スウィートボックス

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スウィートボックス

"pop meets classic and urban"をテーマに、スウィートボックスのidentityともいえる
得意のクラシックを巧みに取り込んだ待望の4thアルバム。
楽曲の表情は豊かに、更にストーリー性が感じられる完成度の高いアルバムに仕上がっています。

(初出『Groovin'』2004年1月25日号)

スウィートボックス-A.jpg スウィートボックスのデビュー曲といえば、98年にリリースされた「エヴリシング・イズ・ゴナ・ビー・オールライト」だけれども、この曲を最初に聴いた時は誰もが驚愕したでしょうね。だって、"クラシックとヒップ・ホップの融合"でしたものね。学生時代の音楽の授業で必ず耳にした、バッハのあの代表曲「G線上のアリア」を大胆にフィーチャー、サンプリングし、緩めのヒップ・ホップ・ビートで味付け。気だるそうな歌声や呟くようなラップも、悲しげな雰囲気にピッタリとマッチ。流麗な中にも、そこはかとなく哀愁漂う日本人好みの和み系ナンバーでした。"クラシックとヒップ・ホップ"…それまでは"水と油"の関係でしかなかったような両者が、まさかあんなにも美しく融合するなんて思いもよらなかったですね。
 そんなスウィートボックスは、元々、GEO(プロデューサー)とティナ・ハリス(シンガー/ラッパー)からなるユニットでした。斬新な試みのシングル「エヴリシング・イズ〜」の成功により、多くのリスナーに受け入れられ、ヨーロッパ各地を始め、ここ日本でもデビュー・アルバム『スウィートボックス』共々、大ブレイクを果たしたのは皆さんご周知の通り。しかし、その後99年にティナVハリスは脱退。(以後ソロ・アーティストとして活動。)翌年、現ヴォーカリストであるジェイドが加入。2001年には、シングル「ロンリー」とアルバム『クラシファイド』を立て続けに発表。「ロンリー」は70年代のイタリア映画『レディ・カレフ』(エンニオ・モリコーネ作曲)をフィーチャーした「エヴリシング・イズ〜」を彷彿とさせる、やはり和み系のナンバーでスマッシュ・ヒット。2ndアルバムとなる『クラシファイド』は、ベートーヴェン、ペール・ギュントから「ロッキーのテーマ」まで、従来の"クラシック+ヒップ・ホップ"というスタイルに"映画音楽"まで組み込むという離れ業をやってのけた作品で、こちらも大ブレイク。そして、リリース作品が皆大ヒットという状況の下、周囲の期待が大きくなる中での発表となった「ジェイド」(2002年)。一体、どうなるかと思いきや、なんと彼女達の専売特許的な"クラシック・ネタは極力使わない"という勝負に出ました。結果は"発売1ヶ月でゴールド・ディスク獲得"という偉業を成し遂げました。やはりジェイドのキュートな声質とヴォーカルの巧さ・説得力、GEOのツボを得たトラックがあれば、クラシック・ネタ等使わなくても、完成度の高い作品はオテノモノっていうわけ。
 そして今作『アダージォ』はというと、本来の彼女達の魅力であるクラシック・フレイヴァーに溢れ、アーバンチックで、ワンランク上の音楽空間を味わえる魅力あるアルバム。胸の奥に響く、知的なメロディが満載で、手にとったあなたは必ず魅了されるでしょう。一言で言えば"洗練された大人の為の音楽"でしょうか。男性から女性にこのアルバムをプレゼントすれば箔がつきそうな、そんなアルバムです(女性自身が自分へのプレゼントとしても、勿論、結構です)。ヴォーカルのジェイドの成長は目覚しく、GEOのトラックも非の打ち所が無く、1曲1曲の楽曲の表情はより豊かに、アルバム全体にはストーリー性が感じられます。まさしく"これぞスウィートボックスの真骨頂"と胸を張って宣言できる、極上の1枚です。

Text by 大林 誠(大仁店)

『アダージォ』
スウィートボックス-J.jpg




avex trax
2月4日発売
CD
AVCD-1740
¥2,427(税抜)

発売1ヶ月でゴールド・ディスクを獲得した前作『ジェイド』から2年振りとなる4thアルバム。本作は彼女達の専売特許的な"クラシック・フレイヴァー"に溢れた魅力的な作品に仕上がっています。日本盤のみ計4曲のボーナス・トラックを収録。

【スウィートボックス 日本オフィシャルサイト】http://www.avexnet.or.jp/sweetbox/index.html

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