Zwei

ARTIST PICK UP

Zwei

Zweiのキーワードはハイブリッド!異なる2つの要素が見事な技によって両立したとき、
まさに隙のないプロダクトが完成する。
アマチュアリズムの延長線を脱しえない今のシーンには確実に警鐘をならすだろう!

(初出『Groovin'』2004年7月25日号)

Zwei-A.jpg 長井秀和のネタで「あと何年かしたら、また誰かが "Choo Choo Train"をカヴァーしてるんじゃない?周期!周期!」というのがあったが、やはりそういうのはあると思う。音楽の進化というのは既存のものを"今風"の解釈でリ・プロデュースすること(テクノロジーの進歩も関係するが)、もしくは既存の異なるカテゴリーを融合させることによって新種を開発することでしか成しえないのならば、前進の影にはある程度の温故知新はつきものである。
 80年代の終わりにミクスチャー・ロックが登場して、もうこれ以上の画期的な言葉は見当たらないのでは?とも思った。つまり"融合=ミクスチャー"なのだから、これから出てくる融合は全部この言葉で包括されるのではないか?ということである。案の定、それなりに進化して当初の意味合いとは変わってきたものの、ミクスチャーという言葉は未だ現役で使われている。しかし、久々に "ハイブリッドPOP"という、言いえて妙な言葉が登場した。どちらかといえば"混ぜる"というより"両立させる"という意味合いが強いのだが、まさにZweiはその言葉にしっくりくるアーティストといえる。
 例えば、デジタルとアナログ(デジタルのスピード感と生音の豊かさ)、U.K.とJ-POP(80年代ニューロマのテイストとJ-POPのメロディ)そして、Ayumu(Vo.)のアグレッシヴな声とMegu(B)のユニットを象徴する鋭利な刃物のようなヴィジュアル・イメージである。無論、これを成しえる背景には前田たかひろ(柴咲コウ、星村麻衣など)の詞とニック・ウッド、サイモン・ル・ボン(デュラン・デュラン)のUKサウンドが、見事にかみ合っているから、ということがある。また、ライヴ・ハウス仕込みの筋金入りのロック・ヴォーカリストAyumuとモデル出身のMeguというバック・グラウンドの裏づけもある。これによって「アグレッシヴとヒーリング」「無機質だが生々しい」という相反する要素を見事に取り入れ両立させている。ただ、何でも取り入れればいいというものではない。異なる要素の交通整理ができているということなのだろうか、高度なコラボレーション能力のなせる業なのか、いずれにしてもプロデュースにおいてはそのスタイルにおいて確信的である。
 前作「Movie Star」よりはロック色を前面に出した感もある今作である。ゲスト・ミュージシャンにスティーヴィー・サラスを迎えているのも、その狙いを表していると思う。詞も「ワタシ飼いの唄」というタイトルからも推測できる通り、より攻撃性を増していて、コンセプチュアル・スキルとしてはこの上ない。ここまではもはや隙のないとも言えるZweiだが、あと未知数なのはパフォーマンスだけかもしれない。メディア露出やライヴにおいて、どれだけこの完璧さを誇示できるかどうかということである。このハイブリッドな魅力がストレートに聴き手に伝わって欲しいものである。個人的な意見ではあるが、とりあえずいたずらに歌よりトークの方が長い某歌番組などに出て、Zweiの持つイメージに矛盾が生じない事を願うばかりだ…。

Text by 松本真一(小田原なるだ店)

『ワタシ飼いの唄』
Zwei-J.jpg



バップ
発売中
Maxi Single
VPCC-82178
¥1,050(税込)

Megu(B)とAyumu(Vo.)の女性2人組ユニットZwei(ヅヴァイ)の2ndシングル。プロデュースにはU.K.で活躍後、最近では日本での活躍もめざましいニック・ウッドを前作に引き続き起用。CDエキストラ仕様で同作品のビデオ・クリップを収録。

【Zwei web site】http://www.vap.co.jp/zwei/

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