レイ・チャールズ

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レイ・チャールズ

2004年6月10日、惜しまれつつこの世を去ったレイ・チャールズ。
一流アーティストとの夢のようなデュエットを繰り広げた
ラスト・レコーディング・アルバムが緊急リリース!

(初出『Groovin'』2004年8月25日号)

レイ・チャールズ-A.jpg 今年の6月10日に惜しまれながらこの世を旅立ったレイ・チャールズ。各メディアは一斉にこの残念な訃報を報じたが、それほど音楽に詳しくない人にもわかりやすく配慮するために"ソウルの重鎮" "R&Bの大物歌手"といった冠が多く付いていたと記憶している。もちろん当たっているのだが、レイ・チャールズという人を表現する場合、これだけではあまりにも寂しすぎる気がする。全世界にも数えるほどであるが、括りをはるかに超えて名前そのものがひとつのジャンルとなっている音楽家の1人であり、ルーツであるゴスペル、ブルースから出発し、アメリカで生まれた様々なポピュラー・ミュージックのエッセンスを吸収して深化したそのスタイルはオンリー・ワンであり、彼の本質を理解するには結構な時間を要してしまうはずである。
 訃報の後、彼の魅力を再確認しようと多くの人がそのアルバムを手に取っていたが、ここにその決定版ともいえるラスト・レコーディング・アルバムが緊急発売の運びとなった。様々なジャンルからのビッグ・アーティストとのデュエット・アルバム『ジーニアス・ラヴ〜永遠の愛』がそれである。今をときめくノラ・ジョーンズ、ダイアナ・クラール、ロック/ポップ界のベテランからはエルトン・ジョン、ジェイムス・テイラー、ボニー・レイット、マイケル・マクドナルド、盟友とも言えるウィリー・ネルソン、BBキングほか多くのカテゴリーから大物が共演し、唯一無比の素晴らしいデュエット・アルバムになっている。ここで参加者の1人、ノラ・ジョーンズのコメントは「レイ・チャールズの全てが大好き。彼は何だって歌えるし、何を歌っても彼の歌になってしまうところが不思議なの。彼の歌を聴いてもらえれば分かってもらえると思うけど、彼から受けた影響はとても大きい。そんな彼と一緒に歌えることができたなんて、信じられないほど光栄なこと。」このコメントは、レイ・チャールズの魅力の多くを言い当てている。様々な地域の様々な人から生まれたアメリカのポピュラー・ミュージックはそれぞれ交流を重ね、進化を続けていったが、それを自ら体現していたアーティスト、それがレイ・チャールズであり、ヴァラエティに富んだ共演者とのデュエットでも、アルバムとしての統一感が出せるのは彼だからである。
 何はともあれ一聴してもらえれば全てが分かると思うのだが、最後にこれを聴いた私個人の印象を。参加した超一流アーティストには失礼かもしれないが、最高の食材をふんだんに用いてじっくり煮込まれたシチューのようだなと。もちろんシェフはレイ・チャールズ、しかもどれだけ煮こめばこの芳醇な味が出せるのか、それは彼にしかわからない。シェフになりたい人、料理を味わいたい人、まだまだ修行が必要だなと。来年は彼のヒストリー映画が日本でも公開を予定している。新しいレシピはもう出ないかもしれないが、今まで作ってきた最高の料理は、この先もまだまだ味わえそうである。

Text by 作山和教(宇都宮FKDインターパーク店)

『ジーニアス・ラヴ〜永遠の愛』
レイ・チャールズ-J.jpg



ビクターエンタテインメント
発売中
CD
VICP-62808 
¥2,600(税込)

ゴスペル、ブルースといったルーツからオリジナルなスタイルを確立、ジャズ、カントリー、ポップなど様々なジャンルを吸収しながら進化させたレイ・チャールズが、各ジャンルの大物と奇跡のデュエットを繰り広げたラスト・レコーディング・アルバム。

【レイ・チャールズ 日本オフィシャルサイト】
(ビクター)http://www.jvcmusic.co.jp/raycharles/
(ワーナー)http://wmg.jp/artist/raycharles/
(ソニー)http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/RayCharles/

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