ヘイリー

限りなく透明な歌声をもった天使の降臨。
ドラマ「白い巨塔」の主題歌「アメイジング・グレイス」収録の
日本デビュー・アルバム！

（初出『Groovin'』2003年11月25日号）

　9月半ば、ビートルズのプロデューサーとして知られるジョージ・マーティンが、10月スタートのドラマ「白い巨塔」の主題歌に参加しているというニュースが各メディアで取り上げられた。ドラマのイメージに合わせてマーティン自らがアレンジし、ニュージーランド出身の新人女性シンガー、ヘイリーが歌う名曲「アメイジング・グレイス」が主題歌となるというもの。既にドラマは高視聴率をキープし話題にもなっているので、この曲を耳にしたことのある人は多いだろう。
　ヘイリーの歌声にはとても不思議な魅力がある。限りなく透明で、暗雲の中から光が射し込むような神々しさを持ちながらも、どこか懐かしさを感じさせ心に響く優しさに満ち溢れている。それがキャリアのあるシンガーならば簡単に納得してしまうのかもしれないが、彼女はまだ16歳だ。才能、天分では片付けられない魅力が彼女にはある。例えるのならば、そう…"天使"。
　6歳よりヴァイオリンを始め、その後ピアノ、リコーダー、ジャズ・ダンス、バレエなどを修得し、11歳になる頃には舞台に出演したり、TVショーや大規模なコンサートでも歌っていたという彼女。妹と弟と共に路上パフォーマンスをしていたこともある。そして2000年作成のデモ・アルバムをきっかけに翌年デビュー。このデビュー・アルバムはPOPチャートを駆け上がり4週連続No.1をゲットし、トリプル・プラチナを獲得。そして今夏、デッカ・レーベルよりインターナショナル・デビューを果たし、日本でもリリースが決定。それが本作『Pure』だ。収録曲も、クラシックの楽曲に歌詞を乗せアレンジされた楽曲、マオリ族の伝承歌、ヴァラエティ番組のテーマ曲としてお馴染みのケイト・ブッシュの「嵐が丘」のカヴァー、ジョージ・マーティン書き下ろしの「Beat Of Your Heart」など彼女の魅力が十分に伝わる内容の楽曲ばかりだ。もちろん、「アメイジング・グレイス」も収録されている。
　「将来は自分で曲を書きたいと思っています。でも今は世界中で歌っていろいろなオーディエンスを前に歌うという経験を積むのが楽しみでしかたないのです。」…とても16歳とは思えないほどの頼もしい発言をしている彼女。オリジナル曲の披露も期待しているが、何よりこの歌声を実際にライヴでぜひ聴いてみたい。今後が非常に楽しみな天使の降臨である。

Text by 常盤安信（横須賀佐原店）