アンドレア・ボチェッリ

ARTIST PICK UP

アンドレア・ボチェッリ

全世界でトータル4,500万枚以上の売り上げを誇るイタリアのテノール歌手、
アンドレア・ボチェッリの通算4枚目となるポップス・アルバムが完成!

(初出『Groovin'』2004年12月25日号)

 最近、歳のせいか、めっきりロックがダメになりました。今年の夏もThe Whoが来日するってんで、昔のアルバムをひっくり返して聴き直したら、耳につんざくようなギターとハイハットがうるさくてうるさくて(笑)。もともとロックよりポップスが好きな上に、ここにきてオールド志向に更に磨きがかかって最近聴いているのはドリス・デイとかアンディ・ウィリアムスとか。もうオッサン通り越して爺さんの趣味ですな(苦笑)。
 で、そんな若年寄の耳に妙にしっくりきたのが今回紹介するアンドレア・ボチェッリです。彼は実は、僕みたいな軟弱なポップス・リスナーが紹介してはいけないのではと恐縮してしまうほどの、世界を虜にしているイタリアのテノール歌手なのです。ここでちょっと彼の経歴を紹介しておきましょう。
 アンドレア・ボチェッリは1958年イタリアのトスカーナ地方生まれ。12歳の時サッカー中の事故で盲目になるという試練を乗り越え、法律学を勉強し弁護士になります。その後テナー歌手へ転身、1993年にイタリアのレコード会社シュガー・レーベルの社長に才能を見出され、翌年あの"サン・レモ音楽祭"に出演、念願のデビューを果たしています。当時サラ・ブライトマンがレストランで夕食をとっている時にボチェッリの歌を聴いて感動し、すぐさまデュエットを申し込んだというのは有名な話で、その後すぐに彼女とのデュエット曲「君と旅立とう」(英題「Time To Say Goodbye」)がヨーロッパで大ヒットとなり一躍時の人となりました。この曲を収録したアルバム『ロマンツァ』は世界中で2,000万枚を売り上げているというから驚きます。その後もセリーヌ・ディオンとのデュエットや、2000年に発表したクラシック・アルバム『ヴェルディ・マリア集』の全米大ヒット、そして日本でも独自企画となるベスト盤『愛のために』がリリースされ、その中の楽曲「大いなる世界」がSUNTORYのモルツ・スーパー・プレミアムのイメージ・ソングに起用されるなど、まさに世界に認められた歌手としてその勢いは留まることを知りません。
 本作は自らの名前を冠した、通算4枚目となるポップス・アルバムとなります。プロデューサーは1枚目のポップス・アルバムからコンビを組んできたマウロ・マァヴァシと、エロス・ラマゾッティやフィリッパ・ジョルダーノを手がけるイタリア音楽界のヒット・メーカー、チェルソ・ヴァッリですが、内容は僕のようなポップス・ファンにも実に聴きやすいものでした。例えば3曲目の「新たなる日」の作曲はエンリケ・イグレシアスで、ロビー・ウィリアムスやカイリー・ミノーグを手掛けたガイ・チェンバーズ&スティーヴ・パワーのプロデュースで制作されたエルトン・ジョンなどにも通じるバラードだし、9曲目の「君の愛なしでは」はジプシー・キングスのメンバーでもあるギタリスト、マリオ・レイエスの奏でるフラメンコ・ギター風の哀愁の旋律が心に沁みる、実に日本人好みのナンバーでした。
 重厚なオーケストラと壮厳なヨーロッパの雰囲気は、クリスマスとか年末といった今の時期にピッタリでホント心が洗われるようです。1年の疲れが溜まって癒しが必要なOLさんや、最近のロックやHIP HOPにうんざりしていて何か良さ気なCDを探しているサラリーマンの方、たまにはこういう音楽もいいのではないでしょうか。

Text by 高瀬康一(編集部)

『アンドレア』
アンドレア・ボチェリ-J.jpg




ユニバーサル インターナショナル
発売中
CD
UICO-1074
¥2,548(税込)

世界的な人気を誇るイタリアのテノール歌手、アンドレア・ボチェッリの通算4枚目となるポップス・アルバムが到着。壮厳なヨーロッパの雰囲気を醸しだしつつも、メロディが美しく実に聴きやすい内容。ボートラとして安田姉妹による日本語カヴァーでもお馴染みの「悲しみのソレアード」等を収録。


inserted by FC2 system