奥村愛子

これぞノスタルジックおしゃれ歌謡!
古新しい、どんなジャンルにも入らない、
奥村愛子ワールドを堪能せよ!

BRAND NEW ARTIST 奥村愛子

 「六本木心中」が大ヒットした時、アン・ルイスがこの曲のことを"歌謡ロック"と言ったとか。うまいこと言うなあ、と思ったものである。当時のヒットの中心は歌謡曲。他人が作った歌を歌うんである。自作の歌を歌うミュージシャンはシンガー・ソングライター。イメージの中では、ニュー・ミュージックとか、フォーク・ソングと同列。日本のロックなんて、まだまだ日の当たらない異端児扱いでした。それが今や、歌謡曲とは演歌と同列の意味を指し、流行歌ということで言うなら台頭するのはシンガー・ソングライター達ではないですか。いや、表現の仕方が古すぎるな。今の言葉で言うなら、J-POP、J-SOUL、J-HIP HOP、J-PUNKなどなど。悪く言えば、外国(特に米国)ナイズされつつ、日本(語)で消化された音楽とでも言うのでしょうか。そんな業界もひと段落し、そろそろ他のなにかを求め始めた人々が、次に何を見つけたのか。それが、昭和の時代の歌謡曲だったんですね。ほんの10年前には、誰も欲しくなかった歌謡曲の数々が、復刻盤として甦り、懐かしくて新しいと老いも若きも買い求める。まさに時代は回る。
 「いっさいがっさい」でデビューする奥村愛子は、時代の求める新しい昭和の流行歌的な歌謡アーティストであります。アーティスティックな一家に生まれ、良質な音楽を聴くことのできるこの上ない環境で育つ。日常耳にしていた60〜70年代の流行歌のルーツを掘り下げ、歌謡曲とジャズに行き着いた。そんな彼女が送り出した、昭和の流行歌+ビッグバンド・ジャズ。まず歌詞がわかりやすくていい。「〜蹴とばして 噛み付いて 腕つねって〜」なんて歌われて、女の私もたまりませんわ。しかもタイトルが「いっさいがっさい」っていったい…。あんまりにもストレートすぎちゃって、ちょっと恥ずかしくもあるな。歌詞の言い回しも昭和チック。だけど、彼女の声はいやらしさを感じさせず、なんだかサラリと歌ってのける。もっとこなれてくれば、下品上品の絶妙なバランスを出すことができるのではないか。楽しみであります。そして、忘れてならないのはバックのビッグバンド。なんと、The Thrillがやっているではないか!これは是非ともライヴを見たい。

Text by 濱田尚子(静岡流通どおり店)

『いっさいがっさい』
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東芝EMI
発売中
CD
TOCT-22235
¥1,500(税抜)

あらゆる音楽の要素を取り入れるとこうなるのか。とても20代前半の手によるとは思えない、セピアなにおいの漂う楽曲のオン・パレード。バッグにベテラン・ビッグバンドを従えて、ヴォリュームたっぷりの内容。なんと、あの金井克子の名曲「他人の関係」をカヴァー。お得な6曲入りミニ・アルバム。

【奧村愛子 オフィシャルウェブサイト】http://okumuraaiko.com/

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