U2

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U2

全世界が渇望していた
アルバム『ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』、遂に降臨。
ポジティヴに、そしてポリティカルに時代を照らす、光のロックン・ロール・アルバム。

(初出『Groovin'』2004年11月25日号)

U2-A.jpg 前作『オール・ザット・ユー・キャント・ビハインド』で、4人だけの音に原点回帰し、世界中で大絶賛を受けたアイルランドの闘士達が、4年振りとなるニュー・アルバムを遂に完成させた。この新作、とにかくとんでもない事になっているのである。
 10月某日、ユニバーサル・ミュージック本社にて行われた新作試聴会に出席してきたのだが、7月に彼らの制作スタジオからマスタリング前の新曲CDが盗まれるという事があったからか、関係者以外立ち入り御免の厳戒体制。そして会場に入り、まずは今回、i-Podの主旨に賛同し、ノーギャラで出演したと言うCMを見せてもらう。ファースト・シングルとなる「ヴァーティゴ」をフィーチャーしたこのCM、メチャクチャかっこいい!原色を基本にしたコラージュの様な映像は、楽曲のスピード感を増幅させ、そのインパクトたるや絶大。もうTVで流れているはずなので、是非チェックしてみて欲しい。
 かくして今回の目的の新作試聴スタート。まずはラリーのスティック・カウントから始まる「ヴァーティゴ」。これが『アクトン・ベイビー』直系の煌びやかな最強ロックン・ロール!この1曲目が物語るように、今回は全体的に91年の『アクトン・ベイビー』の煌びやかさ、派手さを連想させるが、その破壊力たるや比にならない。続いて「約束の地」を彷彿とさせるミディアム・ナンバー「ミラクル・ドラッグ」。ボノのVoが鳥肌ものに素晴らしい。広大なるミディアム・バラードにしてエッジの煌めくギターが降り注ぐ「サムタイムズ・ユー・キャント・メイク・イット・オン・ユア・オウン」。U2には珍しいブギー調の「ラヴ・アンド・ピース・オア・エルス」。5曲目「シティ・オブ・ブリンディング・ライツ」は美しく煌めくイントロが上昇し、メロディーが溢れ出す名曲。そして豪華で華美なロックン・ロール「オール・ビコーズ・オブ・ユー」。とにかくここまでどの曲シングル・カットしてもヒットするだろ!ってくらい、キャッチー&美メロを連発。前作がストイックにシンプルに振れたアルバムだとすれば、今回は「陽」のオーラを放った煌めくロック・アルバムである。しかもタイトルが示す通り、ポリティカルな一面も見せた最強U2としての新章突入とくれば、盛り上がらない訳はないだろう。続く7曲目「マン・アンド・ウーマン」は、物悲しげなメロディーが印象的な佳曲。分厚い音像がサウンド・ウォールを形成する「クラムズ・フロム・ユア・テーブル」。シンプルなメッセージ「ワン・ステップ・クローザー」は、力強いバラードでサビのメロディーがとても印象的。そして、力強くも美しく、歩を進めるようなアコギのストロークが印象的なミディアム・ロッカ・バラード「オリジナル・オブ・ザ・スピーシーズ」。オリジナル盤では最終曲となる「ヤハウェ」はヘブライ語で「神」の意。力強いボノの声が聴く者の心を震わす秀逸なロック・ナンバーでこの怪物アルバムは幕を閉じる。
 間違いなく、最強のアルバムである。リスナーの心を掴まえ、更なる向こう側へと連れて行ってくれる、そんなポジティヴで光に溢れたロックン・ロール集。こんな素晴らしいアルバムがこの時代に生まれた事を本当に幸せに思う。2004年も終わろうとする中、最後に本命は待っていたね。

Text by 中野智人(向ヶ丘ダイエー店)

『ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』
U2-J.jpg



ユニバーサル インターナショナル
発売中
CD
[デラックス限定盤](CD+DVD+BOOK)UICI-9008 ¥5,000(税込)
[限定盤 ](CD+DVD)UICI-9007 ¥3,500(税込)
[通常盤]UICI-1037 ¥2,548(税込)

タイトルの「ハウ・トゥ」、実はボートラの「ファースト・カーズ」の詞の一文らしい。異彩を放つこの曲もU2らしくなくて聴き応えあり。そして今回、プロデュースにスティーヴ・リリーホワイトとくれば「ウォー」とか好きな人は感涙…ですよね。

【U2 日本オフィシャルサイト】http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/u2/

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