東京エスムジカ

ARTIST PICK UP

東京エスムジカ

国籍の枠を超えたエスニック・ユニット、東京エスムジカが日韓同時デビュー!
ポピュラー・ミュージックと「世界中」または「アジア」をはじめとする
アジアの民族音楽を融合させたサウンドは、人間の根源を揺さぶる生命感に溢れている!

(初出『Groovin'』2004年5月25日号)

 つい先日、台北へ行ってきた。台湾では日本のポップ・カルチャーが大人気だとは聞いていたが、こと音楽に関しては、人気どころか完全に定着していると肌で実感。"台北の渋谷センター街"と言われる地区では、ひしめき合うショップから流れてくるのはほとんどがJ-POPだし、CDショップの新譜コーナーだって、半分かそれ以上は日本人アーティストのCDだ。台北っ子の週末の楽しみのひとつになっているクラブでも、テクノやR&Bに混ざってDragon Ashなんかがプレイされている。本当のホントに、アジアの音楽マーケットの垣根は限りなく低くなってきているんだなぁ…なんて、台北の街角でひとり思いを馳せた次第。もちろんここ日本でも、女子十二楽坊がブレイクし、韓国人アーティストがチャートを賑わせたりしているし、それがごく自然のこととして受け入れられていて、今や誰も特別なことだなんて思っちゃいない。
 東京エスムジカは、今月の19日に日韓同時デビューを果たした3人組。日・英・韓・中の4ヶ国語を操る在日コリアン4世の瑛愛(ヨンエ)と石垣島出身の平得美帆、東京大学大学院在学中の早川大地からなる、女性ツイン・ヴォーカル+コンポーザーというスタイルのユニットである。全く異なるバック・グラウンドを持つ3人が紡ぎだすサウンドは、アジアを始め世界中の民族音楽とポピュラー・ミュージックが絶妙に融合した"ネオ・エスニック・サウンド"。その斬新なサウンドは、大陸的なスケール感と、どこか懐かしい温もりを併せ持っている。東京〜石垣〜韓国を結ぶ3人のトライアングルが、アジアに高らかに響く日も近いだろう。国籍の枠を越えたユニット形態は、今後新たなスタンダードとなりそうだ。
 そんな彼らのデビュー・シングル「月凪」(つきなぎ)は、瑛愛と平得のツイン・ヴォーカルが煌めく糸のように織り成された幻想的なミディアム・チューン。TBS系「世界ふしぎ発見!」のエンディング・テーマとしてオンエア中なので、すでに耳にされた方も多いだろう。チベットをテーマにしたこの曲は、広大な草原を想起させる壮大なメロディとオリエンタル・テイスト溢れるアレンジが実に印象的。ラストのコーラス部分ではチベット語も披露しており、優しく郷愁を誘う。また、カップリングには、琉球島唄を感じさせる平得の歌唱法が心地よい「邂逅」(かいこう)と、瑛愛による韓国語のナンバー「陽炎」(かげろう)という、それぞれがメイン・ヴォーカルを務める楽曲を収録、様々な側面を見せてくれている。…人間の根源を揺さぶる生命感に溢れ、母のような大きさで包み込んでくれる彼らの音。日常の波に押し流され、自分のアイデンティティーを見失いそうな人は、是非ともこのCDを手にとって欲しい。
 音楽の力は本当に偉大だ。国籍や人種、環境をいとも簡単に飛び越え人々に感動を与える。東京エスムジカは、音楽という共通言語で世界中のリスナーを空想の旅へと導いてくれるだろう。そして、必ずやアジアの架け橋となってくれることだろう。

Text by 池 佐和子

『月凪』
東京エスムジカ-J.jpg




ビクターエンタテインメント
発売中
Maxi Single
VICL-35660
¥1,050(税込)

在日コリアン4世の瑛愛&石垣島出身の平得美帆の女性ツイン・ヴォーカルと、東京大学大学院在学中のコンポーザー、早川大地からなるユニットのデビュー・シングル。アジアを始めとする民族音楽とポップスを絶妙に融合させたネオ・エスニック・サウンドが新鮮!現在TBS系「世界ふしぎ発見!」のEDテーマとしてO.A.中。

【東京エスムジカ OFFICIAL WEBSITE】http://www.ethmusica.jp/

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