LOVE PSYCHEDELICO

DELICO本人選曲による、新曲2曲を含むBEST盤が遂にリリース!!
印象的なリフ、日本語と英語が自然な形で行き交う独特な歌詞、
存在感のあるKUMIのヴォーカルで魅了してきた彼ら。"最強DELICO WORLD"を体感せよ!!

（初出『Groovin'』2005年1月25日号）

衝撃…DELICOの存在はまさにこの一言に尽きる。洋楽ファンをも納得させてしまうツボを付く曲作りの器用さ、60〜70年代のロックの影響下から生まれてくる印象的なリフ、日本語と英語が絶妙な融合をみせるヴォーカル・スタイル、どれをとっても"衝撃"。更には、唄が流れれば瞬間的に「LOVE PSYCHEDELICO！」と殆どの人が判ってしまう存在感と、そこらの凡百のミュージシャンには決して生み出せないハイ・ブリッドなグルーヴ感とを持ち併せていること自体も"衝撃"。ONE＆ONLYな個性の持ち主、DELICO。そんな彼らから初のベスト・アルバム『Early Times』が届けられる。
　今作は本人選曲による16曲からなるBEST盤（新曲2曲含む）。BEST盤というと、"シングル曲の寄せ集め"的な趣があるが、本作には（本人監修もあってか）今まで発売された9枚のシングル表題曲のうち、収録されているのは6曲。だがBEST ALBUMとして成り立ってしまうのは、やはりアルバム収録曲でもレヴェルが相当高いという証拠だろう。収録内容はストーンズ的、ツェッペリン的なロック・テイストのあの楽曲から、ディラン的なフォーキーなあの楽曲、中期から後期にかけてのビートルズ的なアレンジのあの楽曲、カントリー・タッチなあの楽曲、ハイパー・サーフ・サウンドなあの楽曲等、皆さんご存知の"DELICO節"が（ツボを得て）満遍なく収録されている。アルバム全体を通して感じる雰囲気は（洋楽好きには判ってもらえると思うが）やはり、シェリル・クロウっぽい。KUMIの気だるそうだが実は熱い（＝一聴すると無機質だが、実は女性特有の温かさや、全てを包み込むやさしさが滲み出ている）歌唱スタイルそのものや、直樹の奏でる古き良き時代のロックをベースにした印象的なギターのリフ、ドライな世界観の楽曲の中にどことなくウェットな質感を持たせた機軸が両者の共通項なのだろう。そして先ほど少し触れたが「本当に日本人？」と疑いたくもなってしまうKUMIのヴォーカル・スタイルには改めて感服させられる。こうしてお馴染みの曲をBEST盤として纏めて聴くと、サザン桑田以来と思われる言語感覚、変幻自在なヴォーカリゼーションはやはり、日本人離れしている。
　デビュー以来、純粋に音楽の力だけで僕達に心地良い衝撃を与えてきてくれたDELICO。「LOVE　PSYCHEDELICOとは一体何なのか？」と自問自答し、解散も視野に入れていた時期があったらしいが、再び全てをリセットして歩み出してくれた。こんな独特のヴォーカル・スタイル、緻密で洗練された音楽センスを持ったアーティストは、この先そう出てこないだろうし、そのクオリティーは他アーティストの追随を許していないのは明白。これからも僕達に最高傑作と呼ばれる作品と共に、"夢と希望"を届け続けて欲しい。

Text by 大林 誠（大仁店）