書ける人は、最近すごく少ないんですよ。キャラクターも、面白いよね(笑)。 で、あの頑固な生き方でなおかつ何となく繊細で、自信なさげなアンバランスさが(笑)。でも大スターになってもやっぱりみんな不安で、松田聖子でさえ、たまにテレビとかに出るとすごく上がるんだよ。そういう繊細さも常に持っていないといけないんだよね。でも頑固さもないといけないんだよ、アイドルでもそう。斉藤由貴も頑固だった。やはりそういう人が残るよね。だからノラさんもそれでいいのかもね。そういう意味では。(中略)最初に惹かれたのは、そうだね、やっぱりあの頑固さかな。一筋縄ではいかない何かがあるよね(笑)。そういう人って僕の周りには若い頃から結構いて…例えば吉田美奈子だったり。ああいった頑固さがあるんですよね。 」
 松本氏がこう評すノラオンナは、来年早々に「風待レコード」からアルバムのリリースを予定している、ウクレレ弾き語りという独特のスタイルで注目を集めるアーティスト。ライヴでは次々に繰り出される彼女独特のメロディと特徴ある声が話題となり、既に大きな反響を呼んでいる。自信と不安、そして危うさと儚さが交錯する絶妙のバランスのステージは、一度体験すべし!シンガーとしての活動に加えて、作家としての曲提供など、これからの活躍にも期待したいところだ。

■風待茶房(松本隆オフィシャル・サイト) http://www.kazemachi.com/sabo.html
■風待レコードHP http://www.kazemachi.com/records/index.html

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