Bank Band

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Bank Band

自分たちが生きる環境や自然の事を考え、健やかで明るい未来を願い、真摯に音を鳴らすBank Band。
カヴァー・アルバム『沿志奏逢』のリリース後に行われたライヴ『BGM Vol.2 〜沿志奏逢』
の模様を収録したDVDがリリース!

(初出『Groovin'』2005年3月25日号)

 「Mr.Childrenのメンバーの1人であることを嬉しく思っています。多くの人が聴いてくれて、評価してくれる人がいて。けれどどこか申し訳ないなという気持ちもあって。そういった意味でも、ap bankは自分のメリットを考えず、誰かのため、未来のためになるような事をやりたいと思っていて。でも実際やっていみると人一倍楽しんでいました。でもこうして自分に戻ってくる循環が、どっかで矛盾しているけど大事なのかなと。そしてまた自分に返ってきた喜びを、また次の未来に繋げていければと思っています。」
 本作に収められたライヴ『BGM Vol.2 〜沿志奏逢』のMCで、櫻井和寿はこのような話をしている。そして「歌うことがこの1年で大好きになった」と加えて言った彼は、満面の笑みを浮かべていた。
 櫻井和寿と小林武史が、アーティストによる自然エネルギー促進プロジェクト「Artist's Power」に参加したのが2001年。環境問題に関する勉強会を開催するなど、居心地の良い未来へと意識を高めていく中、自分たちの預金を自身の望む使い途にのみに運用する「市民バンク」の存在を知り、ならば可能性ある新しい未来を創ろうとしている環境プロジェクトに融資を行おうと、2003年に「ap bank」を設立した。これまでもチャリティー・イベントを行い収益を寄付する行為は、様々なところで行われてきた。それもまた社会に貢献している事に違いはないが、それきりというのではなく、もっと未来を見据えた継続的な姿勢、何より融資により連鎖を広げていきたいという思いがap bankには込められている。
 実は私自身、昨年10月にリリースされたカヴァー・アルバム『沿志奏逢』(30万枚完全生産限定発売。櫻井和寿がインスパイアされた往年の名曲をカヴァー)を聴いた時点では、アルバムの収益が運営の維持に使われるとは知りつつも、ap bankの取り組みを詳しくは理解していなかった。けれど、本作の映像から伝わってくる生きたリアルな音とメッセージに「ちゃんと知りたい」という気持ちが芽生えたのである。
 本作にはライヴ本編に加え、櫻井&小林両氏のインタビュー、そして実際に融資先へ訪問したレポートを収録。よりap bankの活動が明確化する内容となっている。ライヴのステージは、派手なセットも照明もなく、いたってシンプル。客席には静かにろうそくが灯り、サウンドと共鳴するように炎が揺れている。そんな余分なものを削ぎ落としたオーガニックな作りだけでも新鮮だというのに、椅子に座り、アコギを抱いて歌うラフな櫻井和寿に更に惹き込まれる。志を引き継ぎ、後世に伝えるというカヴァーの使命を全うするように、櫻井和寿が歌い手として渾身の歌声を張り巡らせる姿は圧倒たるもの。中でも印象的だったのは「空席」。<空席には誰がやってくるだろう/誰もこないかもしれない/そんな気も少しはしている/叶わなかった約束が腰をおろすのかもしれない>と真剣な眼差しで歌う姿は、運営の期待や不安をリアルに代弁しているようにも感じ、何より実際に子供を育てていく中で、安全な未来を生きて欲しいと願う親心から環境を考えるようになったという、ミュージシャン以前に私たちと同じ"一生活者"である事を実感する音だった。
 和やかな空気の中で演奏された全18曲。どの曲も未来への思い、人との繋がりの大切さといった強いメッセージ持つ曲ばかりである(こんなに食い入るように観たライヴDVDは初めてかもしれない…)。よし、今日から手提げを持ってスーパーへ行ってみようか。会社のコーヒーは紙コップではなく、マイカップで飲んでみようか。始まりは小さなエコ精神でも、積み重ねる事で明るい未来へと繋がると信じて…。彼らの発信する切なる願いは、しっかりとここまで届いている。

Text by 浜田幸子(編集部)

『BGM Vol.2 〜沿志奏逢』
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トイズファクトリー
3月30日発売
DVD(2枚組)
TFBQ-18056
¥5,800(税込)

【『BGM Vol.2 〜沿志奏逢』収録曲目】(※アーティスト名はオリジナル曲のアーティスト)
■Disc 1
01:Opening 02:歓喜の歌/遠藤賢司 03:Interview.1 04:カルアミルク/岡村靖幸 05:イメージの詩/吉田拓郎 06:空席/真島昌利 07:トーキョーシティーヒエラルキー/ヒートウェイヴ 08:突然の贈りもの/大貫妙子 09:Interview.2 10:僕たちの将来/中島みゆき 11:限りない欲望/井上陽水 12:マイ ホーム タウン/浜田省吾 13:生まれ来る子供たちのために/オフコース 14:僕と彼女と週末に/浜田省吾 EXTRA Trk.:村田朋泰監督による"糸"のアニメーション原画及びMV

■Disc 2
01:Interview.3 02:昨日のNo, 明日のYes/GAKU-MC 03:優しい歌/Mr.Children 04:ストレンジカメレオン/the pillows 05:歌うたいのバラッド/斉藤和義 06:Interview.4 07:糸/中島みゆき 08:HERO/Mr.Children 09:Interview.5 10:幸福のカノン/さねよしいさ子 11:End roll「糸」

昨年10月にカヴァー・アルバム『沿志奏逢』(30万枚完全限定生産)をリリースしたBank Band。その後"BGM Vol.2 〜沿志奏逢"と題したライヴを行い、今回その模様を収録したライヴDVDが発売。アルバム未収録の「歌うたいのバラッド」「生まれ来る子供たちのために」他、新たなカヴァー曲も必見です!

【ap bankとは?】
自然エネルギー、省エネルギー、環境に関する様々なプロジェクトを推進しようとする人達に対し、その運営資金を低金利で融資する機関として、Mr.Childrenの櫻井和寿と音楽プロデューサー小林武史が中心となり「ap bank」を設立。その運営の為に2人を中心にトップ・ミュージシャンが集結、Bank Bandとしての活動もスタートする。なお、ap bank公式サイトにて現在進行中の融資案件や計画プロジェクトのレポートを掲載中。

【ap bank公式ホーム・ページ 】http://www.apbank.jp/

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