エミネム

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エミネム

『D12 ワールド』リリース以降、徹底してスタジオにこもって制作されたという4作目。
タイトルは『アンコール』。そう、まだ「ザ・エミネム・ショウ」は終わっていなかった!!
"ヒップ・ホップ・モンスター" エミネム、最新兵器ここに投下す。

(初出『Groovin'』2004年11月25日号)

エミネム-A.jpg エミネムのニュー・アルバム、遂に到着。御大ドクター・ドレー、D12、オービー・トライスなど、"エミネム人脈新旧揃い踏み"の集大成アルバム『ザ・エミネム・ショウ』(2004年10月現在、全世界総売上枚数は1900万枚!! ちなみに『スリム・シェイディ』は1000万枚、『マーシャル・マザーズLP』は1300万枚、『8マイル』は900万枚)から2年半、それに続く新作のタイトルがこの『アンコール』だ。実に出来過ぎた、そそられるタイトルだ。プロデュースはドレー&エミネム、勿論エミネム・ファミリーは総出演。PVの映像(現代社会を色々と皮肉った強烈なパロディ映像)ばかりに目が行ってあまり歌を聴いていなかった、なんていう人も多そうな先行シングル「JUST LOSE IT」は、相変わらずのエミネム節(いい意味でも、悪い意味でも、あんなクレイジーな奴は他にいない!?)。他にも、リアルな体験や経験が刷り込まれ、類まれなる世界観を生み出し、過激に響く、あの彼独特のライムは随所に健在。そして、マシンガン級のラップ・スキル、フリー・スタイルは今作でもズバ抜けたセンス。またしても強烈な支持を掴むだろう。
 ところで前作からのこの2年半の間、相変わらず彼の周囲では数々の事件が勃発。今までも確かに暴力事件、裁判沙汰、離婚等といった、ワイドショー的なスキャンダルはいくつかあった。が、グラミー賞も受賞し、"エミネム=ヒップ・ホップ・モンスター"となってしまってからは、スキャンダルそのものがそれまでのものと比べようも無いほどの規模になった。例えば、米ブッシュ大統領のシークレット・サーヴィスが「ブッシュ大統領を脅迫しているともとれる」として、エミネムの曲の歌詞を調査したと公表。更にはあるヒップ・ホップ誌では、アマチュア時代(16歳当時)のフリー・スタイルでのリリックが「黒人女性に対して差別発言している」よって「彼は人種差別主義者だ」と一方的に批判した記事を掲載、といった悪意に満ち溢れたニュースが流れた(一方、ノーベル文化賞を受賞したアイルランド出身の詩人シェイマス・ヒーニーは「エミネムの言葉にはエネルギーがある」と賞賛し、あるヨーロッパの広告代理店が行った信用調査で「エミネムはブッシュ大統領より真実性がある」という結果が出たことが報告され、英有名カルチャー誌で「今現在、音楽業界で最も影響力のある人物100名」にてエミネムが堂々1位に選ばれる、といった好意的なニュースもあった)。しかし、過去にもアメリカが抱えている様々な病巣(見境のない暴力や貧困、ドラッグ問題やセックス)や私生活問題をも歌詞に取り入れ、怒りに燃えたフリー・スタイルを披露してきた彼のこと、そんな悪意のある非難も彼にしてみれば、いいネタが見つかった位のことと笑い飛ばしてしまうに違いない。
 そもそもエミネムを半ば狂人扱いしてきたアメリカが、現在では世界中から狂気じみた国として見られている。そんな世界情勢のもと、この時期に発表される新作。アメリカに対して、また自分自身を取り巻く状況に対して、彼が発射している言葉のマシンガンを(実際、明らかにブッシュ大統領を攻撃している曲もあり、政治的なメッセージが強い曲が数曲含まれているらしい)受け止め、堪能してほしい。

Text by 大林 誠(大仁店)

『アンコール』
エミネム-J.jpg




ユニバーサル インターナショナル
発売中
CD
[限定盤]DVD付 UICS-9029 ¥3,300(税込)
[通常盤]UICS-1086 ¥2,548(税込)

2004年、エミネム・ファミリー怒涛の快進撃のラストを飾る、全世界大注目の4作目。ドクター・ドレー始め、D12、オービー・トライス、50セント、ロイド・バンクス、ヤング・バックなどエミネム・ファミリーは勿論総出演。色々な意味で更に進化したエミネムに出会えるはず。

【エミネム 日本オフィシャルサイト】http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/eminem/

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