エンニオ・モリコーネ

エンニオ・モリコーネ生誕75周年。
映画音楽ファン待望のエンニオ・モリコーネ、来日公演がいよいよ目前に迫りました。
巨匠自らの指揮により珠玉の名曲が蘇る!!

Fun, Fun, Fun File

エンニオ・モリコーネ

(初出『Groovin'』2004年4月25日号)

エンニオ・モリコーネ-A.jpg 1928年生まれのモリコーネは2003年11月で75歳。これまで担当した映画・テレビは400作品以上、更にこれとは別にポップスやクラシック、実験音楽でも600曲以上を手掛けるという巨匠の中の巨匠、世界一凄い音楽家なのです。近年も衰えを見せず自らオーケストラを率いてワールド・ツアーに出るなど精力的に活動し、その一環での今回の来日公演も実現。昨年NHK大河ドラマ『武蔵』の音楽を担当し日本のファンを驚かせました。日本のTVドラマ、しかも時代劇をなぜ担当したかという問いに対しモリコーネは「ストーリーに手応えがあると感じた」と語り、その言葉通りに力強くも優しいあの印象的なメロディーを作り上げ、ドラマを盛り上げたのです。
 モリコーネの名前に馴染みがない人でも一度はその音楽を耳にした事があるでしょう。『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』など一世を風靡したマカロニ・ウェスタンの音楽をはじめ『死刑台のメロディ』『ニュー・シネマ・パラダイス』(いつ聴いても涙が出ます)『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『アンタッチャブル』そして『海の上のピアニスト』などなど代表作を書き連ねるだけでも誌面が尽きてしまいます。それぞれの名場面を思い浮かべると自然とモリコーネの音楽が聞こえてきませんか。
 多作ながら質の高い仕事で監督達から絶大な信頼を得ているモリコーネは映画の撮影段階から積極的に加わり、必要であれば監督に助言を与えるそうです。それが映画と密接に結びついた音楽をたくさん提供できる秘訣なのかもしれません。『海の上のピアニスト』では撮影時に先に出来ていたモリコーネの曲を流しながら演出を行ったのは有名なエピソードです。
 2001年に作曲家生活40周年記念として未発表音源が多数CD化されファンを狂喜させたのは記憶に新しいところですが、今回も来日を記念して関連作品が多数リリースされます。まずはセルジオ・レオーネが監督したモリコーネの代表作ともいえるマカロニ・ウェスタン3作品のサウンドトラックが、デジタル・リマスタリングで再発されました。
 『荒野の用心棒』は主演のクリント・イーストウッドとレオーネ、モリコーネという黄金トリオでの第1作目で、世界中にマカロニ・ウェスタン・ブームを巻き起こした記念碑的作品。口笛と鐘や鞭の音、そして無骨なコーラスを効果的に使った「さすらいの口笛」はいつ聴いてもゾクゾクしてしまうほど格好いいです。イーストウッドの苦みばしった顔とポンチョ姿が目に浮かびます。『夕陽のガンマン』はオルゴールの音とオルガンを使った「ガンマンの祈り」が印象的。こちらリー・ヴァン・クリーフのハゲタカのような目つきが思い出されます。『ウェスタン』はヘンリー・フォンダ、チャールズ・ブロンソンといったハリウッド・スターを招いて西部の落日を描いた超大作。音楽もこれまでのモリコーネの集大成的傑作揃い。ボーナス・トラック多数収録でファンは要チェックです。いずれの作品も静と動を多彩な楽器とコーラスで表現し、聴くと血が騒ぐこと間違いありません。これぞモリコーネ節といった楽曲をご堪能あれ。ちなみにレオーネ監督とモリコーネはなんでも小学校の同級生だったとか。レオーネの遺作となった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』まで長期に渡り良きパートナーとして多くの作品を共に手掛けました。『モリコーネ・ムービー・ヒッツ』はモリコーネ入門盤にして究極の1枚。マカロニ・ウェスタンから『海の上のピアニスト』まで厳選された名曲がずらり。聴けばまた映画が観たくなること間違いなし。来日を待ちきれない、残念ながら見に行けないという方にはDVD、CDでリリースされる『アリーナ・コンチェルト』がオススメ。今回のワールド・コンサートの中からイタリアのアレーナ・ディ・ヴェローナでの公演の模様を収録。モリコーネ指揮による91人編成のオーケストラと80人編成のコーラスが奏でる名曲の数々。シャキっと背筋の伸びたコンダクターぶりと知的な容姿からはまったく衰えが感じられません。ここには「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」、マカロニ・ウエスタン物などの代表曲はもちろん、隠れた名曲「夕陽のギャングたち」(キューブリックの『時計じかけのオレンジ』を断ってまで没頭して作曲したといわれる)なんかも入っています。日本公演もこれに近い内容になるとのこと。
 あぁ、もっと書きたいことが沢山あるのに字数が尽きてしまいました。少しでも皆様にこの興奮が伝わったでしょうか?来日まであと僅か、みんなで指折り数えて待ちましょう!スクリーンを沸かせた珠玉のメロディが壮大なオーケストラで再現される夢のコンサート。これはもう生で聴いたら鳥肌モノですよ。

Text by 阿部太郎(伊勢原店)

『荒野の用心棒』
荒野の用心棒-J.jpg

BMGファンハウス
発売中
CD
BVCM-37489
¥2,100(税込)

世界中にマカロニ・ウェスタン・ブームを巻き起こした記念碑的作品のサントラ盤がデジタル・リマスタリングで蘇る。SEと口笛、コーラスが入り混じる「これぞモリコーネ節」といった楽曲は今聴いてもとても刺激的。モリコーネの名を世界に知らしめた名盤。

『夕陽のガンマン』
夕陽のガンマン-J.jpg

BMGファンハウス
発売中
CD
BVCM-37490
¥2,100(税込)

『荒野の用心棒』に続くイーストウッド、レオーネ、モリコーネのマカロニ・ウェスタン第2弾。オルゴールを巧みに使った哀愁溢れる「ガンマンの祈り」がとても印象的。デジタル・リマスタリングされて、よりクリアな音で冴えまくるモリコーネ節をご堪能あれ。

『ウエスタン』
ウエスタン-J.jpg

BMGファンハウス
発売中
CD
BVCM-37491
¥2,100(税込)

ヘンリー・フォンダ、チャールズ・ブロンソンらハリウッド俳優を招いてのマカロニ・ウェスタンの頂点に立つ大作。色とりどりの音楽が映画の興奮を伝えてくれます。ロマンチックでノスタルジックなテーマ曲がとても美しい。ボーナス・トラックも多数収録。

『モリコーネ・ムービー・ヒッツ』
モリコーネ・ムービー〜-J.jpg

BMGファンハウス
発売中
CD
BVCM-31114
¥2,548(税込)

モリコーネの代表的映画音楽がぎっしり詰まった究極のベスト・アルバム。「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」のテーマといった超有名曲はもちろん「ミッション」「シシリアン」なんかも入っていて納得の1枚。入門盤にして決定盤ともいえるベストな選曲です。あの名画のあのワン・シーンが目に浮かんできます。

『アリーナ・コンチェルト』
アリーナ・コンチェルト-J.jpg

ワーナーミュージック・ジャパン
5月12日発売
DVD
WPBR-90292
¥4,935 (税込)

大編成オーケストラを率いてのワールド・ツアーより02年9月に行われた地元イタリアでのコンサートの模様を収録。「続・夕陽のガンマン」「ニュー・シネマ・パラダイス」などモリコーネの音楽世界が自身の指揮で蘇ります。CDでも同時発売予定。

【エンニオ・モリコーネ 日本オフィシャルサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/EnnioMorricone/

inserted by FC2 system