MCU

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MCUソロ・プロジェクトの全貌が遂に明らかに!
信頼と敬愛の深い絆で結ばれた仲間たちと共に作り上げた本作、
HIP HOPの枠を超えたフリー・サウンドで、MCUの魅惑のMCをとくと堪能せよ!!

(初出『Groovin'』2005年4月25日号)

 過去にこんなアルバムがあっただろうか?十人十色とはまさに。無限に広がる自由なサウンド・アプローチ、けれどどの楽曲にもMCUという確固たる存在感を示す凛然としたラップ。彼のラップをここまで美味しく堪能出来るなんて。一度で何度まで美味しくしちゃうの!?まったく…チョー気持ちイイ、メッチャ楽しいではないか!
 MCUといえば、日本のHIP HOPカルチャーを牽引するいわずもがなのラッパー。KICK THE CAN CREWの活動時においても、メロディーを活かした柔軟なポップ・ラップ・スタイルは、メロディーありきの私の偏見をうち砕いた。更にはMCUが愛して止まないTHE BOOMのアルバム『OKINAWA〜ワタシノシマ〜』にもゲスト参加、沖縄特有のサウンドにのせた宮沢和史の温かく深みのある歌声とKICKの先鋭的なラップとのコラボレーションは、ジャンルを超えた新たなスタイルを示してくれた。その後のソロ活動においても175Rのアルバムにゲスト参加、宮沢和史や浜崎貴司とシングルをリリースするなど、彼の活動に並々ならぬ注目をしていた。
 そんな期待に真っ向応えてくれたソロ・アルバム『A Peacetime MCU』。全曲コラボレーションという前代未聞の試みとなった本作は、信頼と敬愛の深い絆で結ばれた仲間たちのみで制作。参加ミュージシャンを見れば一目瞭然、とにかくジャンルが幅広く個々際立つツワモノばかり。けれど、実は10代の時にバンド・ブームの洗礼を受けていたこと、ラップに目覚め仲間と共に今日まで歩んできたこと、そんな背景を思えば納得の共演といえよう。むしろこれだけ濃厚なアルバムは、MCUでなければ作れなかったはず。盟友・ケツメイシのRyojiとは、メロウなミディアム・ナンバーにのせて失恋の痛みを赤裸々に告白し、森重樹一とのコラボでは森重の魔性のギター・テクニックとMCUの高速ラップが炸裂。これぞミクスチャーの真骨頂、重厚なロック・サウンドに圧倒される。そして、やはりMCUを語るに不可欠な宮沢和史とのコラボレーション「ありがとう」では、サウンドこそシンプルな作りだが、MCUの深い敬愛とその想いをしっかりと受け止めた宮沢氏の懐深さを感じるピースなサウンドが心地よい。「本当にありがとうな/一人の力じゃ光らない種も ひろがるんだ この開かない羽根も/聴いてくれる人よありがとうな」…MCUがソロ活動の中で直面した苦悩。けれど周囲の支えに気付き素直に言えたという「ありがとう」の言葉。サウンドのみならずリリックでも自らをストレートに表現、まさにソロ・アルバムに相応しい仕上がりとなったようだ。
 ジャンルの垣根を取っ払って、理屈抜きに感じる音楽を彼は教えてくれた。彼のコミュニティ・サウンドは、これからも広がり続けるだろう。そして、その度に私たちに衝撃と感動を届けてくれるはず。このLOVE&PEACEな1枚、是非とも体感してみて欲しい。

Text by 浜田幸子(編集部)

『A Peacetime MCU』
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BMGファンハウス
5月11日発売
CD
BVCR-11070
¥3,059(税込)

活動休止中のKICK THE CAN CREWより、MCUがソロ・アルバムをリリース。Ryoji、宮沢和史(THE BOOM)、175R他、MCUのピースな仲間たちと作り上げた会心作、HIP HOPの枠を超えた自由なサウンドでMCUの軽快なラップが冴え渡る!

【MCU official website】http://www.mcu.tv/

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