RIP SLYME

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RIP SLYME

RIP SLYME、9ヶ月ぶりとなるマキシ・シングルをリリース!
穏やかな目覚めを知らせるポップなラップ・チューン、
勇敢な獅子たちは、今また新たな冒険へと旅立つ!!

(初出『Groovin'』2004年3月25日号)

 RIP SLYME、実に9ヶ月ぶりのリリースである。メジャー・デビュー後のリリースにおいて、これだけのスパンが空く事は無かった。それだけに、彼らの新作を心待ちに、待って、待って、待ちまくったー!という人々が、日本中にわんさかいた事だろう。何を隠そう、私もその1人な訳だが…(笑)。
 大手を広げ、受け入れ体制も万全…いざスタンバイ。たっぷり充電期間を経た久々の彼らは、フワフワと、まさにたんぽぽの綿毛のごとく、ゆるやかに、穏やかに舞い降りてきた。春らしいほのぼとしたトラック、軽快に交わされるリレーMC。むむむ…この終始リラックスしたムード、高まり過ぎた心にはやや肩透かしにも感じたが、待ちわびた心を優しく包み込むようなサウンド&MCに、募っていた思いが一気に吹き飛んでしまった…。そして、この"いい(良い)加減"なマイペース具合こそが、RIP SLYMEのあるべき姿だと再認識した瞬間でもあった。程良く力を抜いて再始動、そういう意味でも相応しい仕上がりである。
 そんな何食わぬそぶりで瞬時にその存在を知らしめた本作、マジな遊び心でエンターテイメント的なポップ・ラップを提唱し続けてきた彼らには珍しく、実にスマートでシンプルな構成で挑んでいる。歌詞もたんぽぽという花の持つ、儚げながらに生命力のあるイメージと日常を絡ませた飾らない心情が描かれている。彼らのマジな遊び心に慣れてしまうと、ついついひねりの利いたパンチを求めがちだが、過去の作品でいうならば『ONE』に近い空気といえようか。毎度ながらFUMIYAの柔軟なトラック・ワークには驚くが、本作では生楽器を前面に出したメロディックなトラックを披露。ベースにクラムボンのミト、オルガンにはkyonを迎え、心地よいセッションを響かせている。また、メンバーそれぞれの声に個性的なトーンを持つのも彼らの強み、サビのメロディーではユニゾンながらに立派なハーモニーを響かせてしまうあたりからも、各々の素材の良さを改めて実感出来るはず。
 しかし最後に言いたい。楽曲はキッチリ正統派、ところがこのジャケット…。更に初回盤の仕様は、箔押しパノラマ・ジャケットに"牝ライオン・シール" "ライオン足跡ステッカー"封入といった内容である。しつこく言うが『Dandelion(ダンデライオン)』とは「たんぽぽ」という意味。…そう、結局は楽曲を象徴するタイトルこそに、最大のひねりの種を隠していたというオチ。正統派スレスレにRIPらしい抜かりない遊び心の花を見事に咲かせてくれたという訳だ。恐るべしRIPマジック…脱帽である(苦笑)。
 4月にはILMARIがSalyuという新人女性ヴォーカリストと組み、ソロ・アイテムとして4月21日にシングル『VALON』をリリース。プロデューサーはなんと小林武史というから未知なる期待が高まる。2004年も勇敢な獅子たちは、新たなる冒険に向かって旅立つ!!

Text by 浜田幸子(編集部)

『Dandelion』
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ワーナーミュージック・ジャパン
発売中
Maxi Single
WPCL-10078
¥1,260(税込)

9ヶ月ぶりのリリースとなった本作は、春めくこの季節に相応しい穏やかなポップ・ラップ・チューン。キレのあるビートにのせて、4人の絶妙なMCがスマートに展開する。初回盤は箔押しパノラマ・ジャケット仕様、牝ライオン・シール、ライオン足跡ステッカーを封入。アナログ盤も同時発売。

【RIP SLYME OFFICIAL HP】www.ripslyme.com/

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