BoA

2001年のデビュー以来、数々のヒット・ナンバーでシーンを賑わせ続けてきたBoA。
18歳を迎え、成熟したシンガーへと急成長を遂げた彼女が、
待望のベスト・アルバムをリリース！

（初出『Groovin'』2005年1月25日号）

　昨年末も例年通り数々のクリスマス・ソングがリリースされたが、私の一等のお気に入りだったのは、BoAの「メリクリ」だ。歌謡界を牽引してきた作詞家・康珍化ならではのキュートな世界観もさることながら、何より、BoAの情感豊かなヴォーカルにシビレタ。甘くて切なくて、それでいて凛と響く歌声。耳にすっと入り込んで、心地よく染み渡っていく。「あれ？こんなに巧かったっけ？」…率直にそう思った。どちらかというとダンサブルな楽曲のイメージが強かっただけに、この王道バラードを貫禄十分に歌いこなす度量に殊更驚いたわけなのだが、テレビの歌番組で彼女を見掛けた時、大いに納得。そこには、サナギが蝶に生まれ変わったように、すっかり大人の女性へと脱皮したBoAがいたからだ。ついこの間まで、あどけない表情を垣間見せていたというのに、今ではしっとりとした色香まで漂わせている。18歳の女のコだけが持つ魔法があるとしたら、そう、きっとこんな感じ！少女は知らぬ間にレディーに変身し、シンガーとしてのネクスト・ステージに飛び立ったのだ。
　BoAの日本デビューは2001年。4thシングル「LISTEN TO MY HEART」のスマッシュ・ヒットをきっかけに、一躍トップ・アーティストの座に踊り出た。続く1stアルバム『LISTEN TO MY HEART』がオリコン・チャート初登場1位を獲得、ミリオン・セールスを達成する大ヒットとなり、その地位を不動のものにする。その後もコンスタントに作品をリリースする傍ら、m-floを始め、日本クラブ・シーンの重鎮であるMONDO GROSSO、新進気鋭のプロデューサーAKIRA率いるプロジェクト、PALM DRIVE、世界的人気を誇るアイルランド出身のボーイズ・グループ、westlifeなど多方面のアーティスト達と精力的にコラボレート。また、久保田利伸のトリビュート・アルバムでは、SOUL'd OUTとの共演による「LA・LA・LA LOVE SONG」のカヴァーも話題を呼んだ。そういった多彩な活動ぶりと、一箇所に留まることのない姿勢は、彼女の大きな魅力のひとつであり、急成長の糧となったはずだ。
　そして、デビューから5年目を迎えたBoAが、待望のベスト・アルバムをリリースする。デビュー曲「ID;Peace B」を皮切りに、ブレイクを果たした記念すべき「LISTEN TO MY HEART」、代表曲となった情熱的なラテン・チューン「VALENTI」、ダウンロード配信で注目を集めた「コノヨノシルシ」、成熟度を見せ付けたバラード「メリクリ」と、これまで発表したシングルを時間軸に沿って収録。14歳から18歳に至る彼女の軌跡を、一気に楽しめる貴重なアイテムである。その成長ぶりをじっくり堪能してみたい。
　2005年の幕開け早々に、ベスト・アルバムというビッグなプレゼントを届けてくれたBoA。4月には、アリーナ・ツアーも決定しているという。次々と新しいドアを開け、私たちに無限の可能性を見せてくれる彼女から、一時も目が離せない。今年も、日本のミュージック・シーンを大いに賑わせてくれることだろう。

Text by 池 佐和子