アンダーワールド

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アンダーワールド

ハウス/テクノ/ダブ/ロック/ニュー・ウェイヴ/エレクトロ/ブレイクビーツ等の
真髄を見事に集約させた"アンダーワールド"の初ベスト盤。
彼等の偉大なる軌跡を余すところなく収録!

(初出『Groovin'』2003年10月25日号)

アンダーワールド-A.jpg アンダーワールドの母体となったニュー・ロマンティックの流れを汲んだロック・バンド"FRUER"は現アンダーワールドのふたり、リック・スミスとカール・ハイドを中心に'80年頃結成され、2枚のアルバムを発表し86年に解散。心気一転、新しくカールとリックのふたりがスタートさせたのがアンダーワールドだった。結成時の彼らは、サウンド面においても基本的には"FRUER"の頃と大した変化も無く、UKのニュー・ウェイヴ、ニュー・ロマンティックを継承したもので、その頃にしては特に目立ったものではなかった。88年『Underneath The Radar』、89年『Change The Weather』という2枚のアルバムをリリースするが、ヒットに恵まれず当時のレコード会社との契約を打ち切られる。その後彼等は存続の危機に陥り、分裂状態となってしまうが、彼らのライヴを手伝っていた若手DJのダレン・エマーソンを正式メンバーとして加え、新たにリックとカールの3人で新生アンダーワールドとして92年から活動を再開した。
 新しく歩み始めた新生アンダーワールドはダレンの若い感性を生かし、当時ジワジワと侵食し始めていたハウス・ミュージックへサウンドをシフトさせていく事となる。まず「Mmm…Skyscraper I Love You」が評判となり本格的な活動に突入。また同時に変名プロジェクトである"Lemon Interrupt"名義で「Big Mouth」「Dirty」をクラブDJ向けに発表。その後注目を集めたのが93年発表の「Rez」(アナログ・シンセサイザーのレゾナンス効果が名の由来)。ロンドンのアンダーグラウンド・クラブ・シーンで火が点き、彼らの名を一躍世界へ轟かせた。更に同年リリースされた3rdアルバム『ダブノーベースウィズマイヘッドマン』で現在のスタイルは確立される。サウンド面での変革を行いテクノやハウスの枠を越え、"タイポグラフィ"と呼ばれる独特のアートワークも同作で完成させた。
 そして96年発表のシングル「Born Slippy」が映画『Trainspotting』と共に大ブレイク。4thアルバム『弐番目のタフガキ』はフロアオリエンテッドな要素と共に、カールのヴォーカルとロック色を前面に押し出し、尚且つクラブ・ミュージックとしてのバランスを損なわないサウンド作りを実現させた。よって、ポップ・フィールドでも幅広い支持・人気を獲得、ワールドワイドな成功を収めた。5thアルバム『Beaucoup Fish』(99年)は彼らの80年代の活動も含め、これまでのすべてを糧にこのアルバムを作り上げたといっていい作品。ハウス、テクノ、エレクトロ、ロック等を完璧に融合させ、1つの作品に構築している。
 しかし、2000年にサウンドの重要な鍵であったダレンが脱退。結成時のオリジナル・メンバーとなり新生アンダーワールドは再び歩み始め、同年、ライヴCD&DVD『Everything Everything』、2002年に『A Hundred Days Off』を発表し現在に至る。
 そして今作は、彼らがこれまで正規のアルバムには収録してこなかった多くのヒット曲、シングル曲がほぼ網羅された選曲のベスト盤的内容。初めてアンダーワールドを聴く人から、何度もライヴを体験しているようなコア・ファンまで、誰もが存分に楽しめる素晴らしい作品に仕上がっている。世界のテクノ/ダンス・シーンに決定的な影響を与えた彼らの軌跡を体感して欲しい。

Text by 大林 誠(大仁店)

『underworld 1992-2002』
アンダーワールド-J.jpg




V2 Records
発売中
CD(2枚組)
[DVD付]V2CP-172〜4 ¥4,000(税抜)
[通常盤]V2CP-170〜1 ¥3,200(税抜)

名曲「ボーン・スリッピー」を始めとした代表曲から、オリジナル・アルバム未収録音源まで収録されたコア・ファンならずとも目が離せない初ベスト盤。キャッチーで踊れて歌えるアシッド感覚なトラックが満載のクラバー御用達、究極の1枚。

【アンダーワールド 公式サイト(海外)】http://www.underworldlive.com/

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