東京エスムジカ

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東京エスムジカ

東京〜石垣〜韓国と様々なバック・ボーンを持つ東京エスムジカがあなたに贈る音楽の世界旅行…。
デビュー・シングルの「月凪」に続き「月夜のユカラ」ではアイヌへ、
「オレンジの実る頃」ではイタリアへとあなたを誘います。

(初出『Groovin'』2004年8月25日号)

 東京エスムジカは、在日Korean4世の瑛愛(vo.)と石垣島出身の平得美帆(vo.)そして東京出身、現在東京大学大学院在学中の早川大地(sound producer)の3人により、2003年春に結成された。グループ名の「エスムジカ」は「民族的な(ethnic)」とイタリア語で「音楽(music)」という意味の「ムジカ」を組み合わせた言葉であり、「東京」という街で3人は偶然に出会った。それぞれ異なったバック・ボーンを持つ3人の男女が作り出す現代のポップ・ミュージックは、瞬く間に日本中を虜にしていった。今年5月に日韓同時リリースされたデビュー・シングル「月凪」は過去最高記録である全国FM33局でパワー・プレイに選ばれ、発売から3ヶ月経った今でも街に彼等の歌声が鳴り響いている。
 そんな東京エスムジカ待望の最新シングル「月夜のユカラ」が発売された。今作は「月凪」に続く"月"シリーズ第2弾であり、前作「月凪」ではチベットをテーマに愛の終わりを痛む人とその心を幻想的に歌っていたが、「月夜のユカラ」ではアイヌへと変わる。"ユカラ"とはアイヌの言葉で"物語"を意味するもので、漁に出たまま帰らぬ彼を、幾夜も待つ女性の切ない心が歌われている。一部に日本の古語とアイヌの言葉を組み合わせられた歌詞は、琉球島歌の匂いを含んだ平得と情熱的な瑛愛の歌声が見事に溶け合い、絶妙な深みを醸し出している。どこまでも広がる平原に白く浮かんだ月、そしてその月に照らされ白い光の道を作る真っ黒な海…そんな風景が目に浮かんでくる。何とも美しく幻想的な世界を感じていただけるのではないだろうか。
 2曲目「オレンジの実る頃」では雰囲気はガラリと変わり、舞台はイタリアへと移る。南イタリアのまばゆい陽光とラテンの熱い空気を感じさせる曲で、イメージは"オレンジの収穫時期に北アフリカからやってきた季節労働者とイタリア娘との熱いラヴ・ストーリー"といったところ?オレンジの甘い香りと乾いた土の匂いが交じり合う夏の風、その熱い風に吹かれながら褐色の肌をした若者と情熱的なイタリア娘の踊る姿を連想させる1曲である。この曲にはスパニッシュ・ギター、タブラ、ヴァイオリンの3人編成で話題のインストゥルメンタル・グループ、スパニッシュ・コネクションがゲスト参加しており、こちらも是非聴いていただきたいポイントである。そして今作には「月凪」の韓国語ヴァージョンも収録されており、こちらは日韓同時発売されたデビュー・シングル「月凪」の韓国版に収録されていたもの。瑛愛が韓国語詞を書き、日本でリリースされたものとはヴォーカルのとり方も変えており、瑛愛の透明感ある歌声と平得の大地に根ざしたような力強い歌声とが見事に溶け合い、新たな世界を作り出している。
 「月凪」のチベットから始まった東京エスムジカが、あなたに贈る音楽の世界旅行。今回はアイヌ〜イタリアへと飛来し韓国へと続く。「将来的にはいろいろな国の言葉を自由に取り入れながら作品を発表していきたい」という彼らの更なるステップ・アップを感じた「月夜のユカラ」、リリースが待ち遠しいニュー・アルバムの完成度の高さを期待せずにいられないキー・アイテムとなったと思う。

Text by 大野裕子(パルシェ店)

『月夜のユカラ』
東京エスムジカ-J.jpg





ビクターエンタテインメント
発売中
Maxi Single
VICL-35700
¥1,050(税込)

デビュー・シングル「月凪」が異例のFM33局パワー・プレイを記録した東京エスムジカ待望のセカンド・シングル「月夜のユカラ」は、"月"シリーズ第2弾。「オレンジの実る頃」ではイタリアへ、「月凪」(韓国語ver.)では韓国へと東京エスムジカの音楽旅行は続きます。

【東京エスムジカ OFFICIAL WEBSITE】http://www.ethmusica.jp/

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