編集長のおすすめ!

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 今月も前号同様、お薦めしたい作品が色々とありますので、レコ評形式で10タイトルをご紹介致します。中でもお薦めなのは、ゲントウキのアルバム『いつものように』と林 邦洋のマキシ、そして斎藤 誠。また先月ご紹介出来なかったものや一足お先に10月発売分も加えてセレクトしてみました。気になったタイトルがありましたら、是非店頭でチェックしてみて下さい!

Text by 土橋一夫(編集部)
(初出『Groovin'』2003年9月25日号)

ゲントウキ『いつものように』
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CD
DREAMUSIC/Teenage Symphony
MUCT-1006
発売中
¥2,667

アルバムとしては前作『南半球』は2001年10月のリリースなので、約2年ぶりとなるゲントウキ。まさに待望の作品が遂にリリースされた。昨年はコンピ(『Smells Like Teenage Symphony』『ひなたぼっこ(室内楽編)』)やスピッツのカヴァー・アルバム『一期一会 Sweets for my SPITZ』に参加、そして今年2月に「鈍色の季節」でメジャー・デビューし、6月には2ndマキシ「素敵な、あの人。」をリリースと、順調に作品を発表してきた彼らだが、今作『いつものように』はまさにこの数年の彼らの創作活動の成果と、ライヴなどで培ってきた実力に裏打ちされた自信がみなぎる、会心作だ。それでいながら決してふてぶてしい態度はそこにはなく、あくまでも謙虚で前向きで、しかも繊細さが同居するそんな作品。ゲントウキの最大の魅力は、何と言ってもVo & Gの田中潤が紡ぎ出す、メロディ・ラインの煌めきにある。最近の音楽はどうも心に残らないものが多いとお嘆きの方には是非お薦めしたい程、ここには印象的な美しい流れがある。また自身で歌い表現する彼の歌心も、それを際立たせる。さらに松本隆の流れをくむ叙情的な詞と、横文字を極力廃した独特の言葉選びの感覚もが、彼らの色を鮮やかに浮かび上がらせる。文芸的な匂いをほのめかしつつ、そこにサウンドが乗るとき、何とも言い得ぬ風景と空気感を描き出すのだ。最近のシーンには皆さんご存じの通り、"はっぴいえんど"のフォロワー的バンドが多く存在する。彼らにももちろんそういった一面はあるが、しかしそれ以上にオリジナリティを強く感じさせる、光る一面を持った希有なバンドだ。それは本作『いつものように』を1曲目から通して聴けば、きっと実感できるはず。中でもM-6の「満たされて心は」は、それを端的に表した名曲。美しいバラードが心を染めるはずだ。

林 邦洋
『象牙の塔からコンニチハ』
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Maxi Single
MAGNET RECORDS
MAGL-1007
発売中
¥953

今作はヨシンバとのコラボによって生まれた3曲入りマキシ。ハッキリ言って、これを聴いて林邦洋のイメージはガラッと変わった。アレンジを手がけたヨシンバの西村純や吉井功が生み出すちょっとUKチックなビーチ・ボーイズ的洋楽志向(特にコーラスや楽器構成)と、荘田潤一のポップ感覚も大きいが、それが林邦洋に影響を与え、何か吹っ切れたような感覚と振り幅の大きさを生んだ。これは傑作!80'sに音楽を聴きまくった世代にもお薦め。

有里知花
『トレジャー・ザ・ワールド』
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CD
東芝EMI
TOCT-25155
発売中
¥2,913

P44で黒沢秀樹君もイチ押しの有里知花のニュー・アルバムは、海系3部作の完結編である充実した1枚。宮沢和史や大貫妙子、佐藤竹善(SING LIKE TALKING)といった錚々たるメンバーが楽曲を提供し、それを黒沢秀樹や高野寛、冨田恵一らがプロデュース&アレンジ、しかもハナレグミの永積タカシもCho参加と豪華な内容で、しかもそれぞれの"らしさ"が生きた、洋楽好きにもお薦めの作品。ボーナスでサザンの「TSUNAMI」のカヴァーも収録。

諫山実生
『ハナコトバ〜花心詩〜』
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CD
東芝EMI
TOCT-25157
発売中
¥2,381

TVドラマで起用された「朝陽の中で微笑んで」(荒井由実のカヴァー)で一躍その名を広めた諫山実生が、待望の2ndアルバムをリリース。花をコンセプトに選ばれた全8曲は、どれも彼女の歌心が表情豊かに表現された好内容。シンプルなピアノだけの演奏によるM-1「JOURNEY OF LIFE」や、M-3「ふたり」からは、ソングライターとしての資質の高さも再確認出来る。落ち着いてじっくり聴きたいアルバムだ。

ハナレグミ
『レター/ハンキーパンキー』
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Maxi Single
東芝EMI
TOCT-4535
発売中
¥1,000

松本隆や冨田恵一とのコラボで生まれた「眠りの森」が大好評だったハナレグミの新作は両A面扱いで、M-1の「レター」では鈴木正人を、M-2「ハンキーパンキー」には鈴木惣一朗をプロデューサーに迎えて制作されている。それぞれの志向性の違いや、サウンドの特徴を聴き比べるのも楽しいが、何と言っても永積タカシのヴォーカリストとしての卓越した能力に圧倒される。聴いていて落ち着く声の持ち主は、そう多くはいない。

斎藤 誠
『WALTZ IN BLUE』
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CD
Sony Music Direct GTmusic
MHCL-314
9月26日発売
¥2,913

ギタリストとして数々の仕事をこなしてきた斎藤誠は、今年デビュー20周年を迎えた。それを記念してリリースされる本作は、自身のルーツでもある洋・邦楽のアコースティック・カヴァー集。オールマンやドゥービー、ポール、そしてサザンやスパイダースまで、彼の審美眼にかなった12曲+オリジナル1曲を収録。ブルース・ジョンストンの「歌の贈り物」は個人的にも嬉しい1曲!奥田民生、根本要も他の曲に参加。

ザ・チーフタンズ
『ダウン・ジ・オールド・プランク・ロード II』
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CD
BMGファンハウス
BVCF-31119
発売中
¥2,427

65年にデビュー以来、多くのファンを魅了してきた彼らが放つ約1年ぶりとなるニュー・アルバムは、前作に引き続いてカントリー系の大御所…エミルー・ハリス、ニッケル・クリーク、パティ・ラヴレスらをゲストに迎えた意欲作。昨年10月に当初からのメンバーであるデレク・ベルが急死、しかし本作はその時点でほぼ完成していたため、実質的にはデレク・ベルの遺作となった。独特のアイリッシュ・サウンドは健在。

ジョニ・ミッチェル
ウーマン・オブ・ハート・アンド・マインド
〜ジョニ・ミッチェル・ストーリー
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DVD
ビデオアーツ
VABG-1116
発売中
¥4,700

衝撃の活動休止宣言が記憶に新しい、ジョニ・ミッチェル。彼女の半生を本人へのロング・インタヴューや関係者の証言など、貴重な映像を織り込みつつ構成した待望のドキュメンタリーDVDが登場。初期の映像からCSN&Yと共演したライヴ、さらには最近の模様を撮影したプライヴェート・フィルムまで収録、その上、ジェイムス・テイラーやグラハム・ナッシュら錚々たる面々が彼女についてのコメントをおくる。ファン必見!


ビーチ・ボーイズ
『ライヴ・アット・ネブワース』
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DVD
コロムビア
ミュージクエンタテインメント
COBY-91053
10月22日発売
¥3,800

1980年6月21日、UKのネブワースでのビーチ・ボーイズのステージを収録した、ライヴDVD。今は亡きデニス・ウィルソン、カール・ウィルソンを含む、6人のメンバーが揃った最後の時期の伝説的ライヴだ。ドライヴ感溢れる演奏も健在で、また当時不調だったブライアン・ウィルソンも参加と話題性も高く、ファンの間ではまさにリリースを待ち望まれていた作品だ。まさに永久保存版の1枚。


ブライアン・ウィルソン
『オン・ツアー』
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DVD
ビデオアーツ
VABJ-1118
10月29日発売
¥4,700

99年以降は精力的にワールドワイドなツアーも展開しているブライアン。本作はここ4年の軌跡をツアーを中心に映像でとらえた作品で、ライヴのリハーサルやバック・ステージ、そして日本でのオフ・ショットなども満載した楽しい内容。あの日本公演での感動を本作でもう一度!ニール・ヤングやピート・タウンゼント、シェリル・クロウら豪華なコメント・ゲストにも注目。

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