Crystal Kay

デビュー5周年を記念して選曲されたCrystal Kay
初のセレクション・アルバムと、ミュージック・クリップ集DVDが同時リリース！
彼女の成長ぶりと魅力が満載の2アイテム!!

（初出『Groovin'』2004年6月25日号）

　巷でよく言われる歌唱力という力は、ただメロディやリズムに忠実に歌う力のことではないと思う。聴く者を圧倒的に説得する力こそが歌唱力そのものだと僕は思っている。少し技術的な話になってしまうが、R&Bの世界ではそのメロディが持っている音程に、声が到達するスピードが速いということが説得力を増す最も重要な要因になっている。そのスピードを駆使して聴く者に話しかけるように歌う、いわゆる"シング・ライク・トーキング"ができるヴォーカリストが、優れた歌い手ということになる。そういった観点からCrystal Kayのニュー・アルバム『CK5』を聴いてみると、彼女の圧倒的な説得力を持っている歌唱力にあらためて驚かされてしまった。
　このアルバムは彼女のデビュー5周年を記念して、過去のタイアップ・ソングと、オフィシャル・サイトで行われたファン投票による人気上位曲を収録したセレクション・アルバムだが、デビュー曲である「Eternal Memories」から最新シングルの「Motherland」まで収録されており、実質上のベスト・アルバムといっていいほど彼女の代表曲がほとんど網羅されている。そして1999年にデビューして以来、彼女の進化し続ける歌唱力には目を見張るものがある。その中でもオフィシャル・サイトのファン投票で1位に選ばれた「Boyfriend-partⅡ-」は、初めて聴いた時もすばらしい楽曲だと思ってはいた。しかし彼女のアルバム『4 REAL』では、オープニング曲として配置されていたこの曲が、このセレクション・アルバムではラストを飾っているということもあってか、格別に説得されてしまった。当時17歳だった彼女の等身大の切ないラヴ・アフェアが、まるで本人からの告白のように胸に染み込んでいく。ビート感もほどよくありPOPなメロディに彩られているが、彼女の"シング・ライク・トーキング"なヴォーカルは見事にCrystal Kayワールドに引きずり込んでくれる。ベスト盤にありがちな時系列で曲が並んでいないこの『CK5』を聴いていると、あたかもコンセプチュアルなアルバムを聴いていると錯覚してしまうほど、彼女の素晴らしいヴォーカルが各曲の大部分の魅力を占めている。
　また同じ日に、そんなCrystal Kayの成長を映像で振り返る事ができるDVD『CK99-04 MUSIC CLIPS』がリリースされる。そこにはデビュー以来制作された全てのミュージック・クリップが収録されており、彼女の成長ぶりと魅力を存分に堪能できる内容になっている。デビュー5周年を迎えた彼女が魅せてくれる、ヴォーカル・マジックに酔いしれる事のできるこの夏に感謝！

Text by 五味渕雅之（朝霞店）