藤井隆

ARTIST PICK UP

藤井隆

セカンド・アルバム『オール バイ マイセルフ』がリリースされたんです。
それはもう、良いアルバムなんですっ!
これぞまさしく、藤井隆のBest CDだ !!

(初出『Groovin'』2004年7月25日号)

 少し前から、近頃中高年層が趣味にお金を使う割合が増えてきたという話を聞くようになった。若い頃はお金がなくて欲しいものも買えなかったが、今では少しばかりの余裕が出来て、楽器を習ったりレコードやCD、楽器、玩具といったこれまで買えなかった趣味のものを買っている、という話。確かに、その層をターゲットにした懐かし系アイドルのBOXもののリリースがコンスタントにされていることからしても、あながち的外れなこともないなと思うのだが、その感覚がちょっと前までわかるようでわからなかった。しかし、ここ最近無性に小・中学生の頃にラジオやテレビで聴いたアイドルやポップスのCDが欲しいという衝動に駆られることがある。あぁ、ボクも30になって彼らの仲間入りをしたのかと思ってしまったりもするのだった…。
 この衝動、実はブラウン管の中からメキメキと放出している人がいる。それが、藤井隆だ。話が長くなったが、今回お届けする藤井隆のセカンド・アルバム『オール バイ マイセルフ』。前作『ロミオ道行』同様、そこはかとなく漂う歌謡曲臭。彼の青春時代を彩ったポップスの名曲たちのもつテイストを現代に、そして藤井隆流に昇華させた作品となっている。前作は彼が尊敬してやまない作詞家、松本隆を全曲作詞&プロデューサーに迎え、筒美京平らの楽曲提供によりかなり歌謡曲テイストの強い作品だったが、本作も前作に負けず劣らずの豪華な作家陣が参加。トータル・サウンド・プロデューサーに前作でも参加していた本間昭光(ポルノグラフィティ等を手掛ける)の起用をはじめ、堀込高樹(キリンジ)、YOU、林田健司、小室哲哉、Fayray等が楽曲提供し、さらにはそれぞれの楽曲のコーラスにも参加しているのだ。また、数曲の作詞とジャケット他のアート・コーディネーターとして、元プラスチックスの島武実が参加している点にも注目したい。先行シングルともなった「わたしの青い空」でのカイリー&ダニー・ミノーグ的なダンシン路線なサウンドや、「1/2の孤独」でのEPOを思わせるようなアレンジ等、挙げればきりがないほど彼自身が音楽的に一番影響を受けたであろう80年代ポップスのテイストが全編にかなり色濃く出ている。まさに『オール バイ マイセルフ』というタイトルがピッタリな仕上がりと言えよう。
 正直、どの曲も2004年夏の主流サウンドではないかもしれない。しかし、そこには藤井隆というアーティストの青春、あのキラキラした時代が詰まっているのだ。簡単に口ずさめるポップさをもった、現代ではあまりお目にかかることがない本当の意味での良質なポップスが収録されている素敵なアルバムだ。それを懐かしいと思う世代も、新鮮に思う世代にも是非おすすめしたい。

Text by 常盤安信(横須賀佐原店)

『オール バイ マイセルフ』
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R&C Japan
7月28日発売
CD
YRCN-11028
¥3,060(税込)

移籍後初の第1弾アルバム!先行シングル「わたしの青い空」を含む全11曲収録のセカンド・アルバムは、堀込高樹(キリンジ)、YOU、林田健司、小室哲哉、Fayray、横山輝一ら豪華作家陣による楽曲ばかり。新たな藤井隆ワールドが堪能できる80年代ポップス・テイストな1枚。

【藤井 隆 公式サイト「藤井隆のヤングプラザ911」】http://fujiitakashi.laff.jp/

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