MY BEST CHOICE!

MBClogo.png
第44回 
松浦健二郎(すみや本社 営業部 中部ブロックSV)

(初出『Groovin'』2003年11月25日号)

 「松浦、これ知ってるか?」。学校に通い始める前の3月、あれは確か荻窪駅近くに当時住んでいた高校の先輩の、お風呂も付いていない木造アパートに泊めてもらった時の事。やけに白い壁だけがいまだに印象に残っている寒々とした物の少ない狭い部屋で、目の前に差し出されたLPジャケットが今回紹介するアルバムでした。もちろん、アーティスト名、音ともに聞いた事が無く、ジャケット写真は見ての通りで、なぜか管楽器を持ったおじさんがヘルメットをかぶり、タイトルは『HEAVY METAL…』。全く想像がつかない。先輩の所持品中、唯一高価なステレオで1曲目がかかった瞬間に、「うわ!カッコいい」と声を出してしまいました。当時ブラスバンドに所属し、管楽器の音楽といえば吹奏楽やムード音楽中心に聞いてきた私にとってJAZZは初めて聴く体験で、濁った音、リズムの微妙なズレ、今まで聞いてきた音楽とは明らかに違う、「こういう音もアリなんだ」を教えてくれた作品です。濁った音は人間の複雑な感情表現であり、リズムのズレはハイ・レベルなテクニックに裏打ちされた個性なんだ、と勝手に解釈しました。
 その翌月から学校に通い始め、「スウィグジャズ研究会」なるいかにもあやしげなサークルに所属し、毎日校舎ではなくサークル棟に通い詰めて4ビート(スウィング)を追求し、サークル活動の合間にはJR中央線・吉祥寺から国立周辺の中古レコード屋に通い、ジャズ喫茶に入り浸ってギンギンにかかっている音楽の中、本当は思いっきり甘党のくせにブラック・コーヒーを飲み、うまくもないタバコを吸ってわかったふりをするという日々を送り、4年間を棒に振る、いや、1つの事に熱中するきっかけにもなったのが『HEAVY METAL Be Bop』だったのかもしれません。

*なお次回は、蔦野清和氏(すみや新静岡センター店店長)が登場します。お楽しみに。

ブレッカー・ブラザーズ
『ヘヴィ・メタル・ビ・バップ』
ブレッカー・ブラザーズ-J.jpg




BMGファンハウス
発売中
CD
BVCJ-37062
¥1,800(税抜)

ブレッカー・ブラザーズ4作目にして初めてのライブ盤。マイケル、ランディという、ルーツにジャズのセンスを持つミュージシャンと、プログレッシヴ・ロックのセンスを持つテリー・ポジオとの異種格闘技セッション。20年以上前の作品とは思えない、本当の名盤だけが持つ時代を超越した普遍性をこのアルバムは持っている!

inserted by FC2 system