サンタラ

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サンタラ

話題のアコースティック・ユニット、サンタラの1stアルバムが登場!
その芳醇で饒舌なスタイルから窺える、ハイ・レベルな音楽センスに注目だ!!

(初出『Groovin'』2004年6月25日号)

 まず、今時の新譜でなかなかお目に(耳に)かかれないスリー・フィンガー・ピッキングで始まることにびっくり。京都の大学の音楽サークルで活動していたバンドが前身となり、1999年に結成されたサンタラの1stフル・アルバム『RIVERMOUTH REVUE』の話だ。4月にリリースされた2ndシングルの「うそつきレノン」というタイトルが妙に頭に引っかかっていたが、ようやく聴くことができた。砂田和俊が弾くアコースティック・ギターと、田村キョウコのヴォーカルとブルース・ハープだけでほとんどが成立してしまう音楽性を一言で言うならば、やはり"アコースティック・グルーヴ"という言葉が一番しっくりくる。ここ数年中古レコ屋の仕切り板でもよく見かけるが、例えば洋楽で言うとCSN&Yやジョニ・ミッチェルやジェシ・コリン・ヤングやホセ・フェリシアーノのような、フォーク、ブルース、カントリー、ブラジルといったルーツ・ミュージックをアコースティックな楽器でグルーヴィーに表現する人たちの音楽。70年代の和製フォークの叙情性とは明らかに一線を画する、現代に躍動する音楽ジャンルである。本作を聴いて、昨今の日本の音楽シーンでここまでこのジャンルに迫ったグループもいなかったのでは?と驚いた。オーセンティックなブルース・マナーが染み渡るミディアム・ナンバー、アコギのカッティングが鋭く切り込むファンキー・チューン、緩やかに展開するカントリー・ワルツ等、その芳醇で饒舌なスタイルから窺える音楽センスには驚くばかりだ。更に「水銀灯に黒羽根カラス」「下りのエレベーターに吐き気を催し」「交差点にブルースが立っている」といった、都会の風景を切り取った言葉に喪失感を滲ませるリアルな詞の世界も実に新鮮。そんなフレーズに時折絶妙に絡みつくアコーディオン、ブルース・ハープ、スライド・ギターといったサウンドの翳り具合もなんとも心地良い。まるで高純度でハイ・センスな10編のショート・ストーリーを観た後のような満たされた(でもちょっと切ない)感覚を味あわせてくれる1枚だ。

Text by 高瀬康一(編集部)

『RIVERMOUTH REVUE』
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Epic Records
7月14日発売
CD
ESCL-2564
¥3,059(税込)

映像的な歌詞と、フォーキー&ブルージーな音世界が話題のアコースティック・ユニット、サンタラの1stフル・アルバム。デビュー・シングル「バニラ」、2ndシングル「うそつきレノン」(album version)他、全10曲収録。新人らしからぬ完成された世界観は一聴に値する!

【サンタラ official site】http://www.santara.jp/

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