東京エスムジカ

ARTIST PICK UP

東京エスムジカ

エスニック音楽を取り入れた斬新なサウンドで、大きな注目を集めている東京エスムジカ。
"世界中の音楽をかき集めて作った作品集"という意味を持つ、
待望の1stアルバム『World Scratch』を日韓同時リリース!

(初出『Groovin'』2004年9月25日号)

東京エスムジカ-A.jpg 今年の5月に、シングル『月凪〜the world of ethmusica〜』で日韓同時デビューを果たした東京エスムジカ。日・英・韓・中の4ヶ国語を操る在日コリアン4世の瑛愛(ヨンエ)と、石垣島出身の平得美帆、東京大学大学院在学中の早川大地からなる、女性ツイン・ヴォーカル+コンポーザーという個性的な形態の3人組ユニットである。全く異なるバック・グラウンドを持つ3人が紡ぎ出すサウンドは、世界中のあらゆる民族音楽と、最先端のポピュラー・ミュージックを絶妙に融合させた"ネオ・エスニック・サウンド"。大陸的なスケール感とイマジネイティヴな詞の世界が醸し出すその斬新なサウンドは、新しいJ-POPのスタイルとして、大きな注目を集めている。
 そんな東京エスムジカの待望の1stアルバムが遂に完成した。今作ももちろん、日韓同時リリースである。アルバム・タイトルは『World Scratch(ワールド・スクラッチ)』。スクラッチとは、"引っ掻く" "走り書き"といった意味の他に、アナログ・レコードを擦って音を出すDJテクニックを表す言葉でもあり、今回のタイトルは、"世界中の音楽をかき集めて作った作品集"という意味合いを込めたネーミングだという。そのタイトル通り、アジア、ヨーロッパ、アフリカ等の様々なワールド・ミュージックのエッセンスが所狭しと散りばめられ、まるで世界旅行をしているかのような気分にさせてくれる1枚だ。
 バリ島の伝統楽器、ガムランの合奏が幽玄的な雰囲気を醸し出すオープニング・ナンバー「月影のワヤン」に始まり、アコーディオン奏者、cobaを迎えたヨーロピアン・テイスト溢れる「泥の花」、アフリカン・ヴォイスやアフリカン・ヨーデルを盛り込んだ全英語詞の「Standing on the ground」、北アフリカからの季節労働者とイタリア娘の恋物語をテーマにした情熱的なラテン・チューン「オレンジの実る頃」、スティールパンをフィーチャーした南国ムード漂う「Vita」、朝鮮半島の民族楽器 "ソヘグム"と沖縄の三線の響きが美しいインスト・ナンバー「World strut」、大正ロマン風のレトロ感が懐かしさを誘う「レンガ通り」、失われた砂漠の都での運命的な出会いというテーマをシタールの音色に乗せた「邂逅」、アイヌ語と日本語古語を歌詞に取り入れた幻想的なミディアム・チューン「月夜のユカラ」、そして、バグパイプの一種であるイーリアンパイプのフレーズが印象深いハートフルなラスト・ナンバー「始まりに向けて」まで、エスムジカ流のエスニック・サウンドが次々と展開していく。それらの音に身を委ねていると、体の中の毒素がどんどん抜けて浄化されていくようだ。
 ワールド・ミュージックという横糸と、自らの感性という縦糸を、丁寧に紡いで創られる東京エスムジカの音楽。それは、極上の織物のように、リスナーを優しく包んでくれる。彼らの次なる作品が早くも楽しみである。

Text by 池 佐和子

『World Scratch』
東京エスムジカ-J.jpg




ビクターエンタテインメント
発売中
CD
VICL-61481
¥3,045(税込)

日韓同時リリースとなる待望の1stアルバム。タイトルの『World Scratch』は、"世界中の音楽をかき集めて作った作品集"という意味合いを持つ。アジア、ヨーロッパ、アフリカ等の様々なワールド・ミュージックのエッセンスが詰まった快作!

【東京エスムジカ OFFICIAL WEBSITE】http://www.ethmusica.jp/

inserted by FC2 system