ARTIST PICK UP
堂島孝平
レコード会社を移籍し、待望のシングルをリリース。
ライヴに曲提供にと大活躍の堂島孝平が放つ新作は、
GO-GO KING RECORDERSとの息もピッタリの、ポップ・チューン!
(初出『Groovin'』2003年11月25日号)
個人的な話で恐縮だが、僕は何故かよくライヴ会場で堂島孝平君と遭遇する。先日はNONA REEVES、その前は松尾清憲氏…。きちんと会って初めて話をしたのも、Cymbalsが出演した渋谷ON AIR WESTの楽屋だった憶えがある。ミュージシャン関係では確かに共通の友人も多いし、よく会うということは彼の志向性と僕のそれとがたまたま似ているのかも知れない。しかし何より、自分が出演するしないに関わらずライヴ会場にわざわざ足を運び、そして最後まで見て楽しむといった、1人の音楽好きとして普通に音楽に接する彼の姿が僕は何より嬉しかったりする。以前ある先輩の評論家の方に、僕はこう言われたことがある。「本当にその音楽、そのアーティストが好きな人だからこそ、書けることっていうのがあるものだ。もちろん冷静に第三者的な立場から音楽に接し分析し、それを文字にすることも大事だけど、好きだからこそ分かるという視点をもっと大事にすべきなんじゃないかな。ファンの視点があってこそ、物事は面白く立体的に見えてくるものだよ。」…確かに言い得ている表現だと、僕は思った。これを彼の場合に置き換えれば、"音楽好きな堂島君"があってこそ、きっと彼の生み出す音楽も輝きに深さを持つのだと思う。
さて堂島君の新作が、遂にリリースされることとなった。しかも今回は、レコード会社を移籍しての第1弾となる作品だ。ちなみにここ最近の彼の動きはと言うと、移籍前の3月には最新ベスト・アルバム『djkh calendar(ドウジマ カレンダー)』を、そして5月にはシングル「45℃」をリリース。その後10月にリリースされたKinKi Kidsのアルバム『G album 24/7』には、シングル・ヒットした堂島作品「永遠のBLOODS」と、書き下ろしの「黒い朝・白い夜」が収録、また10/24〜11/3には学園祭ツアーと、相変わらずの大活躍だった。そしていよいよ本題、新作『銀色クリアデイズ -White Silver Clear Days-』だが、従来から活動を共にしてきたGO-GO KING RECORDERS(スカパラの大森はじめ、茂木欣一、沖祐市をはじめ、會田茂一…)をバックに迎え、以前から定評のあるポップでグルーヴィーなサウンドが展開される。しかもタイトル・トラック「銀色クリアデイズ」にはEPOが、C/Wの「HAVE A NICE WAY!」には小川美潮がそれぞれバッキング・ヴォーカルで参加し、効果的にサウンドを盛り上げる心憎い演出も。
"ポップ・ミュージック"の魔法は、その音楽を聴いた人が理屈抜きに楽しめた時、心を揺さぶられた時、そしてもう1つ作り手側が心から楽しみながら制作できた時に降りかかる。音楽を通じて怒りや不満をぶちまけるのも1つの手段かも知れないが、やはり"ポップ・ミュージック"である以上は、リスナーも作り手も楽しめることが大前提だと僕は思う。この新作『銀色クリアデイズ -White Silver Clear Days-』を聴いた時、僕には堂島君やリスナーの楽しそうな表情が目に浮かんだ。リスナーの期待に応えるアーティストの作品と、それを受けその魔法を味わう聴き手。これこそ"ポップ・ミュージック"のあるべき姿だ。
かつて杉真理さんが"ポップ・ミュージック"について、僕にこんな話をしてくれたことがある。「気持ちいいんだけど凝った作りとか…メロディやアレンジはもちろんですけど、そこに思いとかアイディアがないと輝かないですよね。」この堂島君の「銀色クリアデイズ」を聴いたとき、僕はこの話をすぐに思い出した。「思い」や「アイディア」が散りばめられたこのCDには、ポップスの理想型が間違いなく存在する。
Text by 土橋一夫(編集部)
『銀色クリアデイズ -White Silver Clear Days-』
徳間ジャパンコミュニケーションズ
11月27日発売
Maxi Single
TKCA-72615
¥1,200(税抜)
堂島孝平がレコード会社を移籍し、ニュー・シングルをリリース。本作はEPOや小川美潮がバッキング・ヴォーカルで参加し、スカパラのメンバーを含むGO-GO KING RECORDERSとの息もピッタリの、グルーヴィーでポップな好内容!初回限定デジパック仕様/ツアー追加公演先行予約案内封入、先着特典は未発表CD。
【堂島孝平 オフィシャルサイト】http://djkh.jp/