ポール・ウェラー

ARTIST PICK UP

ポール・ウェラー

UKロック界の兄貴的存在、ポール・ウェラーの新作はなんと、すべてがカヴァー曲。
自身のルーツと向き合ったお気に入り14曲が、
彼の新しい解釈によって生まれ変わる。

(初出『Groovin'』2004年8月25日号)

ポール・ウェラー-A.jpg ポール・ウェラーの最新作である今作は、全てカヴァー曲。本人曰く「自分が解釈し直して演奏してみて、自分のものにできる曲を選んで、それをカヴァーすることにしたんだ」というように、原曲は異なる多様なサウンド、ジャンルだが、アルバム1枚を通して聴くとブラス・セクションやストリングスが美しく施され、しっかりと纏り感のある、野心的ソウルフル・アルバムに仕上がっている(さすが、兄貴!!)。もちろん、ウェラー兄貴はカヴァー曲に関しては素人ではない。ザ・ジャム時代には、「David Watts」(キンクス)、「Move On Up」(カーティス・メイフィールド)、「So Sad About Us」「Disguises」(ザ・フー)などをカヴァー。スタイル・カウンシル時代には、「Angel」(アニタ・ベーカー)、「Promised Land」(ジョー・スムース)など、そしてソロ・アーティストとしても、「Ohio」(CSN&Y)、「Feelin' Alright」(トラフィック)といった楽曲もカヴァーしていた。
 そして今作では、ジミ・ヘンのカヴァーでも有名な、大御所ボブ・ディランの「All Along The Watchtower」あり(ゴスペル・ソウル・カヴァー!)、ニール・ヤングの「Birds」(歌い方がそっくり!)などロック系から、ウェラー自身のお気に入りというアーロン・ネヴィル「Hercules」(忠実にリメイク)、ギル・スコット・へロン「The Bottle」(アップ・ビートなファンク・ロックに変貌!)などソウル、ジャズ系、そしてカーペンターズで有名なバート・バカラック作の「Close To You」(一段とソウルフル!)などポピュラー系まで、幅広い選曲。しかも完成までにはたったの5週間しかかからなかったらしい。どの曲もライヴで、2〜3テイクでレコーディング。「すべてがあっという間で、だらだら時間をかけることは無かった。とても自然にすべてが運んだね」「作るのがとても楽しいアルバムだったよ」と熱心に語る兄貴。本人も大満足な秀逸な作品に仕上がったようである。ウェラー兄貴が作るのを楽しんだのと同じくらい、きっとあなたも聴くのを楽しめる事でしょう。是非ともじっくりと聴いてみて欲しい。

Text by 大林 誠(大仁店)

『STUDIO 150』
ポール・ウェラー-J.jpg




V2 Records
9月1日発売
CD
V2CP-200
¥2,520(税込)

リード・シングルのギル・スコット・へロンの「ボトル」を始め、バート・バカラック、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、そして子分的存在のオアシスのナンバーなど、名曲クラシック14曲をカヴァーした必聴盤。更に日本盤には、2曲を追加収録。

【ポール・ウェラー 日本オフィシャルサイト】http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/paul/

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