女子十二楽坊

ARTIST PICK UP

女子十二楽坊

時代が求めていたのはこの音楽だったのかもしれない…。
癒されて元気になるBeautiful Energy。「ライブを観たい」という
圧倒的なリクエストに応えて急遽、CD+ライブDVD(2枚組)発売!!

(初出『Groovin'』2003年10月25日号)

女子十二楽坊-A.jpg 「楽坊」…その言葉の由来は、古く唐代に遡る。唐代初期、武徳年期(618年〜626年)の頃、宮廷に「教坊」というものが作られた。ただ美しいだけでなく、芸にも秀でている女性達を集めた場所。それが「教坊」であった。その教坊において、彼女達は琵琶、三弦、古箏など楽器を習い、さらに歌や踊りまでも学んでいたという。
 そして2003年7月。華々しく日本デビューを飾った女子十二楽坊は、湿った日本のミュージック・シーンを色鮮やかな台風の様に包んでいった。予想もつかなかったその大きな台風の上陸は多くの人々の注目を集め、我々はその美しい音色にただただ耳を傾けてしまったのである。
 私は以前、友人が聴いていた「ルナサ」というスタイリッシュ・トラッド・バンドのケルト風なサウンドを耳にして「中国の音楽かい?」と聞いてしまったことがある。そして女子十二楽坊を耳にした時、すぐにその時の音楽がピンときた。人間の記憶というものが歴史の積み重ねに比例するならば、やはりシルクロードによる文化の交流の歴史というものは偉大だったのだと自分なりに感服させられてしまった。
 自らのルーツと最先端のPOPSを融合させたかつてない音楽を作り出し、中国古来様々なジャンル、民族音楽の範疇を超えたメロディーを作り出していく。それが女子十二楽坊のコンセプトだ。前作では日本の有名な曲のカヴァーなども収録され、注目されたのもその一面であった。
 2作目である今作「奇跡」は、カヴァー曲こそ収録されていないものの、クラシック、フュージョン、ポップス、そしてラテンやエスニック調など様々なジャンルの音楽を自由自在に操ったことでさらに進化したアルバムであり、2003年1月7日に北京21世紀劇院で行われたコンサートのライブ音源も収録されている。中国で100公演以上のコンサートを行った女子十二楽坊の集大成ともいうべき内容で、アルバムタイトル「奇跡」には、中国古典音楽の新境地を開拓したという彼女たちの思いが込めれている。今作はさらにそのコンサート映像を収めたDVDがセットになっているという超豪華盤である(華麗なステージの演出は、中国人民の父、周 恩来が創設した、国家一級の「中国東方歌舞団」によるもの)。全く新しいサウンドと美しい12人のライブパフォーマンス、舞台美術が華麗なシーンを広げ、夢の世界へと多くの人間を誘うことであろう。
 最後にこの作品を通じて感じたことをひとつの古い中国の言葉にあてはめてみた。「疾風知剄草」(しっぷうけいそうをしる)…直訳すれば「普段は強い草か弱い草か見た目ではわからないが、一旦疾風が吹きつけると、すぐに飛んでしまう草、しっかりと根をはった草かがわかる」という意味である。何か大切な面や大きな事に直面した時こそ人の本当の強さ、弱さ、美しさ、はかなさがわかると自分では理解している。だからこそ人間は何かを大切にしたい、大切にされたい、癒したい、癒されたいと思うのかもしれない。もし女子十二楽坊を知って、彼女たちの音楽を好きになったり癒されたと感じたなら、そのほんの少しの「元気」や「癒し」を色々な形で周りに伝えていってほしいと心より願うのである。

Text by 押尾武史(沼津バイパス店)

『奇跡』
女子十二楽坊-J.jpg




プラティア・エンタテインメント
11月6日発売
CD+DVD
PYCE-1002
¥2,838(税抜)

「ライブを観たい」という圧倒的なリクエスト、反響に応えて、デビューアルバム未収録の10曲+ライブヴァージョンの「奇跡」「自由」を含んだCD(全12曲)にライブDVD(全13曲)がセットになってスペシャルプライスにて再上陸!

【女子十二楽坊 公式サイト】http://www.12girls.jp/

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