クイーン

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クイーン

150万枚の大ヒット・アルバム『ジュエルズ』の第2弾が登場!
リアルタイム世代も、若者たちも、中途半端な世代も、それぞれの思わくで聴いてほしい。
きっかけは……"ジュエルズ"!

(初出『Groovin'』2005年1月25日号)

クイーン-A.jpg 今年1月に発売され空前の大ヒットを記録した『ジュエルズ』から1年、その第2弾が発売されることになった。今回の選曲は、東芝EMIのオフィシャル・サイトで行われた「ファンによる好きな曲投票」の結果に基づいて決定したそうである。ときに(クイーンだけの話ではないが)このベスト盤という形での再評価に、いろいろ賛否があるとは言われている。リアル・タイム世代、特に熱狂的なファンの間には、このお手軽に有名な曲をチョイスしたベスト盤に対し、「断片的な部分のよせ集めになるので誤解して伝わるのでは?」とか「オリジナルの流れの中での1曲なのに、それが伝わらない」とかそんな話もよく聞く。確かに、初めてクイーンに触れる若いリスナーがこのベスト盤を聴いただけで"分かったような気になってしまう"ことを危惧する老婆心が芽生えるのも分かる気がする。「ボヘミアン・ラプソディ」はアルバム『オペラ座の夜』の中でこそ活きる曲であり、単体で聴くことではその本当の良さは分からない!と、のたまうオッサンの話も聞く。かく言う私も『ビートルズ 1』が出たときに、大してビートルズ好きでもないのになんとなく違和感を感じたりもした。だからといって、このベスト盤の功績を見逃すこともできない。若い世代にとって、良質なソフトの供給が不足している中、過去のビッグ・ネームとの出会いはとても刺激的な事であり、古きを訪ねるきっかけにもなりうる。また、リアル・タイム世代でもそのアーティストを通らなかった人に、接点を提供するという点でも、非常に意義深いことだと思う。
 ところで僕は仕事柄、この『ジュエルズ』を昨年店頭で頻繁に聴いたのだが、その刷り込みによって、「今、もう一度クイーンを聴いてみよう」という衝動に駆られてしまった。家に帰りダンボールにランダムに詰められたオリジナル・アルバムを抜き出し聴いてみたのだが、これには意外な発見があったりするものである。むしろ、何も知らないで聴いていた、と言ってもいいくらいである。考えてみれば、僕がクイーンを聴くきっかけになったのは、91年フレディが死んだ年であり、そのころは高校を卒業したばかりで、まだツェッペリンもT-REXも何も知らないときだったのである。今、ある程度ロック基礎知識を舐めたあとでクイーンを聴くと、当時意味の分からなかったライナーノーツや、ミュージック・マガジンのコメントの意味が実感できたりもする。なるほど、僕のようなリアル・タイムでもヘヴィーでも若者でもない中途半端なユーザーにも訴求効果はあるのか、と。
 さて、さんざん個人的な事を言い続けた後で恐縮だが、今回の『ジュエルズ Ⅱ』は、『ジュエルズ』のような超メジャー感は薄れるものの、「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」や「セイヴ・ミー」などバラードの名曲、デビュー曲「炎のロックンロール」や日本のために作った「手をとりあって(ニュー・ミックス)」など見せ場は多い。いや、むしろクイーンの全貌を知るには、今作の方がよいのではないか?とすら思う。また、おなじみ「バイシクル・レース」も満を持しての収録である。"2モノ"とはいえ、侮れない内容である。どうでもいいが、「バイシクル・レース」を聴くといまだに、100人くらいの全裸の女性が自転車に乗っているのをイメージしてしまう。これは一種のトラウマか?

Text by 松本真一(小田原なるだ店)

『ジュエルズⅡ』
クイーン-J.jpg




東芝EMI
1月26日発売
CD
TOCP-67530
¥2,548(税込)

大ヒット・アルバム『ジュエルズ』から1年ぶりのベスト盤第2弾。今作はファンによる投票をもとに曲目を選定し、メンバーとも協議のうえ決定した内容。全曲24ビット・デジタル・リマスタリング。さらにDVD『オン・ファイアー/クイーン1982』からのライヴ・テイクもCDエキストラで一部収録!

【クイーン 日本オフィシャルサイト】http://www.emimusic.jp/queen/

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