イム・ヒョンジュ

「日本かアメリカで成功を収める」、幼い頃少年が受けた予言は2004年実現へと向かう。
韓国中を虜にした17歳の「奇跡の歌声」、
イム・ヒョンジュ『サリー・ガーデン』が遂に日本上陸。

（初出『Groovin'』2003年12月25日号）

　イム・ヒョンジュは弱冠17歳にして世界中を虜にする「奇跡の歌声」の持ち主である。祖国、韓国の学校を優秀な成績で卒業後ジュリアード音楽院声楽科の予備学科に入学、現在はイタリア・フィレンツェに留学、韓国での音楽活動も続けながら今年1月本国で発売された『サリー・ガーデン』が25万枚を超える大ヒット、クラシック部門で25週連続1位を獲得。更に今年4月の韓国大統領就任式では韓国国歌を歌う大役にも抜擢され、夏にはニューヨーク、カーネギー・ホールでのリサイタルも成功させている。ご覧のとおりのイノセントなルックスと純粋な歌声で韓国ではトップ・スターである彼、日本でのCDデビューはないの？というファンの声に応えるように2004年遂に日本デビューを飾る。もちろん本国では社会現象にまでなったあの『サリー・ガーデン』を引っさげて。
　『サリー・ガーデン』はクラシックから伝承歌、映画やミュージカルの有名曲やビートルズ・ナンバーまでと幅広いジャンルの誰もが聴いた事のある楽曲を収録、曲によって歌い方をガラリと変え、ポップスとオペラの融合であるポッペラ歌手を目指す彼の魅力が充分に伝わる1枚である。「アヴェ・マリア」や「オ・デル・ミオ・アマート・ベン」は声楽家として訓練された彼の強い歌声を、一方「シー・ウォズ・ビューティフル」からは無垢なやわらかい歌声が伝わる。ジャズ風の味付けが施された「虹の彼方に」やアルバム・タイトル曲にもなっている伝承曲「サリー・ガーデン」や「ザ・ウォーター・イズ・ワイド」はまるで「イム・ヒョンジュのために作られた曲」のように歌いこまれている。「トゥナイト」や「ドント・クライ・フォー・ミー・アルゼンチーナ」ではベテランのミュージカル歌手のような堂々とした歌いっぷりから17歳という彼の年齢を思わず忘れてしまうほど。更に日本デビュー盤の今作では日本語楽曲も披露されるというのだからこちらも楽しみである。
　幼少の頃、運勢を見てもらった占い師に「この子は将来、日本かアメリカで成功を収める」との予言を受けたイム・ヒョンジュ。アメリカでの成功も収めた彼の次の目標＝日本での成功を収めるときももうすぐである。

Text by 大野裕子（パルシェ店）