女子十二楽坊

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女子十二楽坊

女子十二楽坊の最新アルバムは「敦煌」(とんこう)という場所をキーワードにした
コンセプト・アルバム。GLAYのTAKUROによる書き下ろし曲や、
オレンジレンジの「花」、冬ソナ主題歌のカヴァー曲も収録!

(初出『Groovin'』2005年1月25日号)

 2005年も引き続き熱そうな韓流ブームですが、同じアジア圏の中国もまた、日本とは切っても切れないご縁のある国です。歴史や文化など、昔からたくさんの影響を受けている、もっともつながりの深い国だと言っても過言ではないでしょう。さらにこのところはお笑いブームでもありますが、唐(7〜9世紀)の時代には「参軍戯」という、「ボケ」と「ツッコミ」による即興的コントもあったそうな。四千年の歴史が生み出したものは数えきれません。そしてすべてに渡ってスケールが大きいのです。
 そして中国と言えば「万里の長城」に代表される世界遺産の数々…とりわけ、絹が中国からこの道を通って西方に運ばれた「シルクロード」はあまりにも有名。そのシルクロードの中継点であったのが「敦煌」(とんこう)です。中国甘粛省の西の端にあるこの地名は「敦は大なり、煌は盛なり=盛大に繁栄する」という意味で、女子十ニ楽坊の音楽のルーツである雅楽の発祥の地とも言われています。中国古典楽器と西洋音楽が融合した音を奏でる女子十二楽坊にとって、象徴的な意味を持つ敦煌。つまり今作は、「敦煌」という場所をキーワードにしたコンセプト・アルバムであり、彼女たちの魅力が今まで以上に伝わる、オリジナル色の強いアルバムなのです。
 今作に収録されている「疏勒河」「盛唐楽坊」「陽関古道」「莫高窟」といった曲からも、中国という国の壮大な大地と歴史の深さを感じることができます。日本文学にも影響を与えた李白や杜甫らが黄金期を築いた漢詩の世界や、それらの随所に表れる山紫水明の地や水墨画のような幽玄な風景…そういったものを音で表す女子十二楽坊の演奏力、表現力と、中国古来の楽器が奏でる繊細で端正な音色に改めて陶酔してしまいます。女子十二楽坊-A.jpgそして今や彼女たちそのものが中国文化であるとさえ思えてくる…今作に付いているDVDに収録の、敦煌にて撮影されたPVでは、広大な大地にたたずむ彼女たちの姿が舞い降りてきた天女のようで、美しい風景と音楽の共演はお見事!の一言。遥かなる敦煌への思いは深まるばかりです。
 オレンジレンジの「花」、冬ソナ主題歌「最初から今まで」、映画「LOVERS」テーマ曲…といった2004年を象徴する曲に加え、久保田早紀の「異邦人」や名曲「コンドルは飛んで行く」など、有名な曲のカヴァーも今作には収録されています。さらに注目すべきは、初の日本人作家による書き下ろし楽曲が収録されていることでしょう。NHK特集「シルクロード」の音楽を担当し、自身も『敦煌』というアルバムを発表している喜多郎による「大地の囁き」は、幾重にもなる音の波が静かに、けれどとても力強く広がる壮大な曲。そして2002年に北京工人体育場にて5万人を動員し「JAL Presents 日中国交正常化三十周年特別記念コンサート〜GLAY ONE LOVE in 北京」を行ったGLAYのTAKUROが依頼を受け、半年を費やし書き上げたという「流転」は、GLAYの王道とも言える独特の音空間を感じさせながら、中国の長い歴史とそこに生きた多くの人々の思いまでが自然に浮かび上がってくる、味わい深いナンバーとなっています。
 中国をイメージして聴くからか、その音色が中国を思わせるのか、女子十二楽坊の演奏を聴いていると、果てしなく広がる大地の無限と人類の奥深さを感じます。そして心が洗われて穏やかな気持ちになれる…最新作『敦煌 〜Romantic Energy〜』は、まさに新しい年の幕開けにふさわしい、聴き応え十分なアルバムです。

Text by 二宮万里(編集部)

『敦煌 〜Romantic Energy〜』
女子十二楽坊-J.jpg





プラティア・エンタテインメント
1月26日発売
[CD+DVD]PYCE-1008 ¥3,500(税込)
[CD]PYCE-1009 ¥2,980(税込)

日本オリジナル・アルバム第3弾。名曲「異邦人」「コンドルは飛んで行く」や冬ソナ主題歌「最初から今まで」のカヴァーに加え、初の日本人作家(GLAYのTAKURO/喜多郎)による書き下ろし曲も収録。映画「HERO」のスタッフ・チームも制作に参加した超大作PVや、女子十二楽坊が案内する"敦煌"観光案内他を収録のDVD付も同日発売。

【女子十二楽坊 公式ファンクラブ「The 12 Girls」】http://www.12girls.jp/pc.php

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