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ARTIST PICK UP

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インディーズ・シーンを震撼させた"毒と花のストリート・スウィング"、
dorlis(ドーリス)が満を持してメジャー・デビュー!
cobaのアコーディオンと紡ぐ妖艶な世界は、蝶のようにひらひらと華麗に舞う…。

(初出『Groovin'』2005年1月25日号)

「ジャケ買い」…音楽好きなら一度は経験があるだろうこのチャレンジ。作品の「顔」であるジャケットのアート・ワークに惹かれて買う事だが、平面的なデザインから立体的な作品の音までも興味を湧かせる強い個性というのは、実はその作品を表現するにまんざら外れていないから、個人的には大切にしている直感である。音楽との出会いは、星の数ほどいる人と人とが出会う確立くらいにミラクルなこと。そう思えば、出会いのキッカケが"音"でなく"画"であっても、自らのインスピレーションで感じたものとの出会いは、情報が豊かになった時代になっても、大切にしたいアナログ的感覚である。
 そして最近では、ジャケットのデザインが「作品の顔」を超えて「アーティストの顔」になることもしばしば。その例としてまっ先に思い付くのは、ASIAN KUNG-FU GENERATION。彼らの作品の全てを手掛ける中村佑介氏のアート・ワークは、女性をモチーフに繊細なラインで描きながらも、細部にまで緻密なデザインを施していて、そのまま額に飾られても違和感のない芸術的作品である。また、オレンジ・ペコーのインディーズからデビュー当初まで手掛けたカンバラクニエ氏も実に印象的だった。もちろん、アーティストの成長と共に継続的に手掛ける事での印象の強さはあるが、それ以上に強烈なインパクトを与えるデザインである事は、彼らのアート・ワークを見れば一目瞭然だろう。そして、今回ご紹介するdorlisも前述と同様に印象的なアート・ワークで魅せるアーティスdorlis-A.jpgトである。彼女の作品はインディーズ時代から本作に至るまでまえだゆか氏が手掛けており、私はこの強烈なアート・ワークに惹かれ、以前「ジャケ買い」をしたひとりである。そう思うと、彼女の取り巻く全ての世界観を評価されての今回のメジャー・デビューは、個人的にも嬉しく思う。
 そんなdorlis、正体は未だ謎に包まれているが、簡単に経歴を紹介すると岡山出身の22歳。幼少の頃からクラシック・ギターを学び、17歳でストリートで歌い始める。ストリートというとフォーキーな印象が強いが、そのイメージを打破するかの様に、彼女はジャジーでスウィンギーなギターを弾き語り、2つとない個性で道行く人々を魅了した。そして2002年にリリースされた「ひとりごとみたいにアイシテタ」では、FM各局でパワー・プレイを獲得。その後もインディーズ・シーンを震撼させる作品を発信し続けた。
 そして肝心の本作『マリポーサ』だが、"おしゃれカンケイ"でもお馴染みのアコーディオン奏者・cobaを迎え、ノスタルジックなムードを漂わせたdorlisワールド全開なスウィンギン・ポップな仕上がりとなっている。「マリポーサ」とはスペイン語で「蝶々」という意味だそうだが、そのイメージ通り、ひらひらと蝶のごとく舞う軽やかなリズムが心地よい。軽快なスウィングの華やかさと、その華やかさの裏に潜むチクリと刺す毒っ気な妖艶さとが混ざり合うサウンドは実に個性的。女性の小悪魔的な感性が漂う"ただならぬムード"は、聴くほどに引き込まれてしまう…。
 22歳とは思えぬ熟した大人の雰囲気、アート・ワーク同様の強烈な個性を放つサウンド…謎多き彼女の魅力に興味は高まるばかり。この"毒と花のストリート・スウィング"、味わうほどに罪深く快感である。

Text by 浜田幸子(編集部)

『マリポーサ』
dorlis-J.jpg




ビクターエンタテインメント
発売中
Maxi Single
VICL-35767
¥1,200(税込)

インディーズ時代から話題の女性シンガー、dorlis(ドーリス)が満を持してメジャー・デビュー。"毒と花のストリート・スウィング"は本作でも遺憾なく発揮。cobaのアコーディオンと妖艶な歌声が華麗なムードを演出。また本作は「マリポーサ」のPVを収録したCD-EXTRA仕様。

【公式サイト「dorlis walker」 】http://www.dorlis.net/

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