GARNET CROW

ARTIST PICK UP

GARNET CROW

ただのポップスではない、独特な世界に魅了される。
"音楽職人"4人の真紅のカラスが織りなすアートを体験する。

(初出『Groovin'』2003年10月25日号)

GARNET CROW-A.jpg 映画やテレビには、エキストラと呼ばれる人達がたくさん出ている。全くのシロウトや、役者を志す若者…と、いろいろである。その上には、あんまりセリフはないけれど、あるシーンには欠かせないというような、プロの俳優達がいる。たった数秒に命を賭ける人達である。時には病院のシーンで「ご臨終です」という医者であったり、逆にベッドに横たわり死を前にした老人であったり。そういった役をこなし一生を終わる人もいれば、そこから名のある俳優に成長していく人もいる。
 音楽の世界にも、役者のように、業界においては名があるけれど、一般にはあまり知られていない人たちが多い。というか、そういう人たちがいないと、成り立たない世界でもある。一度は名のある世界に憧れたけれど…という人たちが少なくない世界。夢や挫折を糧にして大きくなっていく世界。次々と新しいアーティストが生まれては消えていく。だからこそ、繊細な「アート」である音楽が生まれ続けることができるのだろう。
 GARNET CROWがデビューした時、第一印象で「若い」と思った。うまく表現できなくて恐縮だが、その時に初めて「プロ」としてこの世界に足を踏み入れたグループかと思ったのである。メンバーがお互いにメジャー・デビューを志していた彼らだが、それまでプロの仕事をしたことがあるとは思えないくらいの新鮮な印象を受けたのだ。デビュー・シングルの「Mysterious Eyes」を聴いた時、当時流行していたような歌い上げるタイプではなく、冷静さを感じさせるヴォーカルと、UKポップを思わせるギター・アレンジに「おやっ」と思ったものである。なんだか今までの新人と違うようだと。実際、一度聴いたら忘れないメロディーでもあったし、歌だって上手い。でも、まだ完成されていない感じに好感が持てた。この先彼らはどうなっていくのかと興味をそそられた。それで当然のことながら、メンバーはどういう人たちなのだろうと知りたくなったものだ。
 そして今作がいよいよ3枚目のアルバムとなる。「名探偵コナン」のエンディング・テーマでもある最新シングル「君という光」をはじめとして、「泣けない夜も 泣かない朝も」「クリスタル・ゲージ」「スパイラル」といったシングル曲も多く収録されており、GARNET CROW独特の、切なさの残る楽曲は今作でも健在だ。これはきっとすべての作曲を担当しているヴォーカルの中村由利の持つ世界なんだろう。
 その中村由利をはじめ、すべての作詞を担当し、他のミュージシャンにも多数詩を提供し、作詞家としても活動しているキーボードの"AZUKI 七"、スタジオ・ミュージシャンとして、また楽曲提供やアレンジャーとしても活動しているギターの"岡本仁志"、アレンジャーとしても幅広く活動しているキーボードの"古井弘人"…といった、それぞれに実力のある"職人"が集まって生まれたのがGARNET CROWなのだと、今作を聴いて改めて実感させられた。
 そんな彼らだが、なかなか表に出てこないので、一時は「ほんとにバンドなの〜?」なんていう声もあったようだが、昨年ライヴを行い、最近はテレビに出演することも増えたようで、これまでもずっと彼らを応援してきたファンにとっては、さらに身近に感じることができて喜ばしいことだろう。今作にもライヴで聴いてみたい曲があるので、今後はもっとステージで見たいものである。

Text by 濱田尚子(静岡流通通り店)

『Crystallize〜君という光〜』
GARNET CROW-J.jpg




GIZA studio
10月29日発売
CD
GZCA-5038
¥2,913(税抜)

昨年のライヴも記憶に新しい、GARNET CROWの待望の3rd ALBUM。「名探偵コナン」のエンディングで最新シングル「君という光」、「泣けない夜も 泣かない朝も」「クリスタル・ゲージ」「スパイラル」を含む12曲収録。

【GARNET CROW official website】http://www.garnetcrow.com/

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