平原綾香

初夏の爽やかな香りは、彼女の歌声と共に…。
3rdシングル「君といる時間の中で」は、TOYOTA「WISH」のCMソングとしてオンエア中、
平原綾香の歌声がテレビからお茶の間のあなたへ、爽やかな風を運んでくれます。

（初出『Groovin'』2004年5月25日号）

　突然ですが、あなたは物を買うときに何を参考にしますか？信頼の置ける友人のアドバイスだったり、雑誌に掲載された商品だからとか、判断基準は人それぞれだけれど、その中でも最も効果的だと思われるのがTVスポット（又はTVコマーシャル）なのではないだろうか。事実、売り場に立っていて「○○のコマーシャルでかかっているCDを探しているんだけど」と尋ねられたり「このCD、TVコマーシャルをやってたよね」などと、耳にする度にテレビの影響力をしみじみ感じてしまう。そんな中で「この曲いいよね」的な浸透方法で、2004年1月〜3月で最も売れたシングルとなり、半年近くたった現在も多くの人々に愛されている曲、それは平原綾香の衝撃のデビュー・シングル「Jupiter」である。インターネットのサイトでは「Jupiter」を聴いて癒された人や、何年ぶりかに「Jupiter」を買いにCDショップへ足を運んだ人、果てはオリジナル曲であるホルストの組曲「惑星」も買ってしまった人など、彼女の歌声に魅了された多くの人々の書き込みが日々絶えず、続いてリリースした彼女の1stアルバム『ODYSSEY』は、発売後3ヶ月経った現在もアルバム・チャート圏内をキープし続けている。
　そんな彼女の5/26にリリースされる3rdシングル「君といる時間の中で」は、平原本人が作詞を手掛け、デビュー曲からプロデュースを担当する小林信吾が作曲を担当し、「Jupiter」に通じる大きな愛をテーマに歌っている。この曲はTOYOTA「WISH」のCMソングとして絶賛オンエア中で、雑誌やラジオでの露出に比べてTV出演が比較的少ない彼女だけに、CMを通じて彼女の歌声をより身近に感じられるのは大変嬉しい。3作目のシングルで大きなCMソングを担当するというのは、かなりのプレッシャーだったのではないかと勝手に推測してしまうのだが「誰もが限られた時間の中で生きているし、忙しいなかでも自分をしっかり持って生きていきたい」というメッセージを込めて"一秒一秒ただ強く生きれば　叶わぬ夢などないんだ"と自分の伝えたいことをきちんと表現している世界観はさすがの一言。2ndシングル「明日」に通じる優しいメロディーと、彼女の魅力的な低音から高音へ抜けるドラマティックな歌い方が見事にマッチして「Jupiter」に続く、彼女の代表曲になることは間違いないだろう。
　カップリング曲「歌う風」はNHK総合テレビ「スタジオパークからこんにちは」のテーマ・ソングとして既にオンエア中。こちらも彼女が作詞を手がけ、お昼の番組にピッタリな爽やかなテイストに仕上がっている。"海の向こうには夢の続きを叶えるための未来が見える。だから昨日の涙捨てて"といった前向きな世界に心惹かれ、思わず彼女の歌のファンになってしまうテレビの前の方々もきっと沢山いるのではないだろうか。
　子供の頃からクラシックやジャズを聴いて育ち、音楽大学ではジャズを学び、初めて買ったCDがエアロスミスという様々な顔を持つ平原綾香が作り出す音楽は、自然体でありながら自分の伝えたいことをきちんと表現し、いい意味で真面目だと思う。この先、彼女の周りの環境はさらに変化していくだろうが、いつまでも彼女の表現方法は変わらず自然体でいて欲しいと思う。

Text by 大野裕子（パルシェ店）