MOTORWORKS

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MOTORWORKS

石田ショーキチ、黒沢健一、田村明浩、ホリノブヨシ…。
90年代から日本のロック&ポップス・シーンを支えてきた音楽職人による
スーパー・バンド、MOTORWORKS。3ヶ月連続リリース第2弾シングルが到着!

(初出『Groovin'』2004年8月25日号)

MOTORWORKS-A.jpg 久々に食指を動かされるバンドが現れた。その名もMOTORWORKS。こんな大人のバンドを長いこと待っていたのだ!ティーン・エイジャーの代弁者的なイキのいいロック・バンドは次々と登場してくるけれど、それらを聴くとき、既に若者ではない私は、悲しいかな傍観者の立場をとってしまう。何かしっくり来ない、そんな感じだ。もっと音楽的知識の蓄積から抽出された"コダワリ"と"分別"を持った熟練のバンド・サウンドを聴きたかったところなのである。
 MOTORWORKSは、Coccoやスピッツ等のプロデューサーとしても知られる元Spiral Life、現Scudelia Electroの石田ショーキチを中心に、他アーティストへの楽曲提供やプロデュース・ワーク等の多岐に渡る活動を行っているL⇔Rの黒沢健一、スピッツのベーシスト兼リーダーである田村明浩、そして、modern-gray、F.E.O.D.、Rall-Cussといったジャンルレスなバンド活動を続け、石田率いるScudelia Electroにサポート・ドラマーとしても参加しているホリノブヨシからなる4人組である。昨年末のScudelia Electroのライヴで、突如黒沢健一と田村明浩がステージに呼ばれ(ホリノブヨシは元々ステージ上にいた)、ビートルズの「Helter Skelter」等のカヴァーやオリジナル曲を披露。その時の感触に大きな手応えを感じ、バンド結成に至ったという。そんな風な<いっちょうやったりますか>的なスタートに、大人の余裕を感じさせるではないか。30代半ばを過ぎた百戦錬磨の音楽職人たちが、自身の"コダワリ"を濃縮還元したバンド、それがMOTORWORKSなのである。
 そんな彼らが、1stシングル『SPEEDER』に続き、"3ヶ月連続リリース"の第2弾となる新曲『Missing Piece』を発表した。そのタイトル通りスピード感に溢れた前作から一転、2ndシングルは、ギターのアルペジオが優しく響くミディアム・チューンである。黒沢健一の卓越したソング・ライティング・センスが光る流麗なメロディー・ラインは、まさに胸キュンもの。良質なポップスのエッセンスがすべて凝縮されているかのようだ。秋を感じさせるセンチメンタルな歌詞も、実にしっとりと胸に染み込んでくる。またc/wには、前作に続き、60年代ポップスのカヴァーを収録。フォー・トップスの全米No.1ヒットで知られるモータウン・レーベルを代表する作曲家チームHolland-Dozier-Hollandの名曲「Reach Out I'll Be There」を、ガレージ・テイスト溢れるヘヴィな味付けで聴かせてくれる。自身のルーツを紐解くかのようなこの60'sカヴァー企画は、MOTORWORKSの1つの特色として、今後恒例化していってくれると嬉しい。
 さて、来月に控えている "3ヶ月連続リリース"の完結篇となる1stアルバムでは、一体どのような御手並を見せてくれるのだろうか。90年代から第一線で日本のロック&ポップス・シーンを支えてきた4人の奏でるバンド・アンサンブルは、"訳知り"の音楽ファンのハートも鷲掴みにするはずである。

Text by 池 佐和子

『Missing Piece』
MOTORWORKS-J.jpg



Teenage Symphony/Dreamusic
発売中
Maxi Single
MUCT-5008
¥945(税込)

石田ショーキチ、黒沢健一、田村明浩、ホリノブヨシという百戦錬磨のメンバーが集結したMOTORWORKSの2ndシングル。流麗なメロディ・ラインと、秋を感じさせるセンチメンタルな歌詞が切なく響く珠玉のミディアム・チューン。


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